2020年新卒の就活状況はどうだったのか
2020年大学新卒の求人倍率は「1.83倍」と高く、少子化や好景気を背景にした「売り手市場」が続きました。就職内定率も2019年12月の時点で95%を超えるなど就活生の間に「楽勝ムード」が漂っていたのも納得の状況です。しかし、大企業にフォーカスを当てるとその見え方は大幅に変わってきます。企業規模別の求人倍率について下記に推移をまとめました。
社員数5000人以上の大企業に絞った新卒求人倍率はなんと「0.42倍」。むしろ全体の求人倍率が現在より悪かった2016年よりも低い水準となっています。一方で中小企業の新卒求人倍率は7倍強。つまり中小企業に限って言えば「超売り手市場」ですが、大企業は「超買い手市場」であり、学生の間にも就職先の格差が生まれていたといえるといえます。
コロナ不況はリーマンショックを超える。2021年大学新卒就活は「買い手市場」に?
2021年卒の就職活動は新型コロナウイル感染拡大の影響で非常に不安定な状況が続くでしょう。3月に企業の新卒採用活動が解禁されてから今(4月末)に至るまで、合同説明会などの従来の就職関連イベントはほとんど開かれず、就活生の間には戸惑いが広がっています。これは企業も同様で、採用支援企業のJAICが実施した調査によると、コロナウイルス感染拡大の影響で「採用スケジュールの遅延、採用人数への影響」が生じている企業は過半数を超えました。なお、この調査は3月に行われたものなので、緊急事態宣言が発令された現在では「さらに悪化している」と考えられます。
※ともに「ジェイック・スタジアム」調べ
新型コロナウイルスの終息の見通しがつかない中、web企業説明会やweb面接に取り組む企業も登場してきましたが、「人材を見極めたい」企業、「企業を選びたい」就活生ともに 大きな負担となるでしょう。
加えて、特に懸念されるのは、休業、自粛など新型コロナウイルス感染拡大防止にともなう経済全体への打撃が就職環境に及ぼすインパクトです。例えば、2008年11月に起こったリーマンショックの際は、それまで「売り手市場」と呼ばれていた就職環境が「就職氷河期の再来」と呼ばれるまでに悪化し、回復まで数年を要しました。
また、リーマンショックがあくまで株式や不動産などの金融市場に限定した恐慌なのに対し、今回は日用品や食料品を含め世界のあらゆるものに多大な悪影響を及ぼす可能性が高く、これから「リーマンショック以上の不況が来る」という予測も出てきました。
そういった情勢を踏まえてか、既に2021年の新卒採用の縮小を検討している企業も現れています。
今後、経済への打撃がどこで止まるかは未知数です。しかし、2021年卒の就活は少なくとも去年のような「楽勝ムード」とはならない可能性が高いでしょう。