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大学入試センター試験を利用した私大入試に、新しい潮流が生まれている。なかでも成蹊大学(東京都)は、1997年のセンター試験導入以来、学部のアドミッション・ポリシーに応じて複数の方式を開発。とりわけ、センター試験に面接を組み合わせた5科目型多面評価入試(M方式)は、2020年度から始まる大学入試改革の流れを先取りする入試方式として注目を集めている。そのねらいと展望について、成蹊大学経済学部教授で入試センター長の平尾由紀子氏にお話を伺った。
― 成蹊大学では一般入試の「3教科型学部個別入試」と「2教科型全学部統一入試」のほかに、大学入試センター試験を利 用した四つの入試を導入しています。
センター試験の得点のみで合否を判定する入試方式が、全学部で導入の「3教科型入試(C方式)」と 、 理工学部の「4教科6科目型奨学金付入試(S方式)」です。これに、センター試験に独自試験1教科を課す「5科目型国公立併願アシスト入試(P方式)」(経済、法、文学部)と、グループ面接を取り入れた経済学部の「5科目型多面評価入試(M方式)」を実施しています。受験生がそれぞれの個性を活かし、実力を発揮できるように考えられた入試を複数の方式において実施しているのが本学の 特徴だと言えるでしょう。
大学入試改革を先取りし、センター試験に加え、多面的評価で学生を選抜するM方式
― なかでも2年目を迎えた「5科目型多面評価入試(M方 式)」は、国公立大学志望のオールラウンド層から人気を集めています。
国公立大学を目指しながら不合格になってしまった受験生が、私立大学に志望を切り替えても、入試では2〜3教科型が主流のため、多数の科目を勉強してきた成果を十分に生かすことができないケースが多々あります。 本学のM方式は、こうした受験生に門戸を広げた入試と言えます。センター試験5科目の得点はもちろん重視しますが、一組4名程度、およそ40分をかけて行われるグループ面接の評価で、順位が逆転することもあります。
仮にセンター試験で不本意な成績の科目があっても、挽回を図ることが可能です。また、グループ面接は事前課題や書類などの準備の必要がなく臨めることも大きな特徴です。 一般入試におけるグループ面接は、一部の国公立大学や私立大学の医療系学部などで実施されていますが、私立大学の社会科学系である経済学部で行われるのは、非常に珍しいのではないでしょうか。
― 2020年度から始まる大学入試改革では、学力試験の成績だけでなく「思考力・判断力・ 表現力」を総合的に評価する選 抜へと大きくシフトします。M方式は、こうした動きを先取りしたものですね。
従来のように学力偏重で、一回の筆記試験だけで合否を決めるのではなく、多面的に学生を評価する。それがグループ面接 導入の狙いです。昨年度入学した学生の成績は良く、入学後も高い学習意欲を維持していることが分かります。本学が求める学生が多く入学してくれたと感じています。
― 大卒生の就職状況が改善したことで、文系人気が高まっています。一方で、国立大学では文系の入学定員が縮小傾向にあ り、大学受験では「文高理低」の傾向が続いています。
私立大学の場合、文部科学省が入学定員の厳格化を推し進めており、特に大規模校が合格者を絞っています。来春は18歳人 口が再び減少に転じるとはいえ、定員の厳格化はさらに進み、入試へのさらなる影響が懸念されます。こうした中、3月に受験ができるM方式は受験生にとってもメリットが大きいでしょう。
― グループ面接の選考のポイントは?
基本的には大学に入って何をしたいか、卒業後はどのような道でチャレンジしたいのか。意欲や主体性、積極性、考え方の 論理性を評価します。グループ面接の趣旨として、周りの受験生の話を聞いているのかといった協調性も評価の一つとなるでしょう。 一般に、コミュニケーション能力や発信力は数値化できるものではありませんが、自分の得意分野をどれくらい把握できているか、それを踏まえて、どのような将来図を描き、どのような方向に進んでいきたいのかを表現できることがこの面接のポイントになります。 また、面接では受験生にとって想定しない質問があるかもしれません。しかし、それは普段の生き方や、どのようなことに挑戦してきたかといったことを問うもので、特段に対策を講じるものではないと考えています。
学習意欲の高い受験生に アプローチする多科目型入試
― 大学入試全体を見渡しても、 この数年で多科目型のセンター 試験を利用した入試方式が増えた印象があります。
大学受験の場では、文系の受験生の多くは理系科目を、理系の場合は文系科目を最低限の学習で済ませて、大学に進学して いるケースが多くみられます。しかし、社会のあらゆる面で急激に変化が起こる現在では、複合的な問題にも対応できる素 養を持った人材が必要です。こうした時代の要請に応えるため、成蹊大学では国公立大学を志望し、受験シーズンを通して最後まで多科目を勉強してきた受験生に注目しました。入口 の段階において学習意欲の高い受験生にアプローチしていくことがこれからの社会の要請に大学として応えるためには欠かせないと考えたからです。
― 成蹊大学のセンター試験利用入試は、他大学の方式と比べ、 国公立大学志望のオールラウンド層の受験生も併願しやすいですね。
前述の「5科目型多面評価入試(M方式)」と、 文系3学部で実施の「5科目型国公立併願 アシスト入試(P方式)」、それに理工学部「4教科6科目型奨学金付入試(S方式)」の三つのセンター利用入試では、国公立大学併願者が出願や入学手続で不利にならないよう配慮しています。 出願締切日は、P方式とS方式はセンター試験後の1月23日に組まれており、自己採点を行 った後に出願ができます。また M方式も2月26日が出願締切日となるため、国公立大学前期日 程試験後に出願可能です。 入学手続締切日は、P方式と S方式が国公立大学前期の合格発表後の3月12日、M方式は国 公立大学後期の合格発表と重な る3月11日に組まれています。 このように、本学の多科目型入試では、国公立大学志望の受験生にも心理的、経済的な不安を抱えることなく入試に臨んでもらうことができます。
― 成蹊大学では併願割引制度を導入されていますが、すべての一般入試が給付奨学金の対象であることも魅力です。
各方式とも成績上位者(S方式は合格者全員)に、1年次の年間授業料の半額相当を給付する学修支援奨学金の制度を設けています。このほかにも、本学ではさまざまな奨学金制度を用意しています。
文理の枠を越えた幅広い学びが 未来社会を切り拓く力となる
― 成蹊大学はワンキャンパスに経済学部、法学部、文学部、 理工学部を擁する総合大学です。文理の枠を越えて多くの科目を勉強してきた受験生にとって、 入学後に活躍できるチャンスはさらに広がっています。
学部の専門性を高めると同時に、グローバルな発信力を身につける選抜型の「成蹊国際コース」では、学部横断型の授業が 行われています。また、学内研修と企業でのインターンシップからなる人材育成プログラム「丸の内ビジネス研修(MBT)」 (※)でも、4学部の学生が一丸となり、課題に取り組むプログラムが編成されています。普段から、学生自身が学ぶ専門科目とは異なる分野の研究や考えに触れながら、友人関係を築くことができる。多科目型入試で入学した学生の多くは、こうした環境にいち早く順応し、 大学の中心的な存在となって、学びの軸となるゼミや課外活動の場で活躍しています。その結果、学生生活の満足度が高い傾向にあります。卒業生については、バランスの取れた教養を備えていることに加え、「協調性」「コミュニケーション能力」の点で社会から評価を得ており、それが好循環となって、本学の堅実な就職実績につながっていると言えるでしょう。
― 各大学で実施される入試は、その大学がどんな学生を求めているかという重要なメッセージでもあります。
いくら入試方式を 小手先で変えても、大学の中身が旧態依然では意味がありません。大学でどのような力をつけさせて、社会に送り出すか。ディプロマ・ポリシーからカリキュラム・ポリシー、アドミッション・ポリシーと遡って、はじめて入試改 革が完成するのだと思います。 成蹊大学ではこれまでもセン ター試験利用「3教科型入試(C方式)」において、社会科学系 の経済学部・法学部と人文学系の文学部でも「数学」「理科」が、 理工学部でも「国語」が選択受験できるなど、選択科目に幅を設け、受験生が最良の進路選択ができるよう入試改革を実施し てきました。今後も本学が独自に実施する「2教科型全学部統一入試(E 方式)」「3教科型学部個別入試 (A方式)」と、センター試験利用入試やセンター・独自併用入 試の実施により、質の高い受験生の受け入れに努めていきたいと思っています。
― 本日はありがとうございました。
(※)成蹊大学の教育方針に賛同した複数 の有力企業の協力のもと、3年次の4月 から学内および東京・丸の内で約 ヶ月 間かけて行う独自の人材育成プログラム。 夏期に各企業でインターンシップ実習に 取り組み、秋の学内個人発表会、丸の内 成果発表会で自己研鑽の成果を総括、報 告する。「自ら課題を発見し、解決できる 人材の育成」が目的