国際性豊かなキャンパスで国境のない学びを 南山大学のグローバル教育

国際性豊かなキャンパスで国境のない学びを 南山大学のグローバル教育

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中部地区を含む西日本で唯一のカトリック系総合大学として発展する南山大学では、「個の力を、世界の力に。」をビジョン・キーフレーズとして掲げ、キリスト教的世界観に基づき、人間の尊厳を尊重したグローバル教育を実践している。では、その教育内容は具体的にはどのようなものなのだろうか。国際問題が相次ぎ、人間の尊厳が危ぶまれる今こそ、注目してみたい。南山大学のグローバル化推進担当副学長で、国際教養学部所属の山岸敬和教授に、お話を伺ってみよう。

聞き手 雫 純平(大学通信)

グローバル教育は南山大学のアイデンティティ

南山大学 副学長(グローバル化推進担当)
国際教養学部 山岸敬和教授

―多くの受験生が、南山大学と言えばグローバル教育というイメージを抱いていると思います。その教育内容を具体的に教えていただけますか。

確かに、本学はカトリックの大学として開学した経緯から、グローバルの精神は学部に拘わらず大学全体のアイデンティティとして非常に大切にしています。

近年は、新型コロナウイルス感染症の拡大や、ウクライナへの軍事進攻、ガザ地区での軍事衝突などといった深刻な国際問題が相次いでおり、既存の枠組みのままでは諸問題に対応できないことが分かってきました。大学としても、グローバル教育の在り方を変えないといけないという危機感を持っています。本学は伝統的にグローバルの精神が教職員に根付いていますから、教育改革もスムーズに進みました。

コロナ禍以降、いま力を入れているのは、NU-COIL(※)です。COILとはオンラインで海外の大学とつながり、双方の学生が協働して学ぶ機会をつくるものです。例えば、私の担当するクラスでは、アメリカの学生と協働しながら、日米でのコロナ対策の比較をして、なぜ国ごとに対策の違いが生じるかなどの検証を行いました。

※NU-COIL=Nanzan University Collaborative Online International Learning

国際交流というと外国の学生と楽しく会話をしながら異文化理解というイメージがあるかもしれません。COILではそこから一歩進み、異文化を理解した上で、社会問題の解決につながるプロジェクトにともに携わるというものになっています。言語や時差はもちろん、考え方や価値観の異なる海外の学生たちと協働する難しさを実感しながら、国境を越えて活躍する力を養えるプログラムとなっています。

国際性豊かなキャンパスでの学び

―留学に行かずとも、キャンパス内でグローバルに協働する経験が得られるプログラムなのですね。

このプログラムに限らず、キャンパス自体が国際性豊かであることも本学の特長の1つです。学部には、アジアを中心に120人程度の留学生がいますし、それとは別に英語圏の学生を中心として定員165人の留学生別科があります。また、キャンパス内には留学生と日本人学生の交流を主目的とする建物があり、多文化交流ラウンジStella、ワールドプラザ、ジャパンプラザという目的の異なる3つの交流スペースが開放されています。日本人の学生には是非このような場に気軽に足を運び、自分の住んでいる国や地域への理解を深めながら、自分自身の意見を多言語で発信するための準備をしていってもらいたいと思います。

―留学についてはどのようにお考えですか。

確かにキャンパス内で国際性を身につけることは十分に可能ですが、そこで自信をつけたならばぜひ留学をお勧めしたいです。本学では他の多くの大学に先んじて海外大学との協定締結を進めた歴史を持ち、留学先の選択肢を豊富に用意しています。また、短期留学では各学部の主催で、特徴のあるプログラムが揃っています。例えば法学部では、オーストラリアでの法文化研修を、理工学部ではアメリカでの理工学研修を実施しており、語学留学に留まらず、専門的な内容を学ぶ留学となっています。留学プログラムを国際センターだけでなく各学部が主催しているというのは、大学全体にグローバル精神が根付く本学ならではのことだと思います。もちろん、国際センター主催の汎用的な留学プログラムも提供していますので、学生が自身の興味に合わせて選択することが可能です。

―南山大学が考えるグローバル人材像とは、どのようなものなのでしょうか。

冒頭にお話ししました通り、現在、我々が直面している諸問題には既存の枠組みでは対応できません。諸問題を解決できる「新しい現状」を作り出すために必要なことは、“3Ds”、つまり3つのDで表せると考えています。それはDignity(人間の尊厳の推進)、Diversity(多様性の重視)、Dialogue(対話の場づくりとその実践)です。誰か1人が勝者になるのではなく、全員が勝者になれる方法をめざせるような、世界のどこでも愛される仁徳のある人材こそが、本学が育成をめざすグローバル人材像です。

―最後に、進路指導教諭の方へのメッセージをお願いします。

本学の建学の理念は「キリスト教世界観に基づく学校教育を行う」で、教育モットーは「Hominis Dignitati(人間の尊厳のために)」です。本学ではこれらの理念を体現できるような人材を育てています。

どの大学にもそれぞれの理念があると思います。受験生一人ひとりの気持ちを汲み取り、それらに合致した理念を持つ大学へご案内していただければ幸いです。

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