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社会が成熟し、多様化・複雑化している現代。そこでは、これまでのような明確な形での課題がわかりにくくなっています。また、与えられた課題を解決するだけでは価値を生み出せなくなっています。いま求められるのは、「何が課題なのか」を見極めることであり、それを解決していく力です。「課題発見力」と呼ばれるこの力の涵養をめざして、特色あるアプローチを行っているのが多摩美術大学と海城中学高等学校です。両校の取り組みや課題発見力を養うためのポイントについて、多摩美術大学の菅俊一氏と海城中学高等学校の中田大成氏が語り合いました。
菅俊一(すげ しゅんいち)
研究者/映像作家。多摩美術大学美術学部統合デザイン学科専任講師。
1980年東京都生まれ。人間の知覚能力に基づく新しい表現を研究・開発し、さまざまなメディアを用いて社会に提案することを活動の主軸としている。主な仕事に、NHKEテレ「2355/0655」ID映像、21_21 DESIGN SIGHT「単位展」コンセプトリサーチなど多数。主な受賞にD&AD Awards Yellow Pencil など。
中田大成(なかた たいせい)
海城中学高等学校
校長特別補佐 入試広報室長
1960年生まれ。早稲田大学第一文学部日本文学科卒業。早稲田大学大学院文学研究科博士課程単位取得終了。「(学校)改革元年」の1992年より、海城中学高等学校で国語を教える。2003年より2008年まで校内の企画立案機関「将来構想検討委員会」の委員長として、第二期の学校改革を主導。
創造力を構成する「観察・分析・発想」の3つの思考技術は、課題発見力と共通している
―いま、どうして「課題発見力」が求められているのでしょうか?
菅 社会が多様化・複雑化したからです。この変化に伴って、いままでのように明確な「問題」と「答え」がわかりにくくなりました。そこで、問題を見つけ出す力、すなわち「課題発見力」が不可欠になっています。また、課題発見力を養うために、「創造性」がかつてないほど大きな役割を果たすようになりました。
課題発見力とは、問題だと考えていることの根っこをさらに掘り下げて、問題の本質を探し出す力です。現代社会において、問題は、さまざまな要因が絡み複雑化しています。普段、私たちが問題だと考えていたことが、実はごく表面的なものにすぎないという出来事もたくさん起こっています。表面的な解決策にとどまらないよう、さらに踏み込んで考え、根本から解決していくための第一歩となるのが、課題発見力です。
創造性は、課題発見力の基盤となる、人間が生きるうえで最も大切な能力だと私は考えています。では、創造性とは、才能の有無に影響されるものなのでしょうか。それとも、訓練などによって養われるものなのでしょうか。
一般的には、創造性が発揮できるかどうかは才能の領域だと捉えられています。特に美術大学に進学するような人は、「あの人は絵の才能がある。生まれつきの創造性を持っているんだ」などと思われがちです。しかし私は、「創造性は才能ではなく、思考する技術を磨くことで誰もが獲得できる能力である」と仮説を立て、それらを裏付けるための教育方法の研究と実践を、本学で行っています。
ここで創造性と課題発見力がつながり合ってくるのですが、創造性とはまず、着眼点を変える「観察力」が土台になります。次に、「分析力」を用いて、観察で発見した物事の本質を取り出します。最後に、「発想力」、これは分析によって取り出した本質とも言える情報を使って、一見無関係な物事同士を組み合わせていく技術です。この3つの思考技術を用いることで、新たな価値を創造することが可能になります。このプロセスは、実際にさまざまなクリエイターや研究者などが、課題を見つけ解決していくプロセスでもあります。実社会、例えばビジネスシーンでもっとも必要とされているプロセスです。そして、これら3つの思考技術は、「技術」なので訓練することで磨くことができるはずです。つまり、創造性を未知のブラックボックスにせず、個別の技術に分解し、養う訓練をすることが、課題発見力の涵養になると考えています。このような創造性の獲得を、デザインという分野からアプローチしようというのが、本学統合デザイン学科での取り組みです。
中田 本校に入学する生徒は、小学4年生頃から塾に通い、受験を突破するための勉強をしています。学力面では確かに優秀なのですが、主体的に学んできたとは必ずしも言えません。かつてはそれで問題がなかったので、本校でもさらに“与えられる学び”を積み重ね、大学へと巣立っていきました。しかしそれでは、複雑化して明確な答えがない現代社会では活躍することができません。そこで、それまでの与えられたものに答えていく姿勢をいったんリセットし、自ら課題を見つけ、答えを出していく姿勢に変えていく必要があります。そうした基本認識の下、中高で過ごす6年間を計画的・設計主義的に組み立てています。
着眼点を変えることで課題が見える。遠く離れたものをつなぐことで新たな価値が生まれる
―「課題発見力」を養うための、多摩美術大学での取り組みをお教えください。
菅 先程お話しした通り、創造性を才能ではなく「観察・分析・発想」からなる思考技術だと捉え、その技術を訓練によって鍛えていこうというのが、私の取り組みです。少し具体的にご説明します。
「観察」は、新たな着眼点を獲得するフェーズです。創造の出発点になりますので、あの手この手でトレーニングしています。例えば、「見えないつながり」と題したワークショップでは、学生が個々に「物事の特徴」を表すテーマを一つ決め、そのテーマに合致したものを100個集めるという課題を行っています。例えば『4つの点で支えているもの』という物の構造に関するテーマを定めた学生であれば、テーブルや椅子、車のような分かりやすい物だけでなく、腕立て伏せをしている状況やメガネ、玄関に置かれたハイヒール靴など、一見その特徴に気づかない物も見つけてきます。普段は見過ごしている物事について、あるテーマ(制約)を定めて見ることで、気付きのセンサーを高めていくというのが、観察のトレーニングの1つです。ほかにも、「身の回りの『対比』『並列』『入れ子』になっているものを探そう」といった構造に着眼する課題もあります。「対比」では、自動販売機とガチャガチャを選んだ学生がいました。その理由は、「購入者に選択権があるか、ないか」という対比です。このように、なにか軸を定めて日常を見つめ直せば、思わぬ着眼点が生まれてくるのです。
「分析」のフェーズでは、抽象度のコントロールということを行っています。例えば「マラソン」の特徴を取り出すと「多くの参加者がゴールに向かって走る」のような具体的な言葉になりますが、この言葉の具体性が高い(マラソンっぽさがある)部分を何度も言い換えると「多数のものが一点に集まる」と言い換えることができます。ここまで言い換えると、この特徴から磁石に集まる砂鉄や、ゴミ収集所に集まるゴミなど、マラソンと全く無関係な事物を連想することができます。この、新しい連想を生むために特徴の抽象度を適切に操作して言語化することが、『分析』のトレーニングです。ここまで来ると、ある共通点を持った「マラソン」と「ゴミ収集所」を組み合わせることで何ができるだろうか、などこれまで想定したことのない設定で思考することができるようになります。これが『発想』のフェーズです。『観察』したものを『分析』して抽象度を上げ、一見無関係と思えるもの同士を結びつけることで、新たなものが生まれるのです。授業ではさらに「伝える」といったフェーズにも取り組んでいるのですが、このような訓練をさまざまな手法を通して行うことで、課題発見力を養っています。
中田 3つの思考技術にはとても共感します。特に3つ目の『発想』の部分で、「遠く離れたものをつなぎ合わせる」というのは、まさにそのとおりです。新しいものとは多くの場合、無関係そうに思えるものがつながることで生まれていますからね。
お話を聞いていて思ったのは、こういった取り組みは往々にして、「楽しかった」で終わってしまう難しさがあることです。教員も生徒も、しっかりとした獲得目標を持っていないと、実りある取り組みにはならないように思います。
菅 おっしゃる通りです。私の授業では、課題に取り組む前に「なぜこの課題をやるのか」という目標の説明や、「やってみてどうだったか」という振り返りを必ず行っています。うまくいかないときももちろんあるので、「なぜうまくいかなかったのか。次はどうしたらいいか」も話し合っています。
中田 この種の学びには、全体的な設計が非常に重要です。「生徒たちには最終的にどうなっていてほしいのか」というゴールをしっかりと定め、そこへ至る道のりを丹念に組み立てるのです。そのうえで、偶然的な発見や気付き、成長と出会えることがある。そこが教員にとっても生徒にとっても、大きな楽しみにもなっています。
菅 いまご紹介した取り組みは、本学の統合デザイン学科で行っています。この学科には1学年130人の学生がいます。課題の発表などは全員で行っているので、同じテーマでも、130通りの着眼点を知ることができたり、それに対する意見を相互にもらえたりすることができるのです。これは非常に豊かな体験で、ときとして、1人ではとうていたどり着けないような視点や発想にたどり着くことがあります。
課題「特徴を取り出し図式化する」
定めたテーマの特徴を言葉で取り出し図式化し、同じ特徴を持つ別の事例を探すという課題。「抽象と具象を行き来しながら考える」という人間が新しい物事を発想するための基盤となる能力を培うことを目的としている。左の写真は「裁縫」の「繰り返し差し込む」という特徴を持つ事例を探したもの。
「なぜ?」を引き出すために学びを丁寧に設計。生徒の飛躍的な成長を促す
―海城中学高等学校では、「課題発見力」の涵養に関してどのような取り組みを行っていますか?
中田 本校は1991年の創立100周年を機に、時代にマッチする「新しい学力」と「新しい人間力」をバランス良く育む教育に乗り出しました。新しい学力とは、課題発見力や課題解決力です。新しい人間力とは、多様な価値観や背景を持つ人と共生し、協働できる力を養うことです。これらはいま、新しい学習指導要領で掲げられていることと合致しています。
「新しい学力」を養うための代表的な取り組みは、社会科における総合学習です。中学校の3年間で、テーマを決めて調べる、専門家などに取材をする、ディスカッションをする、レポートにまとめるといった作業を学期毎に繰り返し行い、中3では卒業論文を作成します。
ここで大切にしているのが、生徒一人ひとりの「なぜ?」を引き出すことです。本校の生徒は受験勉強を経験していますので、“調べ学習”はすぐにこなしてしまいます。しかし、それは私たちの意図するところではありません。私たちは“小さな研究者”を育てたいのです。自分なりの仮説を立て、それを検証して発表してもらいたいのです。その第一歩が「なぜ?」という心の動きなのです。
例えば、新聞を読んで「『共感すること』『共感できないこと』『どちらでもないが、印象的なこと』をマーカーで線を引こう」という授業があります。これを各自が事前に行ってクラスで発表したところ、クラスメートと共通することがあったり、まったく違うところがあることに気づきます。ここで、「なぜ、みんなが共感した?なぜ、自分は共感しなかった?」などの疑問がわいてきます。これが、探求の出発点になっていくのです。
中1の2学期から始める取材も重要な気づきのプロセスです。それまでは学内で書物などから情報を集めているのですが、取材を通して、初めて“生身の人間による、生の情報”に触れます。すると、調べたことと違う情報に出会うことがあるのです。ここでもまた、「話が違うのは、なぜ?」という疑問がわきます。「なぜ?」と出会った生徒の、その後の飛躍には目を見張るものがあります。
このほかにも中2でのフィールドワークや中3でのディベートなどを通して、課題を発見する力や論理的に考えを伝える力を養い、最終的な論文へと落とし込んでいきます。中1でこの学習に取り組み始めた頃は4〜5枚程度しか書くことができなかったレポートが、中3では30枚以上書くことができるようになっていきます。
「新しい人間力」については、中学1年と2年で、アドベンチャー(グループで課題に挑む)を核とした体験型のプログラムであるプロジェクトアドベンチャー(PA)を導入。さらに中学の3年間では、ドラマ(演劇)の手法を用いながら登場人物の立場になって物事を考えたり、配役を入れ替えて違った立場から同じ事象を考え直したりしながら、共感能力や想像力を養っていくドラマエデュケーション(DE)を行っています。
菅 お話をおうかがいして感じたのは、「なんで?」を引き出す仕掛けが巧みにデザインされているな、ということです。生徒の中から「なんで?」が引き出せたら、あとは自らが答えを求めて動いてくれますからね。
中田 おっしゃる通りです。設計主義的に、教室の中で驚き、気付ける仕組みを提供することが、私たち教員にとって非常に重要な役割だと言えます。
プロジェクトアドベンチャー
さまざまな課題をグループごとに生徒たちが話し合いながら挑戦する研修。課題解決を目的にするのではなく、課題に取り組む中でチームワークに必要なことについて、具体的に気付くことを目的としている。
ドラマエデュケーション
演劇的手法を用いて人間関係力や創造性を涵養する体験学習。中学2年生の1学期、中学3年生の2〜3学期にそれぞれ通算6授業時かけて行う。中学1年生は、演劇的手法を織り交ぜた「安全ワークショップ」を毎学期行う。
「観察」を通して、日常の中の〝楽しい違和感〟を味わう贅沢を
―菅先生の著書には「観察力」をテーマにしたものがあります。どうして、「観察力」に着目したのですか?
菅 世の中の皆さんに街に出て、キョロキョロしてもらいたかったことがきっかけです。街には、少し立ち止まって見直してみれば、「おや?何かがおかしいぞ。なんでだ?」という“楽しい違和感”がたくさんあるはずです。社会はとんでもないスピードで動いていますから、そうやって立ち止まることは、実はすごく贅沢なことではないでしょうか。街に潜む違和感を楽しみ、ワクワクすることは、みんながより良く生きる社会につながると考えています。
中田 日常の中にある引っ掛かりを見つめ直すって、いいですよね。私は和歌を専門にしているのですが、和歌は、特別な“ハレ”の出来事を詠うよりも、「日常だけど、ほんの少しいつもと違う」という場面を詠っているものの中に秀作が多いです。そう考えると、和歌は観察の成果を31文字に凝縮して表現していると言えるのかもしれません。
―どんな場面で、課題発見力を育む取り組みの成果を感じますか?また、今後の課題は何でしょう?
菅 卒業制作のテーマ設定に、取り組みの成果を感じることがあります。「人間とは何だろう?」「自分はなぜ、このテーマに取り組むのか」といった、深い考察に基づいてテーマが設定されているのです。
中田 非認知能力である課題発見力を測ることは、非常に難しいです。だからこそ、日々の授業での振り返りや、それに基づく次への目標設定というプロセスを、いま以上に丁寧に進めていきたいと考えています。もちろん、「難しいから測れない」ではなく、難しいからこそしっかりと測ることが大切で、その方法を模索しているところです。例えば、JAXAと共同で、JAXAが開発した宇宙飛行士の非認知能力を評価する方法を教育現場に活用する方法について実証実験を行っているところです。
菅 自己評価は非常に大切だと感じています。自己評価ができるからこそ、自分に足りない部分を見つけ、アップデートしていけるからです。
中田 生徒たちを「受け身の学習」からリセットするという話をしましたが、これは、「自律的に成長できる人へと導く」という意味でもあります。そのためには自己評価は不可欠です。自己評価し、そのうえで次の学びを自ら考えていけるような仕組みを整えていきたいと考えています。
課題発見力を養う美大のノウハウをより多くの人に伝えていきたい
―多摩美術大学では近年、推薦入試やセンター試験のみ入試など、多様な入試を拡充しています。その狙いをお教えください。
菅 「創造性は才能ではなく訓練で養われる」という仮説と深く関連しています。デザインに興味があっても美術大学は実技試験の対策をしないと受験できないと思っていた人、またそもそも高校時代にデッサンを学ぶ環境がなかった人の中にも、実は創造性と深く関連する志向や特性を持った人がいます。そういう人に美術大学の門戸を開き、「美大に進学すればあなたの特性を伸ばすことができるよ」ということを知ってもらいたいのです。そのための方法として、着眼点や思考力を問う小論文やプレゼンを課したりしています。
実際、「デッサンはやったことがないけど、クリエイティブなことには興味がある。クリエイティブの力で社会の問題を解決したい」という志向を持った人が入学してきています。最近では、医学部を併願していた人や、国際関係の学部を併願していた人が入学しています。いずれも、高校時代に感じていた社会の課題を解決する手法としてクリエイティブの力に注目し、進路として選んだそうです。このように、「美大といえば絵を描く場所で、そのような訓練をしないと行けない大学」ではなく、むしろ「課題発見・解決を学ぶ場所」という認識が広がってほしいと思っています。
―これからの美術大学に期待することをお教えください。
中田 美術やデッサンが特定分野のスキルという時代はとっくに終わりました。いまは、問題を発見し、課題を解決することが重要な時代です。課題解決の有力な手立てとして「デザインシンキング」がありますが、それは美大がずいぶんと前から取り組んできたことだと思います。ここに美大のすごさがある。ぜひ、中学校や高等学校の教育に還元してもらい、活用させてもらいたいと考えています。
菅 還元という点では、高校生を対象にして行っているサマースクールが挙げられます。今年のテーマは、「日用品のインターフェースを参考に、文章を貼り付けた紙のモデルを操作することで、新しく文章を読む方法を考える」というものでした。普通、本であればページをめくって文章を読みます。一枚物のチラシなどは、上から下へと目で追って読みます。でもそれ以外に、日用品を活かして新しい読み方を開発できないだろうか、というお題に高校生がチャレンジしたのです。
ワークショップではまず、カバンの中の持ち物に宮沢賢治の文章を貼り付け、“普通ではない読み方”ができないかを考えました。するとある生徒は、扇子を使い、開いていくと1行ずつ文章が現れるという読み方を発見しました。またある生徒は、ルーズリーフの穴を使って、穴の位置をずらすことで文章が現れる方法を見つけました。ワークショップではこの後、見つけ出した日用品の特徴を元にして紙のモデルを作り、作品の動きを写真や動画で撮影します。プレゼンボードを作り、発表するという、本学の統合デザイン学科で行っている学びを体験してもらいました。
中田 非常におもしろいですね。本校の生徒は喜んで参加するのではないでしょうか。本校では「ドラマエデュケーション」をはじめ、さまざまなワークショップを行っています。そこでは、私たち大人が驚くようなアイデアが次々に出てきます。いまの子どもたちは、テレビやネットを通じて“おもしろいもの”にたくさん触れている。そのためか、発想がとても柔軟だという一面も持っているのです。私はそこに、これからの世代の可能性を感じています。
菅 今回のサマースクールのテーマは、大学生にとっても簡単ではないものです。それなのに、高校生たちはおもしろいアイデアを次々に出してくれました。
「課題発見力」や「デザインシンキング」という言葉がない時代から、クリエイターはそれらに該当することを当たり前のようにやってきました。美大の一員として私は、まだ十分には言語化されていないそれらの知見を解き明かし、社会にフィードバックしていきたいです。それは言ってみれば「創造性の開放」です。より良い社会に向けて、ぜひとも実現していきたいです。
サマースクールでの高校生の作品 課題「新しい読み方を探求する」
日用品のインターフェースを参考に、通常の印刷物やディスプレイで行われる「めくる」や「スクロール」とは異なる動作で文章を読む方法を考える課題。物の特徴を抽象的に取り出し、特徴だけを紙のモデルに具現化していく思考と発想が求められる。
多摩美術大学統合デザイン学科のサマースクール
夏休みに3日間にわたって実施。2019年度は、20人の高校生が参加した。プログラムはまず、講義からスタート。その内容を受けて、菅氏の指導のもと、「制作演習」にチャレンジ。「観察・分析・発想」という、統合デザイン学科が取り組む思考技術の鍛錬を体験した。最終日には専任教員が集まって作品の講評会を実施。アイデアの豊かさや作品の完成度の高さに、驚きの声が上がった。