押しつけでもない、放任でもないバランス感覚を持った指導力と“寄り添い方”を探究し続ける―学習院大学 文学部教育学科

押しつけでもない、放任でもないバランス感覚を持った指導力と“寄り添い方”を探究し続ける―学習院大学 文学部教育学科

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学習院大学では、2013年に小学校教員の養成を目的とする文学部教育学科を開設。一学年の定員を50名とし、講義型科目では学生数の上限を25名程度とする少人数教育を徹底するほか、体験型学習を重視する点も特長だ。例年教員志望者のほとんどが教員採用試験に合格し、教育関連の企業・団体への就職実績も豊富な同学科の魅力、そして将来への意気込みなどについて、3名の学生に語り合ってもらった。

取材・文 鈴木秀一郎      
構成 東久世克樹(大学通信)

教育実習に行く前から児童のリアルが見えてくる

中村颯汰さん

千葉県
私立東京学館浦安高等学校出身
一般選抜で入学。高校時代は陸上部に所属し、長距離種目(1500m・5000m)やマイルリレーで活躍。大学入学後は、将来の選択肢を広げるために中高の地理・歴史の教員免許取得も目指している。

―みなさんが感じる学科の魅力から聞かせてください。

中村 教育学科には一学年約50名が入学早々に8ホームに分かれる「ホーム制度」があり、ホーム内で何でも気軽に話せる関係性を築けることが魅力です。また、近隣の小学校の児童を招いて学内を探索するプログラムなど、教育実習の前から子どもと触れ合う機会があります。座学だけでは見えてこない“児童のリアル”がわかるからこそ、日々の授業に向けた意欲も高まります。

近藤 授業では先生方が学生の顔と名前をすぐに覚えてくれますし、少人数制で密度の高い環境で学びを深められますね。また「自然体験実習」をはじめ、学外での体験型プログラムが充実していることも魅力。近年は幅広い分野で効率重視のDXが進む中、子どもの成長には効率性以外の観点も必要だと実感できました。ちなみに私は、1年次に特別支援教育を受ける児童が利用する放課後等デイサービスでのボランティア活動に参加し、2年次には新宿区の小学校でのインターンシップに参加。3年次には、聴覚や視覚に障害のある子どもたちの音楽活動プログラムにもボランティアとして参加しています。学科で紹介してもらった活動もありますし、日々の授業と学外での活動との相乗効果も感じています。

西幅 私にとっての魅力は、教員志望で意識の高い仲間と一緒に学べる環境であることです。また、教育分野で活躍されている先生方が親身に指導してくださいますし、“なりたい自分”に近づけている実感があります。なお、私は学生の主体性を重んじる体育会ソフトテニス部で主将をしているのですが、練習メニューなどを組み立てる際に思考力や発想力が磨かれたことが、学科での指導案作成や模擬授業でも生かされています。

子どもと教材をつなぎ子どもと子どもをつなぐ

西幅美来乃さん

埼玉県
私立武蔵越生高等学校出身
公募推薦で入学。1年次には「学生の提言」という学内コンペに応募し、「社会を支える教育の力〜地域で守る人権と多様性〜」が見事に入賞を果たした。

―自分らしい指導スタイルやコダワリも見えてきましたか。

中村 私は学習指導補助員の活動もしていて、外国籍児童のサポートを行った期間もありました。その経験から誰もが理解しやすい授業の重要性を認識できましたし、今後は教科別の工夫の引き出しを増やしていきたいと思っています。ただ「塾とは違う」という意識も必要ですね。

近藤 その点、教員の工夫次第で子ども同士が学び合う環境を生み出せることが学校の利点だと思います。一人では理解できなくても、児童間の支え合いで理解は進むと思うので、効果的に子どもと教材をつなぎ、子どもと子どもをつなぐことが教員の役割だと思います。また、例えばノートテイクにしても、場合によってはキーボードでの打ち込みを許可したり、配布物も文字ばかりに頼らずに視覚的に理解を促す工夫を凝らしたりと、多様な児童の存在を前提として複数の選択肢を用意する授業を心がけたいですね。

西幅 授業を進めつつ、一部の児童を置き去りにしてしまってもいけませんので、バランスに難しさがありますよね。また、まずは授業内容にどれだけ興味を持ってもらえるかが肝心ですので、私は子どもの心を“グッ”と掴む授業のツカミをつくり出そうとアイデアを蓄えています。授業の映像資料などからヒントをインプットしながら、日常生活と関連づけて伝える工夫を意識しています。
 

近藤真由さん

千葉県
千葉県立千葉女子高等学校出身
指定校推薦で入学。高校時代はオーケストラ部で活動する一方、小学校での水泳指導の補助や、特別支援学校での実習に参加した経験があり、教員志望のきっかけとなった。

―理想の教員像も思い描けてきましたか。

中村 ストレスなく話せる環境を整えて、児童の話をとことん聞く教員になりたいですね。思いを言葉にして伝えられない、または伝えたくない児童もいる中で、教員本位のペースで授業を進めれば、児童の気持ちはわからないままになるからです。私は学習指導補助員という立場で、児童が抱く教員への愚痴を聞くこともありますが、ため込んでしまうよりも言葉にして話せる方がいいはずです。自分が教員になった際に気をつけるべきポイントもわかってきましたし、“話せるクラス”にするための関係づくりや、ルールづくりを大切にしたいですね。

近藤 言葉にできないから“問題行動”に出てしまう児童もいますし、何か困難を抱えているから行動として表出されるのだと思います。児童の行動を一面的に捉えるのではなく、背景にある家庭環境などにも思いをめぐらせながら、児童が話しやすく、過ごしやすい環境をつくれる教員になりたいですね。
西幅 あらゆるクラス、あらゆる児童に有効な指導方法の正解は存在しないと思いますが、臨機応変に、そして柔軟に勉強しやすい環境を整えていける対応力を持った教員が理想ですね。学生が児童役と教員役に分かれるロールプレイを取り入れた模擬授業もありますし、児童の多様な反応を想定して、学生のうちに最大限の準備をしておくことが重要なのだと思います。

支え合い、刺激し合えるかけがえのない仲間がいる

―入学してから、みなさんの“教育観”に変化はありますか。

近藤 授業後に学生同士でコメントし合う時間や、何気ない会話も含めて、普段から教員を目指す理由や、理想の教員像などを話す機会は多いです。自分にはなかった考え方や視点に触れて、自分の教育観を見つめ直す機会になっていますね。

西幅 みんな積極的に発言するので刺激的ですし、難解な課題に直面したら支え合うかけがえのない仲間です。ときには価値観を揺るがす言葉もあるからこそ、方針転換して教員以外の道を志す学生もいますし、私もテレビ業界から教育に貢献したいと考えた時期もありました。

中村 教員免許は取得するものの、一般企業への就職を目指す学生は少なくないですね。私も以前は、教育行政に携わって現場ではなく行政の面から日本の教育を変えたいと考えたこともありました。
近藤 私も学校現場だけではなく、国際的な教育支援にも関心があります。昨年インドを訪れて、私立学校で学ぶ子どもと、スラム街の子どもの格差を目の当たりにしたからです。在学中にアフリカも訪れたいと考えていて、将来は教育面での国際貢献もできればと考えています。

―最後に、今後の目標を聞かせてください。

近藤 私は「子どもはかわいい」というプラス面ばかりに目を向けがちでしたが、いじめや不登校など、対応が容易ではない側面も知った上で、一生教育に携わっていきたいと思えるようになりました。今後は、あくまでも子どもたちの視点を大切にしながら、よりよい授業づくりに向けて私自身も学び続けていきたいと思っています。

西幅 私の周りにはとても優れた仲間が多く、当初は一歩“引いて”しまいがちでしたが、「ためらってはいけない」「失敗を恐れてはいけない」「まずはやってみよう」という挑戦意欲が高まりました。この先も学び続けることが重要だと思いますし、笑顔を絶やさずに、子どもたちに夢や希望を与えられる教員になりたいですね。

中村 私はまだまだ実力不足を感じていますが、ひとつ言えるのは、これまでに自分が経験してきた「当たり前」を児童に押しつけてはいけないということ。それは、子どもたちの自由な考えを阻害してしまうからです。その意識を持って、何をどこまで伝えるべきかというバランス感覚のある教員になることが目標ですね。

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