「9月入学」をめぐる議論は続くのか?【これまでのまとめ】

「9月入学」をめぐる議論は続くのか?【これまでのまとめ】

新型コロナウイルスの感染拡大により、全国の学校で休校措置がとられ、「9月入学」移行への機運が急速に高まった。

議論のきっかけとなったのは、現役高校生がSNSで、学期の始まりを9月に、と投稿したことであった。その声は大きく拡散され、全国知事会においても、小池百合子東京都知事らが賛同。一方で、国や全国連合小学校長会、日本教育学会などは、時間をかけた議論が必要であるとして、拙速な9月入学移行論への問題点を示していた。

文部科学省は、導入を急いで結論づけない方針を明らかにしている。萩生田大臣は5月29日の会見で、子どもたちの学びをきちんと保障していくために何が最善かという観点から、関係省庁と連携して課題の整理を行っているところで、与党でもそれぞれの検討会議で議論がなされている旨の現況を語った。 現段階では「9月入学」は見送りの方針だと言えるだろう。

報道各社も見送りについて報じている。

・NHK/「9月入学」見送り 長期的課題として検討継続方針/2020年06月03日

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200603/amp/k10012455961000.html

・毎日新聞/「9月入学」見送りを正式表明 萩生田文科相「直ちに導入想定していない」/2020年06月05日

https://www.google.co.jp/amp/s/mainichi.jp/articles/20200605/k00/00m/010/124000c.amp

・産経新聞/【主張】9月入学見送り まず教育の中身を強靭に/2020年06月10日

https://www.sankei.com/column/amp/200610/clm2006100002-a.html

流れとしては、見送りの方向性が強い状況だが、コロナの問題は続いており、再度、議論が浮上する可能性もある。その時のために、現時点で議論されている論点を列挙しておこう。

 9月入学の【メリット】

・諸外国の入学時期と合致することで、留学希望者が増え、国際競争力の向上が見込める。

・夏休みが進級の区切りとなるために、夏休み中の学習の中断がなくなる。

・冬季の入試時期がずれることで、インフルエンザの流行や大雪を避けることが可能。

 【デメリット】

・教育現場の大きな混乱が予想される。

・社会構造全ての改革が必要であり、あらゆる期間において弊害がでる。

・待機児童の増加や、教室、教員数の不足が懸念される。

このように、9月入学は、魅力も多々ある一方で、懸念される問題から目を背けることもできない。時間をかけて、社会全体で検討すべき課題であるだろう。

萩生田大臣は同会見で「仮に新型コロナウイルス感染症の第2波などにより、再び全国的に学校の臨時休業が長期にわたるような状況が発生した場合には、子どもたちの学びを保障するために真に必要なことであれば、学びの時間を確保するためのさまざまな方策を選択肢に入れておく必要があると思っており、引き続き検討は続けていきたい」とも述べている。

現時点「9月入学」は見送られるものの、第2波などの緊急事態を想定して、「子どもたちの学びの保障」について様々検討が続けられていく。我々も、きちんとフォローしていきたい。

ユニヴ・プレス編集部 

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