一般選抜で高大接続改革の理念を具現化する立教大学の取り組み

一般選抜で高大接続改革の理念を具現化する立教大学の取り組み

高大接続を強く意識しながら、受験生の利便性を高めるための入試改革を進める立教大学。揺れる高大接続改革の現状と併せて、2021年から実施される一般選抜の特徴について、入学センター長の家城和夫教授にお聞きしました。


延期になろうとも英語外部試験と記述式問題の理念は変わらない

—立教大学の一般選抜についてお伺いする前に、大学入学共通テスト(以下、共通テスト)における英語外部試験と記述式問題の実施延期を踏まえた上で、高大接続改革に対するお考えを教えてください。

 現行の学習指導要領から、高校で英語4技能を教えるようになりました。高校の改革を受け止めて大学の教育と接続するためには、4技能を評価することに大きな意味があります。現時点で4技能を評価しようとしたら、英語民間試験を活用するしかないと考えています。また、大学はこの30年の間に、エリート型からマス型を経てユニバーサル・アクセス型になり、学生の考える力が落ちている現状では、記述式問題で高校で育まれた思考力を測ることは大切です。大学入試改革の迷走は、理念ではなく制度上の問題です。共通テストにおける英語外部試験及び国語と数学の記述式問題の導入延期が、「4技能を学ぶ必要はない」「思考力を伸ばす必要はない」というメッセージとして伝わらないことを願います。

入学センター長 家城和夫教授

世界で通用する学生を育てるための英語民間試験活用

—21年からの立教大学の一般選抜は、高校との接続を重視し、原則として英語外部試験を活用する入試になります。

 世界に通用する学生を育てるために英語によるディスカッションのスキルは不可欠。立教大学は、英語を使えるものとするため、1年生全員が「英語ディスカッションプログラム」を受講します。英語の基礎は1年生で全て終わらせ、2年生以降に必修の授業はありません。英語力をさらに伸ばしたい学生には、選択科目を用意しています。

 このような環境で学ぶには、英語4技能を身に着けている必要があります。これまでも全学部日程のグローバル方式では、英語外部試験の一定のスコアを持っている受験生の英語を免除した2科目入試を実施しています。センター方式では、英語外部試験のスコアを得点換算し、センター試験の英語の得点と比較して高い方を合否判定に採用する方式があります。このような入試を通して、英語外部試験の受験者がとても増えていることを実感していることもあり、21年から英語民間試験を活用した一般選抜を行います。

—どのように英語外部試験を使いますか。

 立教大学の入試は、英語だけではなくバランスのよい学力を重視しますので、総合力を見るために得点換算して合否判定をします。スコアは2年以内のものを使えます。得点換算も含めてこれまでのノウハウがあるので、受験生の不利益になることはありません。

—英語外部試験は地域格差が問題視され、テストの性格が違うことも指摘されていました。

 高校で身に着けた4技能を評価して、大学と高校がしっかりと接続するには、現時点では英語外部試験を活用する方法しかありません。それでも地域格差は問題なので、リスニングのウエートが高まりセンター試験よりコミュニケーション重視になる、共通テストの英語も暫定的に活用します。

 異なる性格の試験を比べることについて、CEFRの基準があるので、選択科目で地歴と数学を同列に扱うことに比べればはるかに揃っています。立教大学には、これまでの英語外部試験活用入試の中で、異なる試験のスコアを適正に評価するノウハウがあります。地歴が得意か数学が得意かと同じレベルで、自分に合った英語外部試験を受ければいいと思います。

—文学部は、独自の英語の試験を課す方式もあります。

 基本的に英語は学ぶためのツールという位置づけですが、文学部では、ツールとしてだけではなく、英語を通じて人やものについて深く考えるという、スキル以上のものが求められます。入試を通してそうしたメッセージを発信しているのです。

最大5回の受験機会で受験生の利便性を高める

—試験日が複数設けてあり受験生の利便性が高まります。

 全学部日程では理学部以外は最大5回の受験が可能になります。理学部は最大2回です。学部によってアドミッションポリシーは異なりますが、思考と理解するスキルは全学部共通です。高校で学んできた能力を測ることが目的なので、共通化による支障はなく受験機会を拡大できるのです。基本的に同じ種類の試験なので、受けやすい日程で受けてください。受験機会拡大という点では、共通テスト利用入試も実施します。共通テストのみ、または英語外部試験のスコアと共通テストの英語のいずれか高い得点を合否判定に活用する方式も用意します。

—入試問題の傾向は変わりますか。

 基本的には高校までの学力を問いたいので、現在の傾向が大きく変わることはありませんが、問い方を工夫して、単なる知識だけではない思考力を問う方向に徐々に変えていきたいと考えています。総合問題も視野に入れており、指導要領が変わって最初の入試となる25年が節目になりそうです。

—主体性評価についてどのようにお考えですか。

 出願時に高校での活動歴を書いてもらいますが、合否判定には用いません。大学進学について自分の考えをまとめる機会と捉えてください。

—最後に高校の先生にメッセージをお願いします。

 大学で学んだ成果をそのまま社会で生かすことは難しい。勉強や研究を進める中で分からないことがあった時、どのようなアプローチをすれば解決できるのかを自ら考えることが社会で生きるスキルになります。立教大学では、大学時代に学んだことを生かせる教育をしてきましたし、これからも続けていきます。自ら考えることができるようになるには、大学入学時に一定程度の基本的なスキルが必要なので、入試で総合力を見るのです。英語力が若干低くても、その分を他の科目で補えればいいと考えます。入試制度が変わっても特別な力を要求しているわけではないので、ぜひチャレンジしてください。

—家城教授のお話全体を通して、21年からの一般選抜が、高校での学びを大切にして高大接続改革を丁寧に実践する入試ということがよく分かりました。迷走する入試改革を横目に、高大接続改革の理念を具現化する、立教大学の入試改革に期待しています。

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