徹底的に顧客満足度を追求、福岡県でもっとも選ばれる学校に|九州国際大学付属高等学校

徹底的に顧客満足度を追求、福岡県でもっとも選ばれる学校に|九州国際大学付属高等学校

福岡県の九州国際大学付属高等学校は、2010年の共学化以来10年にわたって県内で最多受験者数を誇っている(2019年現在)。大学合格実績も右肩上がりだ。なかでは一体何が起きているのか。編集部では人気を裏づけるさまざまな取り組みやチャレンジングとも言える学校改革の詳細について調査した。

単なる共学化ではなく、新しい学校を作る

「変化を恐れるな」ということばがあるくらい、人間というものは変化に弱く戸惑ってしまうものだ。そして保守的な環境や体制であればあるほどその傾向が強くなる。だからこそ公立トップ校から続くピラミッド序列が人々の頭に刻み込まれ、なかなか変わることがない地方において教育の現場を変えていこう、決められた地図を塗り替えようという試みに、並々ならぬ決意と明確なビジョンが要求される。九州国際大学付属高等学校が共学化にあたって取り組んだ学校改革は、福岡県においてそれほど革新的なものだった。

男子部・女子部という別学体制だった同校が共学化されたのは、2010年のこと。男子校や女子校の共学化そのものは近年それほど目新しい話題ではなくなっているが、この学校のすごいところは共学化をただの“合併”にとどめず、「これを機に新しい学校を創ってやる!」という決意でさまざまな学校改革に取り組んだところにある。そして改革の結果、公立高校人気が非常に根強い(つまり、とても保守的な)福岡県にありながら、わずか10年に満たないうちに「第一志望入学率」を4%から50%近くへと大躍進させているのだ。(参照:http://www.959h.kif.ed.jp/about/data/

そういうわけで今回は、「第一希望に選ばれる高校」になるために九州国際大学付属高校が、どんな学校改革を行ってきたのかを追っていきたいと思う。

スマホ・携帯・タブレットは禁じるのではなく、正しく使わせるのが時流

同校では、2019年度の全入学生から、2 in 1タブレットの必携化をスタートしたばかり。同校では全ての普通教室にインタラクティブプロジェクターを備え、校舎全館でWi-Fi完備と、ICT教育のための環境は九州でトップレベルの水準にある。しかしパソコンの台数には限りがあるため(後述するが同校は1700人超の生徒が在籍する大所帯なのだ)、情報端末環境が十分とは言えない。それを解消するために導入されたのが2 in 1 タブレットだ。

これは入学時に全員が購入するもので、授業ではプレゼンテーションの資料作成や演習問題の配信などに使われるほか、教育支援ソフトを介して教師生徒間のコミュニケーションや学習管理にもひと役買ってくれる。また定期考査や模試の結果も端末上で確認できるので、子どもの成績推移を把握するなど、ゆくゆくは保護者にとっても欠かせないツールとなるだろう。

また教育現場でよく取り沙汰される携帯電話・スマートフォンの校内持ち込みについても、同校は近隣地域の高校に先駆けて解禁。これは使わせない指導より、正しく使わせる指導をすべきだと判断したからだ。タブレットにしてもスマートフォンにしても、もはやこれらを抜きにして情報化社会を生き抜くことは難しいし、「生産性が下がるからスマートフォンを職場に持ち込むな」と言われたら、きっと大人でも戸惑うはず。(デジタルネイティブ世代にとってはなおさらだ)

だからこそ正しく、効率よく、良識をもって“使いこなす”必要があるのだ。「持ち込み禁止」という社会に逆行する施策より、ITリテラシーを高めて情報端末を正しく使いこなせる人材を育むほうが、教育機関として真摯なあり方だと言える。

公立よりトータルでお得な私学になった

もう一つ、同校が取り組んだ改革に朝課外の廃止が挙げられる。これは通常授業の1時間目の前に行われる授業のことで(だから「0時間目」と呼ばれることもあるそうだ)、福岡県を中心に九州地方で根強く実施されている。これは一定の学業強化に寄与する一方で、遠方に居住する生徒にとってはかなり早い時間からの通学を余儀なくされるうえ、多くの学校で実質的な“全員強制参加“ になるなど、問題点も指摘されていた。九州国際大学付属高等学校では、この伝統とも言えるほど地域慣習色の強い朝課題を近隣地域で2010年から廃止している。

ちなみに同校は学校改革にあたって「受験対策の校内完結を目指す」ことも目標に掲げており、この廃止は一見学習時間の確保という点で矛盾しているようにも感じられる。ところが見てほしい。今春の大学合格実績は国公立大155名、医学部医学科9名、東大・京大、旧帝国大にも経年で相応人数を輩出している。(参照:http://www.959h.kif.ed.jp/wp-content/uploads/H31goukaku6.pdf

その秘密の一つが夜間自習だ。20時までは教員を配置して生徒の疑問点などをしっかりサポート。下校時は最寄駅まで無料スクールバスを運行するほか、軽食をとれるようセブンイレブンの自販機を設置するなど(学校でこれを導入したのは西日本で2例目だそう)、安全面や福利厚生面にも細かく配慮がなされている。

自習の参加は生徒の自主性にまかされているが、通塾率はわずか17%という低い水準で高い進学実績を実現しているのだから、これらの取り組みは奏功していると言っていいだろう。

授業料などの金額面で言うと私立は公立より不利かもしれないが、「塾や予備校など受験対策費も含めたトータルパッケージならうちの方がお得です!」、という逆転のバリューを実現し、これが大きな評判を呼んでいる。

こうした学習サポート以外にも、九州大学をはじめ各地の大学から教員を招聘してリアルな研究内容を扱った授業を開いたり、1年次に関東・関西の名門大学視察を行ったりと(参加は希望制)、生徒のモチベーションを高めるためのさまざまな試みも実施されている。また先で触れたように同校は在籍生徒数1700名超という大きな学校なので、全国の国公私立の大学を招いて説明会を開催することができている。校内にいながらにして遠方の大学の生きた情報を得られるメリットは、大規模校ならではだろう。

活気ある校風を、毎日のブログで積極的に発信

情報端末を活用した合理的かつ先進的な教育システムと、手厚い自習サポートで進学実績を伸ばしてきた九州国際大学付属高等学校。とはいえ、いわゆる進学校にありがちな受験一辺倒な雰囲気が、同校にはない。野球部は甲子園で準優勝経験もあるほか、サッカー部では5名のJリーガーを輩出するなど、クラブ活動も非常に盛んだ。そんな活気あふれる校風もまた、同校が受験者数を伸ばしているゆえんである。

そんな生徒の高校生活の様子は、保護者や中学生に向けて同校のブログで毎日発信されている。その閲覧数も、8年前のブログ開始当時とくらべると現在は15倍以上に増加。ここ10年連続で福岡県で最多受験者数を誇るなど、同校へ関心の高まりを裏づけている。

ヒトとモノの両輪で学校改革を進める

学校教育における環境整備(モノ)の充実は前述した通りだが、やはり学力伸長の要はヒトによる授業である。九州国際大学付属高等学校では、その授業を客観的に評価するために外部委託の授業アンケートを年2回で実施している。

また、英語教育においても新しい風を起こしている。イギリスの公的な国際文化交流機関であるブリティッシュ・カウンシル。この機関は、世界の英語教育動向に精通して約100ヵ国で英語教育に携わりつつ最新の英語教授法を取り入れるなど、世界の英語教育を常にリードしている。そのブリティッシュ・カウンシルに文部科学省からの委託で実施しているのが、「英語教育推進リーダー中央研修」である。

九州国際大学付属高等学校には英語教育推進リーダー研修の受講修了者が3名勤務しており、この受講者が複数名勤務する学校は全国的に見ても非常に珍しい。

同校の英語の授業は、異文化間コミュニケーション能力(Intercultural Communicative Competence)を軸に行っている。「英語を使う」授業ではなく、「英語を使って何をするのか」や「なぜ英語を使うのか」という問いの答えを生徒とともに導き出しながら、多文化共存社会で活躍できる人材を育成している。

 

英語推進リーダー研修を受講した3名。上原(左)、藤下(中央)、桑野(右)。

ここまで述べたような九州国際大学付属高等学校の学校改革とそのスピード感が、保守的な地方においてかなりの驚きをもって受け止められたであろうことは想像にかたくない。さらに言えば変化を恐れず古き慣習を廃止し、積極的に新しいシステムを取り入れ、理想の教育とサービスを受ける側の顧客満足度をどこまでも追求する同校の姿勢こそが、生徒たち自身にとって将来自分たちもかくあるべしという貴重な体験となっているのではないだろうか。

比較的古い価値観がまかり通ってきた教育業界だが消費者はどんどん時代の変化に伴ってその選択基準を変化させている。九州国際大学附属高等学校は、そのような世の中の変化に機敏に対応し、変化を恐れず北九州エリアの私学のトップランナーに成長してきた。私学は民間企業である。民間企業であれば、顧客のニーズに応えなければ発展はない。学校にとっての顧客とは、当然生徒と保護者である。教育業界には珍しいこの意識こそがトップランナーの快進撃を支えているのである。

九州国際大学付属高等学校
〒805-0002
福岡県北九州市八幡東区枝光5丁目9-1
お問い合わせ先:093-671-8443
公式HP:http://www.959h.kif.ed.jp/

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