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海外研修施設で最先端のプログラムを体験
聖徳大学看護学部は、「気品」と「実践力」を備えた、凛とした看護職育成を掲げ、2014年に開設された。以来、その教育実績が評価され、国公立系病院など難関といわれる病院にも多く卒業生が就職。2023年度には《看護・保健・医療系》で実就職率全国1位(※1)となった。聖徳大学の新たな教育をレポートするシリーズ「未来へ向けて挑戦する聖徳の教育」第5回は、高い評価を受ける看護学部のシミュレーショントレーニングにスポットライトを当てる。ハワイ大学での研修をはじめとする充実したシミュレーショントレーニングの内容紹介とともに、「なぜシミュレーショントレーニングが大切なのか」という意義について、看護学科長補佐を務める寺岡貴子教授にお話を聞いた。
取材・文 林 郁子
※1:実就職率=就職者数÷{卒業(修了)者数−大学院進学者数}×100 2023年3月卒業生実績(大学通信調べ)
充実した設備を活用しよりよい看護を目指す教育
―看護学部で実施されているシミュレーショントレーニングとは、どういった教育プログラムなのでしょうか。
本学のシミュレーショントレーニングでは、実際の医療現場で遭遇しやすい状況を設定して学習者が看護を実施し、その経験を主体的に振り返るトレーニングをくり返すことで、現場で必要とされる知識・技術・態度を着実に身につけることを目的としています。看護学部開設初年度から授業の一部に各種シミュレーターを使った実習を取り入れてきましたが、2022年からは新カリキュラムとなりシミュレーション専門の科目「看護実践シミュレーションⅠ〜Ⅳ」を追加しました。1年生から4年生までがそれぞれの学習段階に応じた課題に取り組んでいます。
―高機能シミュレーターなど、最新の設備が整っていますね。
学内には人型の高機能シミュレーター(通称:患者ロボット)を含む100体以上のシミュレーターを備えています。患者ロボットは、脈拍や体温、血圧、心肺音等の測定が行えるだけでなく、汗や涙を流したり、咳やくしゃみをしたり、顔色を変えたりと本物の人間のような体調の変化を表すことができます。また、操作室から音声を送って会話もできるため、患者さんの問診や援助の際の声かけのトレーニングも行えます。実習室は診察室や病室を模しているため、まさに病院での実習さながらの経験をしっかりと積むことができるのです。
最先端の研修施設で学ぶ時流に応じたプログラム
―海外研修として、ハワイ大学でもシミュレーション研修を行なわれていますね。
海外シミュレーション研修は、アメリカでも有数の研修施設であるハワイ大学マノア校のトランスレーショナル・ヘルス・サイエンス・シミュレーション・センター(THSSC)で行っています。看護学部の2年生の必修科目として、毎年秋学期(後期)の終わりごろ1週間ほどの日程で実施しています。最先端の医療・看護施設や研究に触れることで、3年次から本格的に始まる病院での臨地実習に備えることを目的としています。それと同時に大学生活の折り返しとなるこの時点で、海外の看護学部の学生との交流を通して、学生に多様な価値観や国際的な視野を育んでほしいという聖徳大学の人間教育の側面もあります。
―具体的にはどういったプログラム内容となっていますか。
現地でのシミュレーショントレーニングのプログラム内容は、毎年異なっています。これは、その時々の看護を取り巻く社会状況を反映しているためです。今年度は、コロナ禍を経て世界的に導入が進んだ「Telehealth(遠隔医療)」のシミュレーションでした。モニターを通して熱や咳、呼吸音などをチェックする遠隔での医療・看護のスキルは、感染症蔓延時だけでなく、少子高齢化が進む日本の過疎地の医療でも必要となるでしょう。
また、「災害看護」の演習では、患者の重症度を判断し優先順位をつけるトリアージ演習を体験。THSSCの見学では、最新の機器や設備に興味津々で、特に出産時の胎児の様子が観察できるシミュレーターには、小児・母性看護を学ぶ学生が目を輝かせて見入っていました。
―海外研修の参加前後で、学生のみなさんに変化はありましたか。
高度な看護教育から多くのことを学ぶだけでなく、海外で看護を学ぶ学生の熱意や姿勢に非常に刺激を受けるようです。今年の交流会では、通訳を介さず学生たちが英語で日本文化を紹介したのですが、コミュニケーションのための英語力の必要性を実感した学生もいましたね。
この貴重な経験を、学生生活や社会に出てからも大いに役立ててほしいと願っています。
今後さらに重要性を増すシミュレーショントレーニング
―海外研修をふくめ、シミュレーショントレーニングに非常に力を入れている理由を教えてください。
実際の看護の現場では、「失敗」は患者さんの体調に悪影響を与える危険があります。そのため、臨地実習では、学生が重篤な症状の患者さんや緊急性の高い患者さんの看護を担当することはほぼありません。けれど、座学や見学だけでは看護に必要な知識・技術・態度を身につけるには不十分です。一方、シミュレーションは、何度でも「失敗」が可能な教育です。うまくいかなかった際に、その原因を究明し、以降の失敗を未然に防ぎ、よりよい看護を実現することができます。先駆的な医療など、さまざまな状況に臨機応変に対応できる高い実践力を養成するためにも、シミュレーショントレーニングは、今後ますます重要になっていくでしょう。
―最後に、聖徳大学看護学部の受験を考えている高校生へのメッセージをお願いします。
本学は総合大学という強みがあります。看護学部で看護を学ぶだけでなく、他学部・学科と協働する(※2)「Field Linkage」や、広く社会や経営を知るための「Business Field Linkage」といったプログラムで学べば、自分で訪問看護ステーションを立ち上げるなど新たなキャリアを切り開くこともできます。看護という確かな知識とスキルを軸に、ぜひみなさん自身の手で可能性を広げてください。
※2:聖徳大学の独自プログラム「Field Linkage」と「Business Field Linkage」は、2023年8月に商標登録認定
主体的な振り返りと学び合いを重視したシミュレーショントレーニング
聖徳大学看護学部のシミュレーショントレーニングは、基本として3つのパートに分かれている。最初にブリーフィングという患者さんの背景や場面の説明があり、次にシミュレーターを使って援助を実践するパート、最後にデブリーフィングという援助を行なった学生とその様子をモニターで見学していた学生、教員とで振り返りのミーティングを行うパートがある。シミュレーションというと2番目の実践パートのみをイメージしやすいが、実は重要なのは最後のデブリーフィングである。
「実習室にはモニタールームがあり、実習者がシミュレーターを使って援助を行っている様子を、ほかの学生はリアルタイムで見学することができます。デブリーフィングでは、実習を担当した学生が何を観察しなぜその援助を行なったのかといった所見を報告し、他の学生は見学をしていて気づいたことなどを伝えて共有します。気づきや学びを共有することで、全員でよりよい援助を目指し学んでいくことができるのです」(寺岡先生)