早稲田塾事業部長が語る「AO入試の本質は『自分は何に興味があるか』を追究」

早稲田塾事業部長が語る「AO入試の本質は『自分は何に興味があるか』を追究」

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AO・推薦入試の指導に力を入れている早稲田塾は1979年設立。従来型の「この成績ならこの大学」という大学選びの観点から脱し「自分は何に興味があるのか」という受験生の根源的な欲求に寄り添う「人財育成」の姿勢を貫いてきた。

2019年度において、慶應義塾大学SFCのAO入試の定員200名中87名現役合格、早稲田大学 政治経済学部グローバル入試(AO入試)合格者72名中17名現役合格など、大きな実績をあげている(2018年12月28日現在)。今回は、早稲田塾第一事業部の齋藤嘉邦事業部長にお話を伺った。

「脱偏差値」の「人財育成」で第一志望大学の現役合格をつかむ

学部名で志望校を決めず「やりたいこと」にこだわる

─早稲田塾の基本理念についてお聞かせください。

早稲田塾は「独立自尊の社会・世界に貢献する人財を育成する」という教育目標を掲げ、単なる大学受験予備校ではなく、グローバル人財育成を目指した教育を実践しています。2014年12月より東進ハイスクールを運営するナガセグループの一員となり、「東進講座」カリキュラムを導入。知識を習得することにも力をいれております。早稲田塾では、AO・推薦入試、一般入試全ての入試に対応したカリキュラムを取り揃え指導を行なっております。

偏差値至上主義の「この成績ならどの大学に行けるか」という姿勢では、優れた人財は育成されません。「何のために大学に行くのか」「将来は何をしたいのか」、さらには「どう生きていくか」を軸に大学を選ぶことが、高校時代を充実させ、大学生活を意義のあるものにするためにも極めて重要です。

私たちがそのために最初にすることは、生徒自身の好きなこと、興味、関心を元に、将来のビジョンを形作るための「進路発見指導」です。自分の中にある興味が、学問分野とつながれば、志望大学・学部が決定できます。

あとは、その分野ではどのような大学教授が何を研究しているかという情報が重要であり、早稲田塾ではこの最新情報も提供しています。その代表プログラムが、早稲田塾と大学教授や有識者がタッグを組み、多面的にテーマを深める、「未来発見プログラム」です。

早稲田塾の「進路発見指導」は、生徒を中心にスタッフや講師・保護者とチームとなりサポートすることに非常に力を入れて取り組んでおり、他の塾や予備校にはない、大きな特徴となっています。

─偏差値で志望校を決めるプロセスへのアンチテーゼですね。

目指すのは、「職業観に基づいた進路指導」であり、偏差値による大学選びをやめることです。また、やりたいことと学部学科名は必ずしも一致しません。例えば、ある受験生が「心理学を勉強したい」と考えた場合、勉強する内容は犯罪心理学や教育心理学など、方向性はさまざまです。

結果的に、心理学への興味が、法学部や教育学部を選ぶことにもなる。これが「大学を中身で選ぶ」ということであり、「好きなことが学問につながる」喜びを知る瞬間でもあります。

自分の殻を破り、非認知能力を鍛える

─自分の興味・関心をアピールしたいならAO入試がピッタリですよね。

AO入試を表面的にしか理解していないと、「好きなだけでは不十分。実績が必要」と誤解されがちですが、たとえば「勉強に関係ない」と敬遠されがちなアニメやゲームでも、大学での専門的な研究テーマになり得ますし、将来につながる可能性は大いにあります。大切なのは、「何を学びたいか」という思いが生まれること。そして、そのことと社会の接点を見つけ、自分のビジョンをきちんと表現できることです。
早稲田塾では、様々な講座において、基本的に、メンタリング(※)という手法を取り入れています。塾生が自分の書類を他の生徒たちに読んでもらい、フィードバックを受けるのです。厳しい意見も出ますが、生徒は多くの刺激を受けます。自分では思いつかない新たなヒントが得られるのです。この新たな気づきが、実際のAO入試で志望理由の軸になることは少なくありません。偏差値という物差しだけで自分を過小評価し、自己肯定感を持てなかった受験生でも、メンタリングによって自信がついていくのです。

─「好きなこと」が大学への志望理由になればモチベーションも高まりますね。

メンタリングでの気づきは、次のアクションにもつながります。現役合格に向けてリサーチを始めると、すぐに研究論文・文献を英語で読むしかないと気づきます。はじめは、1時間で1行しか進まないと泣く生徒もいます(笑)。でも学びたいから必死にやる。高校教員や塾講師の指導ではなく、受験生同士のメンタリングを通して気づきが生まれ、行動に移し、表現力・文章力・コミュニケーション能力を磨いていく方が、モチベーションが高まることがあるのです。

一方、AO入試では自分の思いを他者に向かってアピールする力を身につける必要があります。早稲田塾には、「表現力開発講座」という講座があります。この講座の最大の目的は、「殻を破る」ことです。この講座は、シアターラーニングという手法を用いて行います。人前に立ち360度「さらされた」状況で自分を鍛える、というものです。ここでは常に「臨機応変」、「即興的に」自分の思いを表現することが求められます。

─学力以外の「人間力」の高まりが期待できそうです。

AO入試の合否を決める要素には、「評定平均などの学力」「課外活動などの活動実績」に加え、「志と大学とのマッチング」が重要です。しかし、それら以上に、最も合否を分けるのは、「非認知能力」です。「非認知能力」というのは、知識の量などの数値で測れる力である、いわゆる「認知能力」と異なり、数値で表せないような力のことで、表現力や行動力・感性などを含みます。現在、早稲田塾では偏差値に代わる指標として、客観的に誰もが分析できる「非認知能力の指標」を体系化している段階です。

たとえば、早稲田塾からSFCのAO入試に挑んだ昨年の数百人の受験者を分析すると、「非認知能力」を点数化した場合、ある一定の傾向がはっきり表れることがわかりました。AO入試対策には、この能力の鍛錬が不可欠だと考えています。

─自身の活動や学びの履歴を可視化する「ポートフォリオ」にも注目が集まっています。

ポートフォリオは、自分の取り組みを振り返り、その意味や意義、そこから得たさまざまな気づきを蓄積しながら、自分自身の考えを深めていくためのものです。継続的に更新していけば、いつでも「これが私」と発信できますが、より効果的なものにするためには、他者とのかけあわせによる気づきが大切です。早稲田塾では隔週に1回、担任がメンタリングを行い、その気づきを言語化していきます。

さらに、「未来発見プログラム」で進路を発見し、「表現力開発講座」で表現力を磨き、「論文作法」で文章力を鍛えポートフォリオ作成の特別指導を行い、日常的にAO・推薦入試にチャレンジする礎を築いていきます。

─最後に、高校生へのメッセージをお願いします。

私たちが喜びを感じるのは、第一志望大学に現役合格してくれることはもちろんのこと、「人間的な成長を実感できた」という生徒や保護者の声です。早稲田塾が大切にしているのは、生徒一人ひとりが、高校生活の中で自らの目標や夢を発見し、そこに向かって主体的に大学受験を活用して将来の可能性を広げることです。

かけがえのない高校時代を価値あるものにするために、部活や課外活動、自主研究などさまざまなことにチャレンジしてもらいたいです。AO入試を目指す受験生には、AO入試の本質をきちんと理解した上で、ただの入試方式として捉えるのではなく、自分を見つめ直すきっかけとして、さらには未来における理想の自分像に近づくきっかけにしてもらえるとうれしいですね。

※指示や命令ではなく対話による気づきや助言から自発的・自律的な発達を促す人財育成の方法

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