手厚い指導で探究的な理数系教員を育てる│岡山理科大学

手厚い指導で探究的な理数系教員を育てる│岡山理科大学
左から 岡本弥彦教授、西原詩織さん、中本真貴さん、福田博人助教

理系教員の養成で大きな存在感を放つ岡山理科大学。所属学部の授業や研究に裏打ちされた「探究的な資質」を有する教員を数多く育ててきた。5000人超の卒業生が教員として活躍し、タテ・ヨコに幅広いネットワークを持つ。高い教員就職実績の理由を探るべく、4人の教員と学生に岡山理科大学の教員養成について話を聞いた。

取材・文・松平信恭(大学通信)

高い就職力の秘密は大学の手厚い学習支援

1964年に創設された岡山理科大学は、理学部や工学部を中心に、長きに渡り理系教員の養成に取り組んできた。現在は獣医学部を除くすべての学部・学科で教員免許状の取得が可能だ。特筆すべきは理学部基礎理学科で、中・高校の数学・理科及び高校の情報の免許状を取得できるため、多くの理系教員志望の学生が集まっている。

岡山理科大学の“教員養成力”はデータにも表れている。2018年の中学校教員就職者数を見ると61人で、全国11位、私立大に限れば文教大、日本大に次ぐ第3位だ(『大学探しランキングブック2019』)。高校や小学校の教員を目指す学生もおり、およそ1600人の卒業生のうち、毎年200人を超える学生が教員免許状を取得して卒業する。

教員養成の分野で伝統ある岡山理科大学には、地元岡山だけでなく西日本全域から学生が集まる。教職支援センター長の岡本弥彦教授はこうした点に触れつつ、高い教員就職実績の背景を次のように説明する。

「教職課程では通常の学部・学科での勉強にプラスして単位を取る必要があり、教育実習もあって時間的な制約が大きい。その中で免許状取得に到達する学生は意欲やモチベーションが非常に高く、それが実績に表れています。大学が手厚い支援を行っているのも大きいと思います。私は以前、別の大学で教員養成に携わっていましたが、岡山理科大学に来てその面倒見の良さに驚きました」

岡山理科大学の教職支援の特徴は、選択科目や課外での指導、そして個別指導の場面に見て取れる。選択科目では実践的な模擬授業を学生に課しており、学習指導案の作成などを含め、実際に授業を行うための力を養っている。

理学部生物化学科4年の西原詩織さんは印象に残る授業として「理科教育法Ⅲ」を挙げる。

「模擬授業を行いながら授業の導入部分を重点的に練習しました。どうすれば生徒の心をつかめるかが学べましたし、意識の高い学生と一緒に模擬授業をすることで視野が広がりました」

こうした正課の授業以外に、課外では教員採用試験対策のDVD講座を行っている。外部の企業と提携して年に3500円程度の受講料とテキスト代のみで受講可能。学生が学びやすい環境が整う。 願書の添削や面接練習、グループワークの対策といった個別指導も手厚い。

岡本教授は「教員側から強制するわけではないが、先輩からの口コミで学生から自主的に指導を求めてくる」と話す。採用試験(二次)の前の8月から9月にかけては、教員も休みを返上して学生の指導にあたっているそうだ。

理数系の学びや研究で探究的な資質が養われる

理系教員を目指すに学生にはどんな力が求められるのか。主に数学の指導を担う教職支援センターの福田博人助教はこう話す。

「複雑な計算はパソコンやAIで行える時代となり、数学教育の必要性が問われています。機械にできなくて人間にしかできないのは、判断や意思決定といった部分。数学を通して論理的にものごとを説明する力を養うための指導力が重要になっています」

新しい学習指導要領では、知識だけでなく、思考力、判断力、表現力の養成が重視される。そのために、数学に限らず探究的な学習の必要性が高まっている。岡山理科大学は学部・学科の専門を学ぶ中で、かねてから自然とそうした力を養ってきた。

「理数系の勉強をして卒業研究も行うので、学生は自ずと探究的な資質が身につく。教員になればその経験を、児童、生徒に還元できます」(岡本教授)

もっとも、一番大切なのは「子どもたちの心にいかに火をつけるか」だと岡本教授は言う。高い専門性や教え方の上手さは、それがあってこそ真価を発揮できる。理学部基礎理学科4年の中本真貴さんもこう話す。「『数学教育法』の授業で教育理論に触れ、教育となると自分で問題を解くのとは違うことに気づきました。数学が得意でない人に理解してもらうためにも、関心をひく授業作りが大切だと学びました」

岡山理科大学は今年、2016年に新設した教育学部が完成年度を迎えた。理系と文系の学生が学部を超えて交わりあうことでの相乗効果も期待できる。「教員を目指すなら岡山理科大学」と言われる教育環境は以前にも増して充実している。

岡山理科大学で教員を目指す学生に聞きました

理学部基礎理学科4年
中本真貴さん
広島県立広高等学校出身

理学部生物化学科4年
西原詩織さん
愛媛県立松山東高等学校出身

Q.岡山理科大学を選んだ理由は

中本:数学か理科の先生になりたいと思っていたので、教員を目指す学生が多い基礎理学科を選んだ。
西原:理科の教員を目指していて理系教員養成に力を入れていると知ったから。

Q.これまでの学生生活でどんな活動に力をいれてきたか

中本:科学ボランティアの活動。子どもたちの前で科学の実験やショーを行った。子どもたちと触れあう機会が多く、学ぶことが多かった。

西原:学業全般。今は環境生物化学という分野で卒業研究に取り組んでいて、森林浴が人の健康増進にどれだけ効果があるのかを、フィールドワークをしながら科学的に検証している。

Q.将来どんな先生になりたいか

中本:子どもに対して自分の考えを話す機会をたくさんつくりたい。授業もそうだが、普段の生活でも悩みを引き出せるような先生になりたい。

西原:子どもが話しかけたくなる先生になりたい。理科の面白さを伝える中で普段からコミュニケーションをとって、子どもに寄り添うことができれば。

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