1、やはり強いのは有名難関大学
まず表1を見てほしい。ランキングトップ2は一橋大、東工大の指定席、以下上位は早慶をはじめとする私立大学から工科系大学、旧七帝大等の国立大学まで、有名難関大学がひしめいている。これらの大学は、例年、同一企業に多くの就職者を出しているという点で、企業と大学の関係性が深く、それがそのまま強みになっているようだ。特に研究職においてこの傾向は強い。 また、豊田工業大や筑波技術大など、技術者の育成に優れた大学がランクインしている事も注目だ。ちなみに、意外に就職率が振るわないのが東大(23位)と京大(15位)である。これは、学生が、一般企業ではなく外資やベンチャー等「これからの」会社を目指す傾向があることや国家公務員を目指す比率が高いことが理由だと考えられる。
2、「お得な大学を探せ!~特定業種に強い大学~」
今度は別の表を見てみよう。表2は学生に人気のある企業をピックアップし採用大学をランキング化したものだ。ここでもやはり早慶の実績が目につく。しかし、ランキング全体に目を向けてみると意外にも企業ごとの採用大学にばらつきがある事がわかるだろう。ここに各大学が持つ強みが表れている。
法政大学は旅行業に強く、JTBとエイチ・アイ・エス共に2位で、合計59人が就職している。3つの理工学部を持ち技術者育成に力を入れている日大は、JR東日本がトップでJR東海は2位と鉄道系への就職が強い。女子大だって負けてはいない。学習院女子大や東京女子大、聖心女子大、日本女子大はメガバンク等金融系へ多数の人材を輩出している。
以上は一例に過ぎないが、重要なのは「必ずしも大学の難易度と就職先企業がリンクしているとは限らない」という点だ。就職における各大学の強みを分析していわゆる「お得な大学」を探すことも志望校選びには必要だろう。
3、「企業側の視線~難関大学中心の採用か、バラエティ型か~」
門戸がほぼ上位難関大学にしか開かれていない企業がある。総合商社系はその筆頭だ。三菱商事や三井物産はランキング5位までの大学で採用者の7割が占められているという現状だ。
一方で多様性を重視する企業もある。例えばオリエンタルランドは採用大学がバラエティに富んでいる。これはホスピタリティを重視するため多様な価値観を持つ学生を求めてのの事だろう。企業の採用方針もさまざまである。もし、ある程度就職したい企業が決まっている場合は志 望企業の採用状況から大学を絞り込んでいくのも作戦の一つだ。
4、出口から選ぶ志望校
有名企業に入りたいなら上位難関大学に入学した方が確率は高い。これは事実だ。しかしそうでなくとも、自身の志望企業・業界に強い大学を見極め、志望企業の採用大学を分析することで、他者よりも望みの職業につける可能性が大きく上がることもまた事実である。 大学受験というと、とかく偏差値や地域などに縛られがちだが、自身の「将来という視点」を持つことで、自分にとって偏差値以上の価値を持つ大学が見つかるかもしれない。 そのためにも、公表されているデータなどはフル活用してほしい。 まだまだ「お得な大学」は眠っているはずだ。