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留学とは語学修得よりグローバル人材になるためのもの
亜細亜大学の留学制度
グローバル化の到来を予見し、30年前から独自の留学制度を整備してきた亜細亜大学。留学生の派遣実績では国内有数の規模を誇り、海外に送り出す学生の数は年間600人を超えるという。同学が注力してきたグローバル人材育成のためのプログラムや、今後を見据えた留学制度改革について都市創造学部の岡村先生にお話をうかがった。
「グローバル人材を育成」すれば語学力も身につく
―亜細亜大学ではどのような留学制度があるのでしょうか。
留学期間によって4つの制度を利用できます。まずおよそ半年の留学が、①亜細亜大学アメリカプログラム(AUAP)、②アジア夢カレッジ・キャリア開発中国プログラム(AUCP)の2つです。前者は本学でもっとも多くの利用実績があり、これまでに13000人を超える学生が参加しています。後者は中国の大連外国語大学と提携し、4か月の留学期間のあとに現地の日系企業で8週間のインターンシップを行います。
また③亜細亜大学グローバルプログラム(AUGP)は夏休み・春休みといった長期休暇を利用するプログラム。興味のある地域や言語によって世界16の国・地域から留学先を選べます。また学内選抜制ですが、さらに学びを深めたい学生には④交換・派遣留学生制度(AUEP)として約1年間の留学制度も用意されています。
―留学制度の整備にあたって、どのような点に注力しましたか
まず亜細亜大学における留学は、単なる語学教育ではなく「グローバル人材の育成」を目的としています。そのため机上の英語の授業より、外国の常識や異文化を「体験」「理解」することに重点を置いたカリキュラムになっていますね。例えばある授業では現地のハンバーガーショップで食事を注文して、後でやり取りを店員にチェックしてもらいます。一見簡単そうですが、店員の応対や表情でその国の文化や国民性を洞察し、同時に自分の英語レベルを知るという奥深い課題です。そのほかにも「地域のコミュニティやボランティア活動で企画を立てて実行する」、「留学先のキャンパス内で友人を作ってインタビューする」といった国際体験を伴う課題が非常に充実しています。語学力についても、AUAPのワシントン州の提携3大学では、現地の教育実習生のマンツーマン授業サポートもあり、帰国後TOEIC得点が平均120点上がるなどの効果が現われています。現在は留学制度をリニューアルする計画を進めているところです。
「留学を思い出にはしない」事前・事後教育を充実させる
―具体的にどんな点を新しくするのでしょうか。
グローバル人材育成の原点にかえって3つの「透明化」を実現します。
まず、1つ目は制度内容の透明化です。派遣先ごとの留学による学習目的を大きく「グローバル人材育成」に重心をおく派遣先と、「より高いレベルの英語力獲得」を目指す派遣先の2つに分け、その特色を学生が主体的に選択できるようにします。
2つ目はカリキュラムの透明化です。各大学の詳しい授業内容など、カリキュラムを事前に公開するほか、派遣先大学の特色がわかる日本語のビデオなども用意するつもりです。これは、学生がどの大学で何を学ぶか、それぞれのニーズに応えた選択ができるようにするためです。
3つ目は留学費用の透明化です。これまでは、大学で一括徴収した費用で制度が運用されてきました。しかしこれからは各大学のカリキュラムの特徴や、施設設備の充実度、さらには日本語を話すスタッフの配置といった支援体制により、派遣先大学毎に留学費用を設定します。
特に留学費用の用意については、亜細亜大学は東急グループですので、東急カードに本学向けのサービスを用意してもらい、留学に必要な渡航費や生活費など、さまざまな留学関連費用をまとめて特別な低金利で決済できるようにします。仮に100万円の費用を36回払いとすれば、月額2.8万円の支払いにすることができます。このような方法で経済的負担をコントロールし、より多くの学生が留学できるようにしたいと考えています。
―科目やプログラムでも新しい取り組みがあれば教えてください。
留学中だけでなく、学内での事前・事後教育もさらに注力するつもりです。たとえば私は英会話ができるのは当たり前、さらに「日本語でアメリカ文化を語る」「英語で日本文化を語る」といった深い話ができるかがグローバル人材に必要な素養だと考えています。事前教育では既に行っていますが、今後取り組みたいのは「プレゼンテーション能力の向上」です。留学中は授業で自分の意見を発表する機会が多いので、このスキルは自然と鍛えられています。新たに取り入れる予定の「アドバンスト プレゼンテーション」では、事後教育として論理の組み立て方や資料作成、目線や体の使い方まで実践的に学んでいきます。留学後もこうした学習機会を継続的に提供することで、学生はスキルとモチベーションを長く維持できます。これは就職活動で大きな強みになるだけでなく、卒業後もグローバル人材として活躍する礎となるのです。
語学修得に留まらず、国際的に通用する人材になりたいと考えている生徒さんがいらしたらぜひ本学に来て自分らしい留学を実現していただきたいです。
在学生からのメッセージ
佐々木 誠さん
国際関係学部4年
(都立芦花高等学校出身)
AUAP でアメリカに留学したのは今から3年前のこと。その半年間の滞在で英語が上達し友達も増えたことから、改めてもう一度留学したいと思うように。そしてAUEP で2度目の留学を終えて、半月前に帰国しました。2度目の留学は滞在期間も長く、寮には日本人がほとんどいなかったので外国の友達が増えましたね。異文化への理解も深まったように思います。
充実した10か月でしたが、苦労したのは宿題の多さ。一日中宿題漬け、という日もありました。またワシントン州は物価が高くチップの習慣もあるため、外食は割高に感じることもあり、日本の外食事情は恵まれていると実感しました。
帰国したタイミングもあり、現在は就職活動中。僕は小1から高3までずっと野球をやっていたので、スポーツ関連企業で語学を活かした仕事をしてみたい。そして実績を積んでいつかはプロ野球で外国人選手の通訳に挑戦してみたいと思っています。