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「実業家が作った大学」として知られる流通科学大学。企業や自治体との密接な連携のもとで行われる実践的な教育には定評があり、ビジネスや地域社会の担い手として活躍する卒業生も数多い。同学は2025年4月、商学部経営学科にフードビジネスコースを設置する。新たなコースを設置する狙いや育成する人材像について、清水信年学長と商学部の白鳥和生教授に話を伺った。
聞き手 井沢 秀(大学通信)
文 松本守永(ウィルベリーズ)
―フードビジネスコースを設置するにいたった経緯と、カリキュラムの特色をお教えください。
清水 本学では以前から、学生が企業や地域社会と連携して課題解決に取り組む「社会共創活動」に力を入れていました。この活動のなかでは、商品の開発や地域の農産物をブランド化するなど、食がテーマになることが多かったです。そこで社会共創活動を通して蓄積していたフードビジネスに関する学びを体系化し、さらに栄養や衛生など専門的な食の学びをプラスすることでコース化を実現しました。社会共創活動やビジネス分野の学びといった本学の強みと食に対する社会のニーズが合致し、誕生したコースだと言えます。
カリキュラムは、基礎科目として経済や経営などビジネスについて学びます。そのうえで、フードコーディネーター検定3級に準拠する食関連のビジネス科目を設定。また、栄養・衛生など食の専門分野を学びます。
白鳥 本学の創設者でありダイエーの創業者である中内功氏は、戦地で死を覚悟した際、家族ですき焼きを食べている姿が脳裏に浮かんだといいます。この体験が、スーパーという新たな食の流通の確立へとつながっていきました。私たちが今、フードビジネスへ学びの領域を広げることは、本学の理念に非常に合致していると考えています。
清水 中内氏はダイエーを成長させる過程で、食の流通にはひときわ苦労したようです。食品は人間の命を支える大切な商品であると同時に、調達や加工など、取り扱いが難しい商品でもあります。それだけに、きちんと扱って消費者へ届けるための知識を備えた人材の必要性を感じていました。本学設立の背景にあるそういった思いが、今回のフードビジネスコース開設につながっているように思います。
―コース内での、地域社会や企業との連携があればお教えください。
白鳥 兵庫県は、全国に知られる企業から地域で愛される企業まで、食品メーカーが数多く存在しています。学生が企業や地域に入り込んで実践的に学ぶにはぴったりな場所と言えるでしょう。ブランド化や販路開発などで連携し、貢献できることがたくさんあると考えています。
清水 淡路島のタマネギや海産物、丹波の黒豆や栗など、兵庫県は食材の生産地としても豊かな地域です。学生が地域とともに活動し、商品開発などに取り組んでいきたいです。
―流通科学大学の特色でもある社会共創活動に対して、フードビジネスコースはどのような好影響をもたらすでしょうか。
清水 前述の通り、商品開発やプロモーション施策の立案など、社会共創活動では食をテーマにする機会は豊富にありました。本学が主催し近隣の大学や高校なども参加する課題解決プログラムである「神戸イノベーターズ・グランプリ(通称:I-1グランプリ)」でも、食品メーカーが抱える課題を“お題”とすることが多いです。
これらの活動のなかで、学生の提案に対してはマーケティングや経営の側面からは高い評価をいただきました。一方で、食の専門的な側面からは限界も感じていました。本学には食を専門とした学びが備わっておらず、指導できる人員もいなかったからです。それが今回、フードビジネスコースの設置によって克服できます。食の専門知識も加わり、より質の高い提案ができるようになると考えています。
―卒業時にはどのような力を身につけていることを期待していますか。
白鳥 科学的思考、問題解決力、提案力、消費者力の4つの力です。消費者力とは、良い商品や自分にマッチした商品などを見極めることができる、いわば「目利き力」です。
このなかでも特に、ゼミをはじめとしたさまざまな活動を通して、問題解決力と提案力を磨いてもらいたいです。課題に対するソリューション、ひいてはブレークスルーをもたらすような研究や活動に取り組んでくれることを期待しています。そのためにもぜひ、企業や地域に入り込んだ活動をしてもらいたいです。
清水 価値を相手に伝える力を身につけることを期待しています。ビジネスにおいては、どんなに価値あるものを作ったとしても、それが相手に伝わらないと買ってもらえません。すなわちマーケティングです。相手の心へ届くマーケティング施策を立案するにあたって、必要となる知識・スキルを修得して社会に羽ばたいてもらいたいです。
―卒業後はどのようなキャリアを想定していますか。
白鳥 フードビジネスといえば接客の仕事をイメージしがちですが、決してそれだけではありません。商品開発、食材などの調達、出店計画の立案、スタッフの採用・教育など、多彩な仕事があります。それらの業務で活躍する「マネジメント人材」として活躍することを想定しています。そのためには食と経営の両面について専門的な知識が必要で、4年制大学で学ぶ意義はここにあります。
清水 企業に所属して活躍するほかに、自分でお店を開業したり、キッチンカーで営業したりという「ソロプレナー」を目指すことも可能です。近年では、食材のおいしく上手な活用法や、調理法、健康への効果などをSNSで発信することを職業として行う人も増えています。これもまた、ソロプレナーの1つであり、フードビジネスコースから目指すことのできるキャリアです。
―どのような高校生にフードビジネスコースで学んでもらいたいとお考えですか。
清水 本コースでは、フードビジネスに関する具体的な将来像を提示することができます。また、フードビジネスの大切さや多様さを感じてもらうこともできます。そのため、フードビジネスに携わりたいという明確な目標を持った人に加えて、将来がまだ漠然とした人にも本コースで学んでもらいたいです。
白鳥 食べ物に興味がある人にはぜひ来てもらいたいです。大好きなものが商品やサービスになる楽しさやうれしさを実感し、職業にする道を開くことができるはずです。
―高校の先生方やその先にいる高校生へメッセージをお願いします。
白鳥 本学創設者の中内氏は、たった1人で日本人の生活を変えました。人間が持っている可能性の大きさを体現した人物と言えます。本学にはそのDNAが息づいています。ぜひ本学で創立者のDNAを感じ、みなさん自身の可能性の大きさを発見してください。
清水 フードビジネスは、お客さまの反応を目の前で見ることができる、非常に幸せな仕事です。生活に身近な分野でもあるため、学びや探究のなかにはおもしろい発見があふれているでしょう。学ぶうえでも、働くうえでも、楽しさや喜びにあふれた分野だと言えます。
本学は、社会人になるために必要な力を身につけ、「きちんと成長できる大学」です。高校生のみなさんの成長をサポートできることを楽しみにしています。