志願者の減少傾向は続く 今こそ逆風に立ち向かう、女子大の魅力を再発見!

志願者の減少傾向は続く 今こそ逆風に立ち向かう、女子大の魅力を再発見!

近年、女子大の志願者数は減少傾向にあり、一部の大学では共学化が進むなど、厳しい状況に直面している。背景にあるのは、少子化に加え、若者の価値観の変化であり、女子大の魅力が失われた訳ではない。女子大の実就職率は依然として高く、女子大を志望する受験生にとって明るい未来が広がっている。

女子教育の拠点として大きな役割を果たしている女子大だが、近年は、徐々に志願者数が減少している。女子大を取り巻く状況は厳しさを増しているのだ。この背景にあるのは、女性の社会進出が進むにつれて、女子受験生の進路に対する意識が大きく変化し、多様な選択肢を求めるようになったこと。かつて女子大は女性が教育を受けるうえで主要な選択肢の一つであったが、現在は総合大学なども含め、より幅広い選択肢の中から、自分の将来設計に合った進路を選ぶようになった。このことが、少子化による18歳人口の減少とともに女子大の志願者が減少している理由として挙げられる。

例えば、国家公務員試験の合格者に占める女子の割合が上昇していることからも分かるように、大学進学後に資格を取得し公務員を志望する女子は増加している。資格取得のため法学部などへの進学を目指した場合、現状では法学部をもつ女子大は少なく、公務員志望の女子の志望先は必然的に総合大学が多くなる。さらに理工系大学が入試に女子枠を設けるなど、理系学部を目指す女子の受け皿も拡充している。女子大に設置の少ない学部に女子の目が向けば、女子大の志願者が減少するのは仕方がないことだ。

こうした女子受験生の動きに対し、女子大も新設学部・学科の設置などにより対応している。2024年度はお茶の水女子大が共創工学部、日本女子大が建築デザイン学部などを設置。25年度は大妻女子大がデータサイエンス学部、安田女子大が理工学部を設置する。

共学化へと舵を切る女子大も増えている。2025年度には、園田学園女子大、名古屋女子大などが共学化する予定だ。

高い就職率と充実のサポート 女子大の持つ可能性に注目

女子大の志願者は減少傾向にあるが、少人数制によるきめ細かな指導や、女性ならではの視点から社会問題を探究できる学習環境など、その魅力は依然として多くの受験生を惹きつけている。男子学生のいない女子だけの大学生活を望む受験生も多い。また、近年注目されているSDGsなどのテーマにおいて、女性ならではの視点や感性が求められる中で、女子大が果たす役割はますます大きくなっている。このような教育・研究環境を求めている受験生は少なくない。

女子大は、教育・研究環境以外にも大きな魅力を秘めている。それは就職力の高さであり、女子大は全般的に実就職率が高い。「平均実就職率の推移」を見ていただきたい。大学通信が医学部と歯学部の単科大学を除く全大学を対象に行っている就職状況調査によると、24年3月卒の大学生全体の実就職率が88.9%なのに対して、女子大だけの集計であると90.9%と2ポイント上回っているのだ。10年の推移を見ても、リーマンショック後のような厳しい就職環境下においても変わることなく、女子大が安定した高い就職率を維持していることが分かる。

「女子大の実就職率」で現時点の大学別の実就職率を見ると、最も高いのは97.4%の聖徳大。教員養成や福祉、看護など、就職に強い資格系学部で構成される大学だ。以下、昭和女子大、和洋女子大、椙山女学園大、東京家政大、甲南女子大、武庫川女子大、実践女子大などが続く。

男女雇用機会均等法施行前における、女子大生の就職が厳しかった時代から続く丁寧なキャリア指導や資格取得支援などが、女子大の高い就職率に繋がっている。

24年度入試において、主要女子大学の志願者数は減少傾向であり、こうした動きは、25年度入試でも続くと見られている。倍率は低いが就職率は高い。お得感があり、魅力度も増している女子大に、今こそ注目すべきだ。

2024年 女子大の実就職率

表の見方
◆表は各大学発表による2024年の就職状況(8月21日現在)。
◆アンケートに回答のあった大学のデータをもとに作成。卒業生数500人未満の大学は除いた(「平均実就職率の推移」のグラフは500人未満の大学も含む)。
◆実就職率(%)は、就職者数÷〔卒業生(修了者)数-大学院進学者数〕×100で算出。
 設置の◎印は私立。大学名横の*印はデータに大学院修了者を含んでいることを表す。
◆データに一部の学部・研究科を含まない大学がある。

設置 大学名 所在地 実就職率
(%)
卒業生数 就職者数 大学院
進学者数
聖徳大 千葉 97.4 786 762 4
昭和女子大 東京 95.9 1,476 1,379 38
和洋女子大 千葉 95.7 749 709 8
椙山女学園大 愛知 95.1 1,410 1,319 23
東京家政大 東京 95.0 1,583 1,482 23
甲南女子大 兵庫 94.7 989 924 13
武庫川女子大 兵庫 94.4 2,270 2,029 120
実践女子大 東京 94.0 1,016 945 11
安田女子大 広島 94.0 1,180 1,097 13
女子栄養大 埼玉 94.0 510 467 13
梅花女子大 大阪 93.8 507 471 5
神戸女子大 兵庫 93.7 767 708 11
共立女子大 東京 93.4 1,367 1,260 18
東京女子大 東京 93.3 881 788 36
鎌倉女子大 神奈川 93.0 584 531 13
神戸女学院大 兵庫 92.9 576 507 30
日本女子大 東京 92.5 1,486 1,278 104
京都女子大 京都 91.4 1,376 1,202 61
藤女子大 北海道 91.3 510 463 3
津田塾大 東京 91.0 629 535 41
十文字学園女子大 埼玉 90.9 956 863 7
大妻女子大 東京 90.7 1,628 1,461 18
金城学院大* 愛知 90.5 1,070 948 22
跡見学園女子大 東京 90.1 1,057 944 9
同志社女子大 京都 89.7 1,428 1,248 37
宮城学院女子大 宮城 88.4 804 703 9
フェリス女学院大 神奈川 88.1 579 497 15
聖心女子大 東京 87.6 551 460 26
相模女子大 神奈川 86.9 974 842 5
京都光華女子大* 京都 85.8 500 422 8
日本女子体育大 東京 85.8 511 428 12
大阪樟蔭女子大 大阪 85.4 593 502 5
筑紫女学園大* 福岡 85.0 671 563 9
駒沢女子大* 東京 84.6 549 460 5
神戸松蔭女子学院大* 兵庫 84.2 537 447 6

平均実就職率の推移(2014〜2024年)

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