新プログラム「SUTEP」の導入で「必要な人材」「なりたい自分」を実現 新しい学びの中心となる新棟も2021年に完成予定―札幌大学

新プログラム「SUTEP」の導入で「必要な人材」「なりたい自分」を実現 新しい学びの中心となる新棟も2021年に完成予定―札幌大学

人生100年時代と言われて久しい。そんな時代にもっとも重視される「社会人基礎力」を育成できる体制を組んでいる大学はとくに地方ではまだまだ少ないのが現状だ。札幌大学では早くから1学群制や思考力を徹底的に鍛える「SUTEP」プログラムの開設と常に先陣を切ってきた。地元企業から高評価を受ける同大の取り組みを取材した。

学部の枠を取り払った先進的な1学群制度

学部・学科に分かれ早くから専門教育に特化する既存の教育制度を廃し、いち早く学際的・専攻横断的な学群制度を導入したのが札幌大学だ。同大ではすべての学部の壁をなくして「地域共創学群」の1学群に再編。そこに「経済学」「経営学」「法学」「英語」「ロシア語」「歴史文化」「日本語・日本文化」「スポーツ文化」「リベラルアーツ」の幅広い9つの選択肢を用意して、学生はそこから自分の興味・関心や将来の目標に合わせて学びたいことを組み合わせて多様な学びを創造できるシステムになっている。また大学で学びたいことや目指す職業が決まっていない学生でも、入学してまずは幅広い学びを経験し、興味・関心を見極めてから主専攻を決めるレイターマッチング制度も用意されていて、その利用者は年々増加傾向にあるという。

そして札幌大学では、予測困難なこれからの時代に確かな思考力と問題解決能力でタフに切り拓いていける人材の育成を目指し、新たな教育プログラムを2020年度新入生全員を対象にスタートさせたばかりだ。

問題解決能力を高めて時代をタフに切り拓く

「SUTEP」(Sapporo University “TOUGH” Educational Program)はチームによる協働学修を通じて自己理解を深め、社会で必要な思考能力や問題解決力を養成するために導入された独自プログラムだ。「講義を聴く」といった従来の大学で行われてきた受け身の授業とは一線を画した、能動的な学びを実践する内容となっている。まずSUTEPの受講前に学生はオリエンテーションと外部アセスメントを受け、自身の創造性や協働性などの「思考力」、レジリエンスやリーダーシップなどの「姿勢・態度」を客観的に数値化して判定される。事前に自己の特性や苦手な部分を冷静に把握することで、伸ばしたい能力や生かすべき強みを意識しながらプログラムにのぞむことができるのだ。

SUTEPの軸となるのは、与えられた課題にチームで取り組むPBL(Problem Based Learning)と呼ばれる学習方式。出された課題についてチームで情報収集やディスカッションを重ねて解決の方向性を模索し、最終的に導き出したソリューションを全員参加のプレゼンテーションで発表する。当然チームは専攻も特性もそれぞれ異なるメンバーで構成されるため、ときにはチームワークが上手く取れないこともある。しかしお互いの個性を尊重して多様性を認め合いながら協働するなかで、学生はさまざまな気づきを得て学びを広げていくことができるのだ。前期はこうしたPBLを2サイクル実施したのちに、学びの振り返りとポートフォリオを作成。後期では学生の問題解決能力をさらに高めるために課題の難易度を上げていく。こうして学生はクリティカルシンキング(情報を鵜呑みにせずさまざまな角度から検証する思考方法)や、ロジカルライティング(自分の主張を根拠とともに論理的に他者に伝える方法)など、実際の社会で必要とされる高度なスキルを身につけ、文字どおり時代を生き抜く“タフ”な人材として成長を遂げていくのだ。

アクティブラーニングで社会で必要なスキルを体得

また札幌大学では、地域・ビジネス・語学など興味に合ったテーマで参加できる「アクティブプログラム」を展開している。これはテーマにそった知識の修得だけでなく、実践体験を通じて学びを深める、全専攻共通のアクティブラーニング型プログラムだ。学生は「地域みらい創生」「ビジネス創造」「グローバルコミュニケーション」「多文化クリエイティブ」「ウレシパ・先住民族(アイヌ文化についての学び)」の5つのプログラム群から関心のあるものを選択し、テーマに関する知識を事前に座学で学修。その後自治体や企業で実践的にインターンシップ・留学・フィールドワーク等の活動に参加することで、学んだ知識を体験的に獲得する。これを繰り返すことで学生は思考力や行動力、コミュニケーション能力を“体得”していくのだという。このように札幌大学では、単に専門性のある人材ではなく「知識を使ってどんな価値を創出できるか」という社会的スキルの育成にしっかりと焦点を当てた教育システムを積極的に拡充している。これには、札幌大学が学生の8割が北海道出身、就職先も大半が北海道内という地域密着型大学であることも背景にあるだろう。地域の発展とそのために必要な人材育成というミッションに、どこよりも真摯に取り組んでいるという証なのだ。

そんな札幌大学では、2021年11月の利用開始を目指して現在新校舎の建築が進行している。新校舎は大人数で快適な授業が受けられる「講義棟」とさまざまな催事・演奏会などに対応できる「ホール」で構成され、学生と地域の人が集って交流する場としての役割を果たしていく見込みだ。先進的な教育プログラム導入と新校舎の完成で、札幌大学は地域の発展にますます欠かせない存在となっていくに違いない。

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