時代のニーズに応え千葉工業大学に来春、宇宙・半導体工学科オープン

時代のニーズに応え千葉工業大学に来春、宇宙・半導体工学科オープン

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2025年4月、千葉工業大学に宇宙・半導体工学科が誕生する(機械電子創成工学科から改組予定)。宇宙産業、半導体産業は今や世界各国がしのぎを削っている分野だ。我が国も力を入れており、そのためのエンジニア養成が急務となっている。千葉工業大学は、時代のニーズを取り込み、社会に貢献することを掲げており、新学科開設はまさにその精神を具現化するものだ。新学科長に就任する手嶋吉法教授と「宇宙」を担当する和田豊教授に聞いた。

取材・文 浜名 純

機械電子創成工学科を母体に惑星探査研究センターとコラボ

―まず、宇宙・半導体工学科の開設に至った経緯と背景について、新学科長に就任する手嶋先生からお教えください。

手嶋 宇宙工学と半導体工学は、それぞれ何十年もの歴史をもっていますが、近年、その重要性が非常に高くなってきました。世界各国が宇宙産業と半導体産業の分野でしのぎを削り、「宇宙半導体市場」という概念も生まれてきました。日本でもこの分野に力を注いでいます。大学はアカデミックな機関として社会の動向とは一定の距離を置き、基礎となる学問を学生にしっかり習得させるという役割とともに、時代の要請に応えていくという側面もあります。千葉工業大学は、時代のニーズを取り込んでいくことを特色としており、現在の機械電子創成工学科を母体として新学科を開設することにしたのです。

―新設の宇宙・半導体工学科ではどのような学びをするのでしょうか。

手嶋 従来の機械工学、電気電子工学をきちんと習得した上で、それをベースに宇宙および半導体それぞれの工学を学びます。例えば、1年生の後期に宇宙理工学概論と半導体工学概論で基礎を学び、進級すると宇宙・半導体・メカトロニクス総合講義演習という実習科目を履修します。そして、4年生になると宇宙理工学発展講義と半導体工学発展講義を実施し、より高度な知識を吸収します。

科目名を見ても分かるように、半導体のほうは工学なのですが、宇宙のほうは理工学としています。本学には惑星探査研究センターがあり、そこには理学を研究する科学者が多数在籍しています。宇宙を広く研究分析するには理学的なサイエンスを支える工学に基づくものづくりが必須であり、千葉工業大学だからこそ成し得ることだと自負しています。惑星探査研究センターの研究員の方々にも授業を行ってもらうことを考えています。

―和田先生は、現在、機械電子創成工学科教授で、惑星探査研究センターにも所属して研究をなさっています。どのような研究に従事し、新学科ではどんな内容の教育を展開していきますか。

手嶋吉法教授

和田 ロケットのエンジンを研究開発するのが主な研究テーマになっています。その中でも、私はハイブリッドというロケットの研究を行っています。ハイブリットロケットはプラスチック燃料が主ですが、どうしたら効率よく燃焼するかを学生と一緒に明らかにしようとしています。惑星探査研究センターでは、宇宙規模で「生命の起源や進化」を究明するアストロバイオロジーという学問を目指していますが、ハイブリッドロケットを介して、これらに貢献したいと思っています。

宇宙産業を支える高度技術者を育成する本学の教育プログラムにも従事しており、今年の3月には学生が製造した超小型衛星「KASHIWA」が打ち上げに成功、4月11日には国際宇宙ステーションからの放出にも成功しました。

―手嶋先生は、どのような研究をなさっていますか。また、学科長として新学科の教育に対する抱負をお聞かせください。

手嶋 私の研究室では主に機械工学に関係する研究しておりまして、多方向にわたる研究を展開していて、代表的なものを挙げるだけでもかなりの数になります。研究の柱として「形と機能の研究」という看板を掲げています。機械工学では物の強度や運動を調べますが、そのような機能を高める為には物の形や構造が重要な役割を果たすのです。他ではやっていない設計工学の新しいテーマとして、3次元ジグソーパズルの開発などに取り組んでいます。機械工学と電子工学の基礎を身に付けた学生が、さらに半導体と宇宙を際立たせるようなカリキュラムを学ぶことで、宇宙産業または半導体産業でエンジニアとして活躍することを期待しています。

世界レベルの宇宙・半導体産業の技術者養成へ

―人材育成の話が出てきたので、最後にどのような人材を育てたいか、そして、受験生に向けてのメッセージをお聞かせください。

和田豊教授

和田 2030年には世界の宇宙産業は150兆円規模になると試算されており、日本では8兆円産業に育てることを掲げています。つまり、欧米諸国での宇宙ベンチャー企業の活躍に刺激され、日本でも多くの企業が宇宙開発に力を入れています。ところで、今、問題になっているのは、高品質な人工衛星や宇宙輸送機の設計・製造・運用を支える高度技術者が圧倒的に不足していることです。例えば、自動車産業を見ると、研究者はもちろんいますが、その下に物を作る優秀なエンジニアがたくさんいて成り立っています。しかし、今の宇宙の産業がどうなっているかというと、研究者は多いが、実際に宇宙を知り宇宙で動く製品をつくるエンジニアはほとんどいないという状態です。すなわち、完全に逆三角形になっており、企業が進出して来て作りたいと言っても、作れる人がいないというのが課題です。まさに宇宙関係のエンジニアの育成が急務だと言われています。

本学では、それに迅速に対応するためにも新学科を立ち上げ、少しでも宇宙のことを知り、宇宙機を製造するエンジニアを教育・育成していくことを目標にしています。こうして現役の大学生を対象に実践的な宇宙教育に力を入れるとともに、大学院ではより専門的な研究も行っていくこを目指しています。

手嶋 世界は今、半導体産業でしのぎを削っています。高度な先端技術で日本のためだけではなく世界のために貢献するというのが千葉工業大学の建学の精神でもあります。次代を担う若い皆さんは、宇宙・半導体産業を通して世界に役立つ技術者になってほしい。そのためにも数学や物理などの勉強をしっかり頑張ってください。高校の先生には、現実に受験という壁もありますが、それを越えて学問の面白さを伝えていただければと思います。

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