自由な音楽性を謳歌する~学習院大学ジャズ研究会「フライングハウス」~

自由な音楽性を謳歌する~学習院大学ジャズ研究会「フライングハウス」~

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ジャズ研究会「フライングハウス」は、主にモダンジャズの演奏技術向上を目指す音楽サークル。1976年設立の歴史あるサークルですが、コロナ禍での部員激減による休部期間を経て、2023年4月にジャズ研究会として再始動しました。2024年度の部員数は約40名。代表の前川さん、副代表の小泉さん、新入部員の神山さんの3名に活動内容やジャズの魅力についてお聞きしました。

上段左:前川 大周さん(ウッドベース)(2024年度代表)法学部法学科 3年 千葉県私立八千代松陰高等学校出身
上段右:神山 乃音さん(サックス) 国際社会科学部国際社会科学科 1年 北海道札幌国際情報高等学校出身
写真右:小泉 至さん(ドラム)(2024年度副代表) 法学部政治学科 3年 神奈川県立相模原弥栄高等学校出身

演奏者1人ひとりの個性を音にする

まずは入部のきっかけから教えてください。

前川:私は高校時代に独学でエレキベースの腕を磨き、ボーカロイド系の曲のいわゆる「弾いてみた」を軸にしたバンド活動をしていました。当時からジャズに興味があったわけではなくて、大学入学時に何か新しいことを始めたいと考えて選んだのが、ビッグバンドの「スカイサウンズジャズオーケストラ部」でした。1年次はそこでウッドベースを弾いていました。ただ、その後”コンボジャズ”という少人数編成での演奏がしたくなり、「フライングハウス」には2023年4月の立ち上げ時から参加しています。

小泉:私は立ち上げから約半年後、2年次の後期に入部しました。中高では吹奏楽部で、中学時代はチューバ、高校ではパーカッションを担当していました。私も少人数で演奏するジャズに興味があって入部しました。

神山:私も中高は吹奏楽部で、ずっとサックスを吹いていました。大学でもサックスを続けようと思ったものの、吹奏楽とは別の新たなジャンルに挑戦したいと思ったことが入部の決め手です。入部して驚いたのは、誰もが言いたいことを言えるサークル内のフラットな関係性です。良いのか悪いのか、2年生が3・4年生に”タメ口”で話していることもあるほどで……。

前川:できるだけ自由に音楽を楽しんでほしいという思いが強いので、上下関係という概念を意識しないで済む雰囲気づくりを心がけているつもりです。それでも「〇〇〇だよね。△△△でしょ~。□□□ですよね?」と、最後だけ敬語にすることで、かろうじて上級生を”立てる”ような気づかいや節度は感じます(笑)。

小泉さんと神山さんは吹奏楽部出身なんですね。

小泉:高校までは指揮者の先生がいて、「こうしよう」「こうした方がいい」といった、言ってしまえば絶対的な指導・指示の下で演奏していました。ただ、ジャズには指揮者がいません。曲ごとに各パートの”どのフレーズが魅力的か”を演奏者同士で話し合いながら”音を作って”いく醍醐味があります。楽譜どおりに演奏する必要もなく、自由に解釈しながら”アドリブ”で演奏するので、1つの曲でも演奏者によってリズムやビートが違ってくるのがおもしろいですね。

神山:私の場合、高校時代は大人数で踊りながら演奏する「ダンプレ(ダンス&プレイ)」というスタイルだったので、指揮者がいないジャズのスタイルにもスムーズに入っていけたと思います。アドリブは未知の領域だったので難しさも感じましたが、ふと”いい感じのフレーズ”が吹ける瞬間もあってうれしくなりますし、納得のいく演奏ができたときは、とてもやりがいを感じます。決まった演奏方法があるわけではなくて、集まったメンバーでその場で曲を決めて即興で演奏するので、同じ曲でもメンバー次第で何通りもの楽しみ方があることがわかりました。

前川:そうですね。私は周りをよく見て、仲間がどう演奏したいのかを感じ取りながら、自分も「あぁしたい」「こうしたい」と考えながら演奏しています。練習で柔軟に自由度高くアドリブで演奏してみて、”自分たちらしさ”を出せるスタイルや方向性を検討しながら、ライブに向けて完成度を高めていくイメージです。少人数のコンボだと1つの編成で使う楽器は限られてきますが、その分、演奏者の個性を出せることが魅力です。組み合わせはさまざまで、ベースとピアノだけの”ドラムレス”の編成もあるなど自由度が高いんです。ピアノソロもありますし、仮に歌い出すメンバーがいても許容してしまうほどの自由さです。神山さんがダンプレの経験を活かして踊ってくれたっていいですし、演奏中に「次は君のソロ。期待してるよ」とか「いい感じだからもっとアクセル踏み込んじゃいなよ」みたいなメッセージをアイコンタクトで送ることも多いですね。

小泉:「このフレーズ一緒にやろうよ」のような思いが表情から伝わってきて、途中から急遽ドラムを叩くこともありますね。

前川:練習したこともないような演奏を本番でいきなりすることもあるのですが、普段から週3回の活動でセッションを重ねていると、「こうすれば楽しいはず」といった共通の感覚が芽生えてきて、なんだかんだで本番でも対応できちゃうんです。

誰もが好きな楽器に挑戦できる

普段の活動内容を教えてください。

前川:富士見会館の地下防音室で週3回、主にセッションと呼んでいる即興演奏をしています。また、大学祭や目白音楽祭でのライブや合宿もあり、各地で開催されるジャズイベントにも参加しています。合宿先は、軽音部などの音楽系サークルがよく使う志賀高原の施設。2024年度は夏と冬を予定しています。ライブは、参加したい学生が周りの学生を誘ってバンドを組んで参加しますので、強制ではありません。また、1つの編成で活動し続けることはほとんどないので、バンドはその都度組みます。日々のセッションも固定のバンドメンバーで行うわけではありません。毎回出欠確認は行いますが、原則として自由参加にしていますので、その日に集まった人で曲を決めてアドリブで演奏します。地下防音室ではなく、部室に集まったメンバーで突発的にセッションが始まることもありますし、とにかく楽しみながら演奏技術を高め合っています。演奏しているジャンルは、主に「モダンジャズ」です。「ビバップ」とも呼ばれ、1940年頃のアメリカで当時における”昔ながら”のジャズから”現代的”なジャズに切り替わる中で生まれたジャンルです。

小泉:そこから”チャーリー・パーカー”や”マイルス・デイヴィス”などの偉大なジャズミュージシャンも生まれました。

前川:このモダンジャズを中心とする代表的な曲の楽譜集が、私たちが愛用している通称”黒本”。正式名称は『ジャズ・スタンダード・バイブル』(リットーミュージック)です。吹奏楽の楽譜には始めから終わりまで”すべて”が書かれていますが、黒本には、要は基本的な内容しか書いてありません。「あとはテキトーにやっておいて」といわんばかりの内容ですが、それが自由度の高いモダンジャズなんです。

小泉:1曲あたりほぼ1ページほどしか楽譜がなくて、メロディーとコード進行が中心。それをもとに個々がアドリブで演奏するんです。

神山:ある程度は想像していたのですが、「やっぱりジャズってそうなんだなぁ~」とつくづく思ったポイントですね。

どんなメンバーが在籍していますか?

前川:1年生はジャズの編成も何もわからずに入部する人ばかりです。みんな「オシャレな音楽」「アドリブで演奏できる」といった程度の認識で、楽器は未経験という部員もめちゃめちゃいます。かといって聴くのが専門というわけでもなく、きちんと練習するんです。

小泉:そもそもジャズはリズムが独特ですので、ジャズに関しては未経験者が100%と言ってもいいかもしれません。みんな初心者。スタートラインは同じなんです。楽器経験がないからこそクセがなくて、ジャズのリズムをすぐに理解できる人もいます。また、演奏経験がなくても、多種多様な音楽を聴き込んで”耳の肥えた”人が演奏技術を身につけることで、”良い音に関する引き出し”をうまく活用できるようになることもありますね。

前川:そのために上級生が丁寧に教えますし、6月には1年生と上級生がバンドを組んで発表する「1年生ライブ」という内輪のイベントもあります。まずは1曲できるようになって、そこからレパートリーを増やしていきます。

小泉:ちなみに、楽器ごとに定員が決まっている音楽団体もありますが、フライングハウスなら初心者でもみんな好きな楽器に挑戦できます。そこも自由です。あとは、音楽でもスポーツでも同じだと思いますが、ある程度の”頑張り”は必要だと思います。その際、集中して練習する一方で、ライブハウスなどで上級者のジャズを聴く経験も成長を後押ししてくれるはずです。個人的に行ってくれてもいいですし、どうせならみんなで行きましょう。私の場合、ライブでとても楽しそうに演奏しているミュージシャンに感銘を受けて以来、私自身が感じる楽しさを見てくれている人にも伝えられるような演奏方法も意識するようになりました。

演奏の幅が広がり、より深く音楽を楽しめる

印象深い活動や、自分の中で変化した部分や成長した部分を教えてください。

前川:思い出深いのは、2023年に「横濱ジャズプロムナード」という日本最大級のジャズイベントに参加したことです。日々磨いてきた演奏技術を”ジャズの街”といわれる横浜で披露できたことは、とても感動的な体験でしたし、本番に向けて計画的に行動する力も高まりました。また、こうしたイベントで知り合った方や、他大学のジャズ研の学生など、音楽サークルでの活動をとおした人脈やコミュニティの広がりを感じています。

小泉:私にとって印象深いのは「池袋ジャズフェスティバル」です。大学生活で最も観客が多いライブで緊張もしましたが、とても楽しいイベントでした。とことん練習して、さらに練習して、授業にも出て、レポートなどの課題にも取り組んで、また練習。全部本気で取り組むからこそ、ライブ後は大きな達成感を味わえました。「どうすれば上手くなるのか」と試行錯誤すること自体も楽しいですし、物事をやり遂げる力が向上したように思います。成長を実感できて、就職活動をはじめ、今後に向けた大きな自信にもなりました。

前川:そうですね。これから就職活動もありますが、私は卒業まで活動を続け、可能な限り学外のイベントにも参加したいと思っています。2024年度なら「墨田川ジャズフェスティバル」や、仙台での「定禅寺ストリートジャズフェスティバル」。仙台遠征を計画しているんです。あとは「横濱ジャズフェスティバル」にもまた出たいですね。

神山:私も”自分らしい音”を出せるようになったら学外イベントに出てみたいですね。今はまだ手探り状態ですが、まずはカッコよくアドリブでサックスを吹く先輩に追いつくことを目標に練習を重ねていきます。

最後にジャズや音楽系サークルに興味のある学生にメッセージをお願いします。

神山:ジャズの最大の魅力は、楽譜どおりに演奏するだけでなく、自分でアレンジできる演奏の自由度が高いこと。演奏の幅が広がり、より深く音楽を楽しめています。これから卒業まで、多くの仲間とセッションして、その楽しさを共有していきたいですし、そのためにもまずは見学でも体験入部でも来てほしいです!

小泉:私たちのサークルは2023年に始動して、まだまだ運営面で改善できる部分もあると思います。ですから、音楽を楽しみつつ、フライングハウスを一緒につくっていってくれる方にも期待したいですね。

前川:「大学で新しいことがしたい」と思ったら早い方がいいと思います。もしもまだ部活・サークル選びで迷っている1年生がいたら、本当に気軽に足を運んでみてください。もちろん2年生以上でも、ジャズがやりたくなったら後期からの参加も大歓迎です。ちなみに、管楽器は基本的に”マイ楽器”が多くて、ほかの楽器は部のものを使えます。入部後の楽器変更も自由。ジャズは自由で寛容です。ジャズが好きな方はもちろんのこと、新しいジャンルの音楽に挑戦してみたい方、自分のペースで音楽に関わっていきたいという方にもおすすめですよ!

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