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多様化する社会からのニーズに応えるべく、各地の大学で学部の改編や新設が活発に行われている。その中でも大きな注目を集めているのが、2021年4月に理系4学部を開設して文理横断型の新体制となる関西学院大学神戸三田キャンパス(KSC)だ。「Be a Borderless Innovator(境界を越える革新者たれ)」をコンセプトに掲げるKSCの改革。その詳細を見てみよう。
理系4学部を新設。文理5学部体制へ
1889年、現在の神戸市灘区で創設された関西学院大学。1929年にはキャンパスを上ケ原(現西宮市)に移転。緑あふれる美しいキャンパスを舞台に、社会をリードする多くの人材を育成してきた。そして1995年、上ケ原に続く第2の学びの舞台として、神戸三田キャンパス(KSC)を設置。総合政策学部を開設した。KSCは後に理工学部も移転することになり、現在、文理各1学部の学生が学んでいる。2021年4月からは、理学部、工学部、生命環境学部、建築学部という理系4学部の新設に加えて、総合政策学部もカリキュラム等のリニューアルを行う。
理学部[数理科学科/物理・宇宙学科/化学科]
関西学院大学の理系学部は、1961年開設の理学部にルーツをさかのぼる。数学、物理学(宇宙物理学を含む)、化学の各分野における基礎と専門の知識や、他者を理解し自ら発信する総合的なコミュニケーション能力を生かすことにより、従来にはなしえなかった課題解決へと至る人材養成を目指す。宇宙物理学の主要3分野(電波天文学、赤外線天文学、X線天文学)をそろえる最先端の研究にも期待が寄せられている。
工学部[物質工学課程/電気電子応用工学課程/情報工学課程/知能・機械工学課程]
ナノテクノロジー・パワーエレクトロニクスとICT(情報通信技術)、AI(人工知能)により、人を中心とした持続可能な社会の構築に貢献することをめざすのが工学部。分野融合型の学びを実現する「課程制」を導入していることが特色で、物質工学課程と電気電子応用工学課程、情報工学課程と知能・機械工学課程では、物質科学、電気電子工学、情報科学、人間・機械系の各専攻分野の基礎に根ざした深い知識と、複雑化・多様化する社会が抱える課題解決のためにそれを応用する能力を備えた人材の養成をめざしている。
生命環境学部[生物科学科/生命医科学科/環境応用化学科]
環境、食糧、健康など現代社会の課題に挑む力を身につけ、生命環境の分野から社会に貢献する人材を育成するのが生命環境学部。実験科学とデータサイエンスを駆使した先進的な教育研究の拠点を構築することにより、その分野の未来を担う人材育成機関となることが期待されている。
建築学部[建築学科]
グローバルな視野で建築と都市の未来を創造し、建築学の視点から社会課題の解決に取り組むのが建築学部。「デザイン+マネジメント」「工学+人文社会科学」「グローバル+フィールド」の各分野に軸足を置いて建築と都市を学ぶことで、課題解決に貢献する建築士、都市計画コンサルタント、公的機関におけるマネジメント職などとして活躍する人材の育成に取り組む。
総合政策学部[総合政策学科/メディア情報学科/都市政策学科/国際政策学科]
「Think Globally, Act Locally(地球規模で考え、足元から行動を起こせ)」のモットーのもと、KSC開設と同時に設置された総合政策学部。2021年4月には、現代社会が求めるCutting Edge(最先端)な教育研究の充実を図ってリニューアルされる。法学、政治学、経済学、経営学、社会学、社会福祉学、工学、理学、言語文化などを組み合わせた従来の学問の枠にとらわれない総合的な学びにより、複雑化する社会の課題解決に貢献する人材の育成をめざしている。
イノベーションを創出し、SDGsの達成へアプローチする4つの特徴
再編されるKSCは、文理の垣根や学部の枠組みを越えて4つの特徴を共有している。それぞれの特徴について見ていこう。
「持続可能なエネルギー(Sustainable Energy)」の研究を軸とする地球規模の課題解決
4つの特徴の1つ目であり、KSC全体の重点研究テーマが「持続可能なエネルギー(Sustainable Energy:以下、SE)」だ。このテーマは、国連が掲げるSDGs(持続可能な開発目標)の7番目の目標である「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」に直結する。
KSC再編にあたっては、SEに関するトップクラスの研究を集結させた。その代表例は、工学部・金子忠昭教授の「パワーエレクトロニクス(次世代パワー半導体)」、理学部・畠山琢次教授の「次世代有機EL」、生命環境学部・橋本秀樹教授の「人工光合成」。ここに、建築学部が取り組む「スマートシティ」や総合政策学部が学部開設時から取り組んできた「Sustainability」への知見が加わり、文理・分野の枠を越えてSEの一大研究拠点となることをめざしている。
国境を越えた学びの充実と拡充
世界の課題を世界の人々と協力して解決に導くには、物事を世界基準(グローバルスタンダード)で捉える力が欠かせない。それは文系学部だけでなく、今後は理系学部の学生にも強く求められるものだ。
そこでKSCでは、語学教育や海外留学などの国際プログラムを大幅に拡充予定。シリコンバレーでの工学プログラムや、イタリアで西洋と東洋の発酵技術を比較して学ぶ生命環境学部のプログラムなど、学部での学びと関連付けた海外学修プログラムを豊富に設けた。また、PBL、フィールドワーク、実習、インターンシップなど、実践を通して学ぶことができるプログラム編成に注力。現地の学生と協力しながら社会課題に取り組むなど、語学の修得や異文化交流にとどまらない体験を得ることができる。もちろん、従来から高い評価を得ている総合政策学部による、国連などの国際機関と連携したプログラムもさらなる充実が図られている。
関西学院大学は2018年度に、海外の大学などとの協定等に基づく日本人学生派遣数において国内の大学でトップとなる1833人を派遣した。KSCの再編とそれに伴う国際プログラムの拡充により、さらに多くの学生が海外へと飛躍することが期待されている。
文理横断の教育システムの確立
IoTやAI、ロボット工学などの進歩により社会は急速な変化を続けている。また、環境、エネルギー、健康、福祉、疫病、テロリズム、貧困など、現代社会が抱える問題はかつてないほど複雑化している。このような社会においては、従来のように単一の学問領域で得た知見や技術だけでは問題解決が難しくなりつつある。現代社会では、文系や理系をはじめとした学問の領域を越え、複眼的な視野と思考をもって問題の本質を見つめる力が不可欠なのだ。
このような時代に対応すべく、KSCでは新設理系4学部と総合政策学部で文理の境界や学問分野を越えた教育システムを確立している。例えば、5学部の専門分野の基礎的な科目で構成する「KSC分野横断科目群」では、他学部の科目群を履修することが可能になっている。
SDGsも、文理や分野の壁を越えずして達成は難しい取り組みだ。そこで設けられるのが、「KSC総合教育科目」の「SDGs実践入門」(仮称)だ。これは、各学部の教員や若手実業家(起業家)が講師を務め、ビジネスやNPOなどの見地からソーシャル・イノベーションについて考察を行う科目。文系・理系の学生がともに学ぶことができる。
実社会での学びを通した起業家(アントレプレナー)の育成
日本が活力や国際競争力を保ち、時代に即した豊かな社会であり続けるためには、新たな価値の創造に挑戦する起業家(アントレプレナー)の輩出が不可欠だ。次代を切り拓く力を備えた起業家精神(アントレプレナーシップ)あふれる人材の育成には、企業からも大きな期待が寄せられている。
KSCでは、キャンパス全体でアントレプレナーシップを育む教育に取り組むことを特徴としており、なかでも日本IBMと共同開発した「AI活用人材育成プログラム」は、情報工学を専攻する学生やKSCのみならず、関西学院大学の全学生を対象として2019年度にスタートした注目のプログラムだ。AI技術やデータサイエンスの基礎知識からビジネスへの応用までを、演習やPBLなどを交えながら学ぶことができる。
総合政策学部が開講する経営学系の科目群は、先述の通り「KSC分野横断科目群」として理系4学部の学生が履修することも可能。理系学部に在籍しながら、会計やマーケティング、経営管理など、企業や新規事業の創出に欠かすことができない知識を身につけることができる。
「ベンチャービジネス創成」は、ベンチャー企業で上場を果たしている関西学院大学出身の起業家7人を講師に招き、リレー形式で講座を展開する科目。理系学部で開講されており、科学技術を実社会の課題解決に結びつけるための知識や考え方を学ぶことができる。同様の科目は総合政策学部でも「ベンチャービジネス演習」として開講されており、起業ノウハウなどのリアルな情報を、卒業生である起業家から学ぶことができる。
垣根を越えた新たな教育の形を提唱
ここまで、KSCで2021年4月からスタートする改革を見てきた。特色ある取り組みが目白押しだが、それらには、「横断」「垣根を越える」といった点が共通するキーワードになっていることがわかるのではないだろうか?
現在、関西学院大学は創立150周年の節目の年である2039年を見据え、将来構想「Kwansei Grand Challenge 2039」のもとで40に及ぶ改革を推し進めている。その中でも最大の改革と位置づけられているのが、KSCの拡充と理系学部の再編だ。これら2つの改革にあたっては「Be_a Borderless Innovator」というコンセプトを設定。学問分野、大学と社会、国境など、さまざまな垣根を越えて革新を起こす人材を育成するという目標のもと、文系・理系や学部の境界を越えて学生が行き来できる“仕掛け”にあふれたキャンパスづくりが行われている。
社会のグローバル化や多様化は今後も加速し、それにともなって、社会課題はますます複雑化するだろう。この流れに対応すべく、大学ではさまざまな改革が行われている。新たな価値を創出する「境界を越えた革新者」の育成をめざし、教育の形を変革していく関西学院大学。KSCでの取り組みは、次代を拓く「教育の革新(Innovation)」そのものだと言えそうだ。
キャンプを科学する。キャンプでSDGsを考える。
学びの新たな形
「Camping Campus−キャンピングキャンパス−」
「あらゆる境界を越えたキャンパス」を標榜するKSCでは、日常と非日常の境目すらなくなっている。
アウトドア用品のトップブランドである株式会社スノーピークとの提携によって実現したこの取り組みは、神戸三田という豊かな自然に囲まれたKSCならではのもの。ともにテントを設営し、食事を用意したり焚火を囲んだりという時間は、学部や学年を越えたつながりを促している。
同学のキャンピングキャンパスがさらにユニークなのは、勉強やディスカッションといった文字通りの学びの場として活用されていること。テント内、夜間、焚火を囲むといった非日常の時間や空間だからこそ、想像力やアイデアは広がる。また、先輩・後輩、学生と教職員といった垣根も取り払われ、自由な意見交換が促される。そこからイノベーションを起こしていこうという試みは、まさに「Be a Borderless Innovator」というKSCのコンセプトそのものだ。
キャンプの効果を科学的に解き明かす研究も予定されている。これは感性工学を専門とする工学部人間システム工学科の長田典子教授による研究で、「キャンプが人の心や行動にどのような効果をもたらすか」を、科学的データに基づいて数値化しようというもの。ここで得られた知見は、新しい学びの場の展開やスノーピークによるギア開発への活用が期待されている。
ほかにもKSCでは、スノーピークとの連携によってオリジナルのマイボトル開発に取り組み、キャンパス内でのペットボトル削減に貢献する。KSCが「サステナブルキャンパス」になることでSDGsの達成にアプローチしようというこのチャレンジ。「CAMP×US」というKSCをこよなく愛する学生メンバーが主導となり、実践を通して社会課題の解決を学ぶ場ともなっている。