恐竜学は“理科の総力戦” 科学を駆使する多様な手法を学べる―岡山理科大学恐竜学科

恐竜学は“理科の総力戦” 科学を駆使する多様な手法を学べる―岡山理科大学恐竜学科

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岡山理科大学は今年で創立60周年を迎えた。西日本初の理学部単科大学としての開学以来、時代の要請に応えるように発展を続け、現在は8学部20学科1コースを擁する理工系総合大学となっている。2025年4月には、生命科学部医療技術学科、生物地球学部恐竜学科、通信教育部情報理工学部情報科学科の3学科(※)が誕生し、さらなる総合的な教育研究が可能になる見込みだ。今回は、新設される3学科のうち、生物地球学部恐竜学科に焦点を当てたい。日本で唯一となる学科名だが、どんな学びが行われるのだろうか。生物地球学部生物地球学科の實吉玄貴准教授にお話を伺った。

※医療技術学科、情報科学科の2学科は認可申請中のため、今後設置計画が変更になる場合があります。

取材・文 雫 純平(大学通信)

生物地球学部 生物地球学科 實吉玄貴 准教授

前身となる恐竜・古生物学コースでは世界初の実績も

―新しくできる恐竜学科は、どのような学科なのですか。

恐竜学科が所属する生物地球学部のコンセプトは“地球は巨大な博物館”です。フィールドワークを重視しながら地球環境や生物多様性などの教育研究に取り組んでいます。2014年には生物地球学部生物地球学科の中に、恐竜学科の前身である恐竜・古生物学コースが誕生しました。モンゴル・ゴビ砂漠での化石発掘や、持ち帰った岩石から化石を取り出すクリーニング作業なども行っています。また、骨化石からの有機物抽出や、ロボットを用いた恐竜の歩行理解など、分野横断的な教育研究を行っていることも特徴です。

コース開設から10年の間で、ゴビ砂漠の化石を産出する地層に対して、具体的な年代を明らかにしたり、歯化石から直接年代を示すなど、世界も注目する実績もでてきました。科研費などや本学独自のプロジェクト研究推進事業からも支援を受け、既存の恐竜・古生物学コースの専門分野を深化させ、かつ学際分野を開拓しながら学びを提供する環境が整い、恐竜学科の開設予定へ至りました。

―学際分野というと、現時点で8学部20学科を擁する岡山理科大学ならではの強みが活かされそうです。

既に学内の様々な学部学科との連携実績があります。例えば本学の工学部にはロボット工学の研究室がありますが、分野を超えた連携でワニの歩行を再現する研究に取り組みました。解剖学に基づいた動きを再現するためには、骨化石の形を観察し、動物である恐竜の動きを想定する力が役立ちます。また、化石のクリーニングには様々な技術を必要としますが、工学部の協力を得て道具の開発や理論の構築などを行なっています。ほかにも、理学部との協力により骨化石からの有機物抽出を行ったり、教育学部と共同して、学生によるゴビ砂漠での発掘体験なども行っています。恐竜学科の開設により今後は学内での連携もさらに活発化し、大学全体への教育研究に貢献できると期待しています。

恐竜学を学ぶことで多様な問題解決能力を身に付けることができる

―恐竜学科で学ぶことで、どのような力が身に付くのですか。想定される進路についても教えてください。

一見すると恐竜学は実社会と結びつきそうになく、進路を心配されている方もいるかもしれませんね。ですが、実は恐竜を理解するには、理科の知識・技能を総動員しなければなりません。例えば、恐竜の姿や動きを理解するためには、解剖学などの知識を必要とします。さらに、当時の環境も解明できれば、進化や生物としての戦略もわかるかもしれません。ですから、恐竜を理解するために、多様な学びが必要なのです。広い自然科学分野を学び、問題に対して多様な視点から解決法を考える経験は、どんな仕事にも役立つ、立派なスキルになるでしょう。

恐竜・古生物学コースにおける卒業後の進路実績としては、大学院進学、学芸員、教員を含む公務員、環境関連企業など。ほかに、骨の研究から製薬や化粧品メーカーに進むこともあれば、地層の研究から地質・建設コンサルタントに進むこともあります。学びながら自分に合う分野を見つけ、専門性を高めていくことができるのも恐竜学の魅力です。

―学内にある恐竜学博物館についても教えてください。大学の施設としてはとても珍しいものですね。

恐竜学博物館は地域の自然科学教育の普及を目的に、18年に学内に設立されました。学芸員課程の実習や、博物館学の学びなどへも活用されています。

地域の方々や子供たちが毎日のように博物館へ来館し、皆さんからのご質問へ、日常的に学生が対応しています。もちろん中には内向的な学生もいますが、自身の学ぶ化石のことは、積極的に話をしてくれています。そうやって地域の方と触れ合うことで、どんどん話が上手になっていく学生を何人も見てきました。恐竜学博物館は学びの場であると同時に、学生が社会とつながり、変わっていくきっかけになる場という側面もあります。

―最後に、読者である進路指導教諭の方へのメッセージをお願いします。

恐竜学科は、私たちが受験生のときにあれば良かった、との思いの詰まった学科です。しかし、恐竜から将来を想像することはとても難しいと思います。生物地球学部恐竜学科は、総合科学として恐竜を学ぶことで、「失敗の許されない選択」ではなく、「自らに合う学びと将来を選択」するための思考を身に付ける場になりたい、と考えています。それは、学生が自らの力で将来の選択肢を広げること、将来のありたい姿を具体的に想像する力につながると信じています。もし、恐竜学科に興味を持つ受験生がいれば、ぜひ受験校としてご検討頂ければ幸いです。

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