「ミディアムサイズの総合大学」ならではのボーダーレスで個性豊かな教育の進化-甲南大学

「ミディアムサイズの総合大学」ならではのボーダーレスで個性豊かな教育の進化-甲南大学

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2022年、「彩り教育」スタート。2024年、新たな学位プログラム誕生

創立者・平生釟三郎が掲げた「人格の修養と健康の増進を重んじ、個性を尊重して各人の天賦の特性を伸長させる人物教育の率先」という建学の精神のもと、100年あまりにわたって経済界をはじめとした各界へリーダーを送り出してきた甲南学園。現在、甲南大学は次の100年に向けた“甲南新世紀ビジョン”として「人物教育のクオリティ・リーダー」を目標に掲げ、数々の挑戦を進めている。なかでも注目を集めているのが、2022年4月から始まった「彩り教育」と、2024年4月に誕生する新たな学位プログラム「STAGE」だ。2つの取り組みについて、佐藤泰弘副学長に話を伺った。

聞き手 松本陽一(大学通信)   
  文  松本守永(ウィルベリーズ)

エッジの効いた学びで個性を輝かせる ”彩り教育”

―2022年4月から始まった「彩り教育」とはどのような教育でしょうか。

甲南大学ならではの個性的でエッジの利いた教育プログラムのことです。学生の興味や目標に合わせて学ぶことができるため、学生生活や人生を彩り豊かにしてくれる学びという側面も持ちます。

具体的に見ていきましょう。各学部には、「その専門である以上、必ず学ぶ」内容があります。大学の特色や教員の個性によって多少の違いがあっても、ベーシックな部分は同じはずです。そのうえで、例えば本学経済学部では、本学とアメリカの大学との両方で学位が取得できる「ダブルディグリープログラム」を実施しています。これが他大学の経済学部とは異なる、本学経済学部の「彩り」です。卒業してグローバルに活躍しようとする学生が自分を磨けるチャレンジングなプログラムです。同様に経営学部では「ビジネス・リーダー養成プログラム」が、知能情報学部では「スーパーIT人材育成プロジェクト」が行われています。このように、学部としての基礎的な学びに付け加えた、本学らしさが発揮されたエッジの効いた学びが、彩り教育です。

学部が実施しているプログラムだけが彩り教育ではありません。学部を問わずに誰もが履修することができる副専攻制度やAI・データサイエンスに関する学びなど、全学共通教育にも学生の個性を伸ばす教育プログラムが数多くあります。さらに学内での学習支援や地域でのボランティアなど正課外の活動を大学が評価する「KONANサーティフィケイト」のような仕組みも「彩り教育」の一環です。

彩り教育とは、学部でのベースとなる学びに「差し色」を加えて、自分らしい学びを可能にするもの全般を指しています。学部・学科の専門の学びから共通の学びや正課外の学びまで含めて、学生生活のさまざまな場面に組み込まれた「甲南大学らしさ」と言うことができるのです。

本学は建学の精神で個性の尊重をうたっています。人にはそれぞれ天賦の才があり、それを伸ばすことこそが本学の重要な役割です。実際に学生は自身の興味や目標に合わせてプログラムや体験を選択していくことができます。これが学生の個性を尊重し、天賦の才を伸ばすことにつながります。彩り教育とは単にカリキュラムや制度ではなく、建学の精神を教育手法に落とし込んだものだと言えます。

―甲南大学で充実した彩り教育が可能になっている要因は何でしょうか。

私たちはここ数年にわたって取り組んできた教育改革のなかで、改めて「甲南大学らしさ」「甲南大学のいいところ」を考え直しました。そこで浮かび上がってきたのが、前述したようなさまざまなプログラムや日々の活動です。これまで各学部やセンターが当たり前のように取り組んできたことが、他大学ではやっていない、甲南独自の取り組みであることに気付いた、というのが正直なところです。それらを「彩り教育」という名のもとに1つに束ねました。制度を作ってそこにプログラムをはめ込んでいったのではく、元々あったプログラムを束ねて定義づけたのです。

そのような教育活動を自然体で行ってこれたのは、「人物教育率先」という建学の精神とともに、「ミディアムサイズの総合大学」という規模と学部構成があったからです。彩り教育は加えていく教育ですから、学生も教職員も負荷が掛かります。密度の濃い学びになればなるほど、学生も勉強や準備が必要になりますし、教職員も個別の指導や各所との調整などが求められます。ここで力を発揮するのが、学生と教職員の距離の近さです。特に教職員側からすると、頑張る学生の姿には応えたくなるものです。ミディアムサイズで学生と教職員がお互いの顔がわかる位置にいるからこそ、彩り教育を実りあるものにできているように思います。

彩り教育は、入学後に選択して履修したり、活動に参加できるものが多いです。学部を問わず学べるプログラムも多数あります。学生にとって、大学進学の時点で興味や目標を明確にすることは簡単ではありません。進学した学部で「もっと学びを深めたい」と考えたり、専門に加えて「もっと他の分野も学びたい」と思い立つこともあるでしょう。彩り教育は、その希望をかなえます。彩り教育があることで、目標に応じて学びを深め拡張することができるのです。「入学後に選べる」という仕組みは、彩り教育の大きなポイントです。

―彩り教育を含めて、甲南大学では学部の垣根を超えた学びが数多く用意されています。その狙いは何でしょうか。

学生が入学後に出合った興味や目標に対して、最大限に応えるためです。例えば国際言語文化副専攻では、所属する学部に関係なく語学力を伸ばし、海外の文化や歴史への理解を深めることができます。学部での専門性に副専攻での専門性を加えることで「自分らしさ」を磨き、卒業後の目標へと近づいていってもらいたいと考えています。

学部を超えた学びを充実させるために大きな役割を果たしているのが、全学共通教育センターです。同センターは学部との連携や役割分担の調整を行うほか、学部が管轄する専門科目以外の科目を管轄しています。2022年度には語学教育も同センターの受け持ちになりました。国際言語文化副専攻が実施できているのも、同センターの指揮によるところが大きいです。同様にスポーツ関係の科目を基盤にした「スポーツ健康副専攻」も、同センターのリーダーシップのもとで実施しています。

学部を問わず学ぶことができる仕組みとしては、公認心理師を養成するカリキュラムもあります。公認心理師の活躍するフィールドは、いわゆる心理学とも関連深いと思われる、保健医療や教育、福祉といった分野にとどまりません。労働・産業、司法など、社会のさまざまな分野で必要とされています。こうした社会的ニーズをとらえ、彩り教育として学部を問わず誰もが学べる環境を整えました。

―彩り教育の今後についてお聞かせください。

学生の興味やニーズ、そして社会の変化をキャッチし、教育の中身をアップデートさせていきます。本学らしい、さらにエッジの効いたものを導入していきたいですね。そのためにも、学生とのコミュニケーションを今以上に図っていきたいと考えています。

彩り教育としてスタートしたプログラムのなかには、もしかすると学科や学部の基本カリキュラムへと発展するものがあるかもしれません。彩り教育が、本学が今後進むべき方向を考える手がかりになってくれる可能性もあるのです。そういった意味でも、彩り教育をますます活性化させていきたいです。

世界基準で考え、行動できる人材を育成 ”STAGE”

―2024年4月からスタートする「STAGE」について教えてください。

本学では従来から、学部を問わず誰もが参加することのできる融合型グローバル教育を実施してきました。これを進化させたものが、グローバル教養学位プログラム「STAGE」です。STAGEは、学部が連携した教育組織である「グローバル教養学環」のもとで展開されます。世界基準で物事を考え、社会の第一線で活躍できる「グローカル人材」の育成を目指すプログラムです。

―STAGEではどのような教育が行われるのでしょうか。

特色の1つ目が、複数言語圏へのダブル留学を必修としていることです。現在、世界各地で文化間での軋轢が生じています。このような状況下でより良い解決策を模索していくには、様々な文化や価値観への理解が必要です。アメリカや英語圏で生活して、「これが世界だ」と認識するだけでは足りません。英語以外の言語圏も経験し、異なる文化や価値観を自分の経験として知る必要もあります。そうすることが、軋轢を乗り越える出発点になるからです。複数言語圏へのダブル留学は、若い人たちの視野を大きく広げ、行動力を養ってくれるはずです。

1年次から4年次まで、学生時代を通じて取り組むゼミが2つ目の特色です。通常、ゼミで指導を行うのは1人の教員です。しかしSTAGEでは、1学年25人の学生に対して11人の教員が指導を行う、チームによる指導体制を取っています。学生は複数の教員による多角的な指導を受けることで、現代社会に即した知見を深めることが可能になります。ダブル留学によって学生は、従来以上に広い視野と多様な問題意識を持つようになります。「知りたい」という気持ちを強く備えた学生に対し、様々な角度から知見を提供できることも、チーム指導のメリットです。

特色の3つ目は、学びの幅広さです。STAGEが育成を目指すグローカル人材は、高い言語運用能力を備えているだけではありません。課題に対処する力を備えた人材でもあります。そのためには、解決策を企画・立案する力が求められます。STAGEでは、経営学、法学・政治学、経済学という、社会科学に関する幅広い学びが用意されています。また、課題の発見や解決策の立案にあたって現代では大きな役割を持つようになった、統計・AI・データサイエンスに関する学びも含まれています。これらは、総合大学である本学においては、従来から各学部で行われていた学びでもあります。現代社会が求める人材像とそこに求められる学びについて検討を重ねた結果、学部の垣根を取り払い、全学を挙げて「必要な学びを持ち寄る」形でSTAGEが生み出されました。学部ではなく学環という名称になっているのも、ここに理由があります。

4つ目の特色は、PBL(課題解決型の学び)です。「グローカル実践プロジェクト」と呼ばれるSTAGEのPBLは、STAGEの学びのカギを握るものだと私は考えています。学生は、留学を通して世界基準の視点と問題意識を育みます。そしてゼミを通して解決策を考えていきます。それを実践するのが、地域の自治体や企業と連携して行うPBLです。これはまさに、「グローバルに考え、ローカルで活動する」というグローカル人材の行動の仕方そのものです。海外での経験を踏まえたうえでの国内活動であるという点が、STAGEのPBLが他のPBLと一線を画すポイントです。しかもダブル留学を経験した学生たちによるPBLですから、国内の地域社会に対して、これまででは予想もできなかったようなアウトプットをもたらしてくれると考えています。非常に期待していると同時に、学生が学びと経験の成果を存分に発揮できる環境を整えられるよう、大学としての役割の大きさも感じています。

―新たな学びの誕生にともなって、ソフト・ハード両面での環境整備も進んでいるのでしょうか。

ハード面では、STAGE生の活動拠点となる「STAGE Lounge & Project Rooms」の整備を計画しています。また、グローバルな情報に気軽に触れたり、STAGE生による成果発表やイベントの舞台となる「Global Connecting Passage」も整備計画中です。これらの施設では留学中の学生がオンラインでゼミに参加したり、海外の提携大学に在学する学生とともに学ぶ「COIL型授業」などを行う予定です。また、キャンパス内で外国人留学生と気軽に交流できる施設としてすでに親しまれている「グローバルゾーンPorte(ポルト)」も、外国語運用能力や異文化理解力の向上に、従来以上に貢献するものとして期待しています。

海外留学をすると、卒業の時期が遅れてしまうのではないかと心配されるケースも多いです。STAGEでは、留学先で取得した単位を本学の卒業単位に認定するなどの仕組みにより、ダブル留学を行っても4年間で卒業できるカリュキュラムを設計しています。また、ダブル留学のうち短期留学1回分の参加費を免除するなど、経済面でのサポート体制も整備しています。

―STAGEで学ぶためにはどういった手続きが必要ですか。

従来の「学部」と同じだと考えてください。STAGEとして新入生の募集を行い、入学試験などの選抜を行ったうえでSTAGE生として入学いただきます。

―どのような人にSTAGEで学んでもらいたいですか。

国際的に活躍したい人はもちろんですが、地域で頑張りたいと思っている人にもぜひSTAGEで学んでもらいたいです。現代社会において、世界とつながっていない地域などありません。地域を盛り立てるには、世界を知っていることが不可欠なのです。それはまさに、STAGEが育成を目指すグローカル人材です。また、さまざまな社会問題に興味がある人にもSTAGEの学びはぴったりです。

―高校の先生方や高校生にメッセージをお願いします。

私は、いろんなことに好奇心を向けられる学生とともに学びたいと考えています。好奇心の旺盛さとは、新しいことに対しても気軽に「やってみよう」と言える柔軟さにつながります。そういった学生は、教員が驚くほどの成長を見せてくれます。みなさんのなかには、自身の得意・不得意がある程度見えてきて「自分にはこれしかない」と考えている人がいるかもしれません。でもぜひ、視野を広げて、「おもしろそう」と思うことにチャレンジしてみてください。そこから、予想もしなかった自分の可能性に出合え、個性を伸ばしていくことができるかもしれませんよ。

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