2025年、デザイン工学部が3コース制に デザイン×工学で世の中に新たな「しくみ」「コト」「モノ」をつくりだす楽しさを!—芝浦工業大学

2025年、デザイン工学部が3コース制に デザイン×工学で世の中に新たな「しくみ」「コト」「モノ」をつくりだす楽しさを!—芝浦工業大学

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芝浦工業大学デザイン工学部は、実践的なものづくり人材を育成する同大学において、新たに創造的なものづくりを目指す学部として2009年に誕生。時代のニーズに沿った、工学の技術と創造的な感性を生かし社会との調和を図る実践的な人材を数多く輩出し、高い評価を受けてきた。そのデザイン工学部が2025年4月に従来の2系から3コース制へとリニューアルする。社会課題の解決に向けて、学生がより明確に自分の興味関心に沿ったアプローチ方法で、「デザイン×工学」の学びに取り組んでいくことができるカリキュラムへと生まれ変わる。

そこで今回は、デザイン工学部の学部長である山崎憲一先生と学生2名に集まってもらい、「なぜ今、工学にデザインが必要なのか」「芝浦工業大学のデザイン工学部で学べること」「新たなコース制に期待すること」について語り合ってもらった。

取材・文 林 郁子

そもそもデザイン工学とはどんな学び?

―まずは山崎先生、デザイン工学という学びについて教えてください。

山崎 簡単に説明すると、言葉の通りデザインと工学の2つを結びつけて学ぶ学問です。

ただ、ここで言う「デザイン」とは、ものの見た目や意匠といった狭い意味でのデザインだけではありません。何かを新たにつくる際のスタート地点からゴール地点までに関わる全体的な設計のことです。本学部では特に「何をつくるのか?」「なぜつくるのか?」という問いかけを重視し、徹底したユーザーの分析に始まり、新しいものを生み出すアイデアや発想力、多様な視点での評価のための話し合いとトライアル&エラーを積み重ねています。
 

山崎憲一 先生
デザイン工学部長

―デザインと工学の2つを結びつけて学ぶメリットはなんでしょうか。

山崎 社会に貢献するものづくり人材の育成を目指す本学に、デザイン工学部が創設されたのは2009年です。かつての日本のものづくりの現場では、開発部門が新しい製品のアイデアを考え、デザイン部門が外見的な意匠をつくり、技術部門が構造や中身を考えるというように役割がはっきりわかれていました。しかし、デジタル技術の進歩によって、この分業がシームレスになりました。例えばCADというコンピュータ上で設計ができるツールやシミュレーターを連携させることで見た目のデザインだけでなく、強度の計算なども同時に行うことができるようになり、デザインと工学両方の知識とスキルを持った人材がいれば、新製品の開発がよりスピーディに行えるようになったのです。変化の激しい今の社会では、他の企業や諸外国との競争において、「速い」ことは重要な意味を持ちます。たとえばアメリカのソフトウェア分野では、《デザイナー》が最初から最後まで製品開発を担っています。

正直、日本はこうしたシームレスなものづくりのシステムについては、諸外国にやや遅れ気味です。さらには価格面やシンプルな性能面でも中国との競争が厳しくなっています。だからこそ、新たな発想で新しいものを素早く生み出せるデザインの力と工学の技術力の2つの力を兼ね備えた人材が、強く求められているのです。

芝浦工大のデザイン工学部ではどんなことが学べるの?

―では次に学生のお二人を中心に、デザイン工学部についてお聞きします。まず、デザイン工学を学ぼうと思ったきっかけから教えてください。
 

宮本比陽子 さん
デザイン工学部 4年生
「絵を描くことやデザインが好きでデザイン工学部へ。演習で取り組んだ新製品開発の企画が、商品化へ! デザイン工学の学びをより深めるため、来年からは大学院に進学予定です」

宮本 私は理系に進学したいと考えていて、理系の大学を探していました。ただ、昔から絵を描くことやデザインが好きだったことから、完全な理系の学部学科よりもデザインが関わる工学という点に興味を持ちました。デザインと工学、好きなことを両方学びたいという気持ちでの選択でしたね。

小林 私はエンジニア志望で情報系の大学に絞って探していました。けれど、受験直前になって「デザインもやってみたい」という思いを抱き、どちらの要素も取り入れているということで芝浦のデザイン工学部を受験しました。

山崎 小林さんが、そんなに強くデザインに興味を持ったきっかけには何かあったのですか?

小林 高校の総合学習で『受験生応援弁当をつくる』という授業があり、自分で考えたアイデアをかたちにし、企業に持っていって、実際にユーザーに届けるという経験が、とても楽しかったからです。その経験をきっかけに、進学先について調べているうちに、《デザイン》は見た目についてだけではなく、ものづくりの根本に関わる学びだと気づきました。

山崎 高校生でその体験を、《デザイン》だと気づくことができたのはすごいですね。
 

小林ゆに さん
デザイン工学部 4年生
「さまざまなコンテストでグランプリや最優秀賞を受賞し、デザイナーとして新たな教育サービスの起業にも着手。来年からは内定をいただいたメディア系企業で働きつつ、自身の事業も継続したいです」

―入学後、実際にデザイン工学を学んでみて、意外だったことやおもしろかったことがあれば教えてください。

宮本 今まではデザインというと平面の絵で描く経験止まりだったので、1年次の最初の授業で手を動かしてものづくりに取り組むと、いろいろな規制があり、自分が頭で思い描いていた通りにできないということを知りました。イメージとズレが生じることが難しいと感じると同時に、制作過程での試行錯誤を通して、自分なりの解決策が見つかるととても嬉しかったですね。

山崎 本学部では授業で絵を描くことそのものを学ぶことはありませんが、 絵がうまいことはイメージを伝える手段として、とても重要なスキルです。絵にする力があれば、新しいアイデアをより早く伝えられますからね。

宮本 デザインの授業でも新たな気づきがありました。例えばボタンの形状によって押しやすさが異なることや同じジュースでもパッケージで売れ行きが変わることなどユーザー視点やデザインのメッセージ性を知ることができ、デザインについてもより深く学びたいという意欲が増しました。

山崎 理数系の授業に難しさを感じることはありましたか?

宮本 ゴリゴリの理系志向ではなかったので、そこは少し大変だなと思うことはありました。けれど、デザイン工学という新しいものをつくっていく学びにおいては、絶対必要な知識であることがわかったので、モチベーションを高くもって頑張ることができました。

小林 私はUI(User Interface)・UX(User Experience)系という主にアプリ開発に関わるユーザーの使いやすさやユーザー体験について学んでいるのですが、ユーザーへのアウトプット段階ではアプリに限らずカードゲームになったり、プロダクトになったりと幅広い展開があることに気づきました。

企画開発段階での調査分析も同様で、アプリの開発といってもパソコンの中だけで終わることはほぼありません。例えばユーザーの生活を知るために直接お家にお邪魔することもあります。そのくらいユーザーのことを深く知り、分析することは重要なのだと実感しました。

山崎 今、お二人の話を聞いて、楽しくしっかり学んでくれているんだなあと嬉しくなりましたね。本学部は、デザインから工学へグラデーションのように幅広い学びが特長で、絵やデザインが好きな学生、企画や開発が好きな学生、工学よりの手を動かすことが好きな学生とさまざまな学生がいます。そうした学生が集まって、社会課題を解決したりユーザーのニーズに応えたりする新しいものを生みだすために、調査分析をし、話し合い、試作し、実装して、評価を受けるということをくり返します。

芝浦工大デザイン工学部のおもしろさは?

―現在4年生のお二人が取り組んでいる研究やプロジェクトについて教えてください。

宮本 私は3年次のプロジェクト演習で企業との合同で新製品の企画づくりに取り組んだところ、その案が採用されて製品化プロジェクトに発展しました。現在は、共同研究として量産設計に取り組んでいます。

山崎 すごいですね。どんな製品なんですか?

宮本 台車メーカーに向けた新たなカゴ台車の企画です。従来、バックヤードでのみ使用されているカゴ台車をディスプレイ用途でも使えるようカタチを見直し、カゴ台車そのものの価値を再構築することで、カゴ台車の意味を丸ごと変えるという提案です。授業では3Dモデルを使ってのイメージが中心でしたが、実際に企業で製品化するとなると力学的な要件や溶接技術等で可能なデザインが限られてしまい、デザインを一からやり直しました。また売れる必要があるため、市場調査をやり直すなど、考えるべき要素が複雑になる難しさがありました。けれど、単なるアイデア出しだけではなく製品化まで企業と共同でできることはなかなかないと思いますので、苦労もありますが、それ以上に嬉しくワクワクしています。

山崎 企業とのコラボや他大学との合同研究は、教員それぞれが取り組んでくれています。教員にとってもなかなか苦労の多い案件ですが、学内に留まらない実践的な学びは、学生にとって得難い経験になっていますね。

小林 私は3年生までは、ハッカソンとよばれるプログラマーやデザイナー、エンジニアなどがチームを組んでアプリ開発やサービス考案に取り組む各種コンテストや、ブランドデザインコンテストに参加して優勝するなど、デザイン工学部で学んだことを活かして学外の幅広い分野でのものづくりに挑戦してきました。現在は、今までにない新たな家庭教師サービスの事業化に取り組んでいます。

山崎 新しいシステムやサービスを作り出すには、問題発見が欠かせませんが、そういった視点はどうやって得たのですか?

小林 普段の授業やゼミで「ユーザーが一番大切」「ユーザーを知ること」という徹底したユーザー視点を教えられたことが大きいですね。また、仲間とのディスカッションです。例えば、グランプリをいただいたブランドデザインコンテストの「BranCo!」(博報堂/東京大学教養学部共催)ではテーマとなった「遊びとは何か」という答えのない問いを追求するために、アンケート調査をしたり、子どもたちと公園で遊んだりしながら、得たものをチームのメンバーと話し合って、遊びに関するブランドを提案しました。

現在取り組んでいる起業案件でも、調査を1度で済ませるのではなく、何段階にも分けて行うことでより正しいユーザー像に迫ることができています。

コンテストや起業など、やりたいことに自由に挑戦できる環境で学んで来られてよかったです。

新制度でデザイン工学部はこう変わる!

―来年度から新たに3コース制がスタートします。デザイン工学部の学びはどのように変わりますか?

山崎 新たなコース制度は、デザイン工学の学びを活かして、どのように社会に貢献していくかという視点で、カリキュラムを再編したものです。新しいものを生み出すには、表に出ていないものもふくめたユーザーのニーズを掘り起こし、その社会課題をどのように解決するかということが根っこにあります。新たな3コースは「どこから」「どのように」社会にアプローチするかをより明確にしました。

社会情報システムコースは、社会の情報を処理し、データを用いて社会問題を解決するしくみをデザインするコース。UXコースはアプリ、Webページ、家電機器などの使いやすさや情報伝達から得られる体験(コト)をデザインするコース。プロダクトコースは形のある製品(モノ)をデザインするコースです。

今回お話をしてくれた宮本さんや小林さんは、既に新製品や新サービスを開発し、社会実装に繋げていますが、新たなコース制では、学生がやりたいことや興味関心のあることと、社会とのつながりがよりわかりやすくなっていると思います。

―新コースではどのような学生が育ってほしいと考えていますか?

山崎 本学部の《デザイン》の学びは、ものづくりのスタートからゴールまでに総合的に関わりますから、新コースで社会とのつながりが深くなることで、起業にチャレンジする学生が増えてくれれば大変嬉しいですし、大学としても応援していきたいと思っています。それ以外でも、ユーザーと企業をつなぐコーディネーター、ものづくり全体に関わるディレクターやプロデューサーといった役割を、どんどん担っていってほしいと思っています。

とにかく「何か新しいことを生み出していこう」「世の中をよくしていこう」という前向きなチャレンジ精神があり、楽しく積極的に学ぶ意欲のある学生を、育てていきたいですね。

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