変わりゆく社会に順応し新たに生まれ変わる社会学部 領域を超えた学びの世界へー龍谷大学

変わりゆく社会に順応し新たに生まれ変わる社会学部 領域を超えた学びの世界へー龍谷大学

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2025年4月、龍谷大学社会学部は従来の社会学科、コミュニティマネジメント学科、現代福祉学科の3学科制から新たに生まれ変わる。総合社会学科の1学科体制としたうえで、現代社会、文化・メディア、健康・スポーツ、現代福祉の4コース制に改編される。さらにキャンパスは現在の滋賀県大津市の瀬田キャンパスから京都・深草キャンパスへ移転する。社会学部長の井上辰樹教授に生まれ変わる社会学部の目指すところを聞いた。

聞き手 井沢 秀(大学通信)

龍谷大学 社会学部長 井上辰樹教授

―今までの3学科を1学科にして、4コース制を取るということですが、その狙いについて教えてください。

社会の変化は本当に早くて、特に福祉的な課題は、いわゆる高齢者や障害者などの固定された層だけの話ではなくなっています。社会全体に広く一般化している中で、福祉における社会学的な要素がとても必要になってきています。

一方で社会学は、世の中の表層に出てくる課題は氷山の一角ととらえ、見えないところにある多くの事実をきちんと調査し分析することで、本当の課題を見いだす学問なのですが、その中に必ず福祉的な課題も入ってきます。

そうした社会になっているにも拘わらず、これまでは社会学、社会福祉学という学科でレールを敷いていました。特に社会福祉学の方は、福祉専門職の養成に対応したカリキュラムとなっていることが多く、ほかの科目を取ろうと思ってもなかなか自由度がない。社会学の方から科目を取りに行こうとしても、それも壁が高くて厳しい。いわゆる学部学科の壁というものがあって、社会の変化に対応できる仕組みになっていませんでした。それを見直していく中で、学科という壁をなくして1つになるべきという考えに行きつきました。そこで総合社会学科という名称として、学部の教員全体で1つのカリキュラムを作り、変わりゆく社会に対応できる人物の育成を目指すことにしたのです。

コースの垣根を越えて現場主義の新しい実学を

―1学科体制になりますが、コース分けはあるのですね?

社会学のすべての分野と社会福祉学のすべての分野をカバーできる専任教員をそろえるのは現実的ではなく、限られた教員の中でカリキュラムを作っていく必要があります。その教員の専門性を分類したうえで、入り口を「現代社会」「健康スポーツ」「文化メディア」「現代福祉」という4つコースに分けて、それぞれの志向性を持った学生を受け入れ、4年間のカリキュラムで育てていこうと考えています。

コース制というと、1回生から4回生までレールが敷かれている、学科をイメージする方も多いようですが、それぞれの志向性を持って入学した学生が、コースを越えて垣根なく学べる公共社会学の理論を軸とした仕組みになっています。コースは分かれていても、自分の志向性に合った、もしくは足りなかったり関心があったりする分野を、コースを超えて学ぶことができます。

―もう1つ特徴的な授業が全員必修の「プロジェクト科目群」になると思います。コースにとらわれず、少人数クラスで実習とゼミを行うもののようですが。

理論を学ぶ「講義」と、地域課題の発見・解決などに取り組む「実習」と、実習で得た学びや成果を考察する「演習」を連動させて、理論と実践を往還させるサイクルが特色です。現場を知ることが社会学や社会福祉学にとってとても重要なことなのですが、今、学生のほとんどが情報を得ているのはスマホなどインターネット経由になっています。メディアから情報を得る時は、基本的に自分の興味関心のあるもので完結する。かつ、出てきている情報が、どこまで信頼度や精度の高いものなのか分からないなかで、自分にとって都合のいいものだけがチョイスできる。その結果、善悪の判断において重大性の認知力が養われにくい傾向にあるのです。その理由の1つは情報を精査する力が十分につかないこと。もう1つは仮想空間、いわゆるリアリティがない場での情報収集では、重大性の認知力がなかなか育ってこないことです。

机上で学ぶ現場の状況と、実際に現場に行って学んだことがどれだけの重さや厚さを持っているのかを知ることは、学びを自分の中で消化するという意味で非常に重要です。現場の実習を必修にしてゼミと関連付け、最終的に卒業研究に結びつける「プロジェクト科目群」を通した学びは、今回の改組の一番大きな特徴になります。

プロジェクトのテーマは、いくつかのコースの分野を組み合わせたかけ算のような形になるように準備しています。ゼミと実習が連動連環していると言っても、実態はそれぞれが完結してしまい、本来の学びにつながっていないケースもありますが、このプロジェクト型の授業においては、現場で学んだことをゼミで深め、最終的にその学びを卒業研究でまとめていくという建て付けで進めています。

浮かび上がる社会課題を検証し改善へ結びつける

―学部改編とともに瀬田から深草への移転という流れも大きなトピックかと思いますが、理由と効果をどのように考えていますか?

京都の深草にあるキャンパスには社会科学系の学部がほとんど集まっています。社会科学系の学びは関連性が強いので、深草への移転により学部間を超えて様々なプロジェクトなどが展開できることは、社会学の教育を充実させていくうえで非常に重要だと考えています。多様な社会学系の学問を包摂する社会学部は、そこでのハブになれると思います。また国際都市京都には、世界に通じる社会課題が存在することも、学生の現場での実習という意味において非常に重要だと考えています。

―新しい社会学部はどのような人物の育成を目指していきますか?

社会学と社会福祉学の学問的な本質を考えれば、できるだけ忖度せず、世の中を正しく見ていくことだと思います。そのためには、現場のリアルをきちんととらえ、正しく見て正しく理解したうえで、しっかりとあるべき方向を世の中に問うていくことが大切です。特に社会福祉学は実践が大切で、社会学も問うだけではなく、実践が重要になります。

社会を見渡すと、周りに流されてほとんど発言しない若者も少なくない。龍谷大学の新しい社会学部は、社会的な課題を多角的に見たうえでそれを検証するスキルを有し、その結果を根拠としてきちんと声をあげていける人物の養成を進めていきます。

例えば企業など組織の中において、自分なりの客観的な根拠を持ったうえで自ら動いて発信できる。さらには発信だけではなくて、そこを改善するために行動することができる。そういう人物を送り出していきたいと考えています。

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