『平家物語』の登場人物たちに新たな光を。「問いに答えるための読み」から「問いを見出す読み」へー國學院大學

『平家物語』の登場人物たちに新たな光を。「問いに答えるための読み」から「問いを見出す読み」へー國學院大學

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KOKUGAKUIN STORIES×文学部日本文学科

文学部 日本文学科2年
川瀬優希菜さん
「平家物語研究会」所属

母方の曾祖父が遺した家系図から自分のルーツが平家にあると知り、昔から身近に感じていた『平家物語』。一般的には軍記物に分類されますが、高校生になって読み込むと、家族の絆、恋愛、友情、別離…戦い以外にも、人間が織りなすことへの憐れみや慈しみが描かれていることに気づき、時代を超えた人情の機微に魅了されました。ちょうどその頃、大学探しをしていて見つけたのが、國學院大學文学部の野中哲照教授のインタビュー記事です。その中の、「平家物語には人の情けやいくさの異常性がたくさん描かれている。軍事が好きだからではなく、平和について考えるために軍記物語を研究しています」という言葉に心を打たれ、野中教授のもとで学ぼうと決めました。

大学では『平家物語』の登場人物の研究に取り組んでいます。異本が多くある『平家物語』ですが、登場人物の描かれ方もさまざまなのです。たとえば、平清盛は『平家物語』では悪人のイメージですが、『十訓抄』を読むと思いやりに満ちた情に厚い人柄が描かれています。

また、彼の子や孫たちは、文武に優れ、社交的で容姿端麗。現代にいても男女を問わず慕われるでしょう。こうした『平家物語』を通してしか知られていない人物に別の角度から光を当て、掘り下げ、新たな人物像をイキイキと浮かび上がらせたい。そのために野中教授が顧問を務める「平家物語研究会」に所属し、読みの力を鍛えています。会の先輩たちは知識の量も視点の広さ・深さも私とは段違い。意見を交換するたびに気づきがあります。また、日本文学科には日本文学・日本語学・伝承文学の3専攻があり、私は日本文学を専攻していますが、伝承文学の授業で学んだ知識が『平家物語』とリンクすることも。他専攻の学びが自分の専門分野に奥行きを与えてくれる経験も國學院大學ならではだと思います。

こうした経験を通して、高校時代の「問いに答えるための読み」から「自ら問いを見出す読み」へと読み方が大きく変化しました。卒業後は大学院に進んで、古典の面白さや豊かさを伝える人になれるよう、学びをさらに深めたいと考えています。

文学部 日本文学科
皇典講究所の伝統を引き継ぎ、古代から現在に至るまでの文学・言語・風俗習慣などを研究する学科です。2年次から分かれる「日本文学」「日本語学」「伝承文学」の3専攻とは別に、「日本語教育」「国語教育」「書道」の各領域を設置。目的に応じて履修できます。

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