国内唯一無二。ビジネスに特化した国立の社会科学系単科大学―小樽商科大学

国内唯一無二。ビジネスに特化した国立の社会科学系単科大学―小樽商科大学

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構成 東久世克樹(大学通信)

日本初のギャップイヤープログラムに要注目!

国内最大規模の商学部を擁する小樽商科大学。授業やゼミで企業や団体が発足するなど、アクティブかつ実践的な学びで知られている。新たに導入されたグローカルコースなど、大学全体で後押しするグローカル人材育成の取り組みを探る。

ビジネスの現場を大学の授業で実体験

1911年開校の小樽高等商業学校を前身とする小樽商科大学は、国内唯一の社会科学系の単科大学として1949年に設立された。1学年あたり定員515名と国公立大学の経済・商学部系学部では最大規模を誇り、「実学・語学・品格」の教育理念のもとビジネスのプロフェッショナルとして活躍する人材を育成し続けてきた。

その学びは「経済学科」「商学科」「企業法学科」「社会情報学科」といったどれもビジネスに直結した幅広い学びとなっている。またカリキュラムの柔軟性も小樽商科大学の大きな特徴のひとつで、入学後のミスマッチを防ぐために所属学科の決定は入学後に行われるほか、学科を超えて授業の選択をしたり(20単位まで)ゼミを履修することが可能となっている。これによって自分の興味・関心に合わせて多面的にビジネスを学ぶことができるだけでなく、深い専門性と幅広い知識・教養を兼ね備えたT型人材の育成にも寄与している。

さらに実学志向の同大学らしく、授業やゼミの中からさまざまな企業や団体が生まれている。小樽の活性化を目指すNPO法人EgaOや増加している空き家の有効活用のためにゲストハウスを運営する合同会社ええんちゃうなど、いずれも地域の課題解決を目的としているところも興味深い点だ。すべて学生自身が経営者となり机上の学問ではなく現在進行形のビジネスを動かしている。課題を発見しその解決法を探る思考力、仲間とそれを実行するコミュニケーション能力、そして主体性といったまさに「ビジネスに必要なもの全て」が身につく環境になっているのだ。

1年の入学猶予で国内外の協定校へ ギャップイヤーの狙いとは

2013年に「No.1グローカル大学宣言」を行い、それ以来北海道経済の活性化に資するグローカル人材の育成をミッションに掲げてきた小樽商科大学。2年後の2015年にはこのミッション実現に向けたカリキュラムで「グローカルマネジメント副専攻プログラム」を導入している。このプログラムの教育効果を検証し、新しい教育課程として発展させ主専攻化したものが、2021年度よりスタートした「グローカルコース」だ。これは文字通り地球規模の視野で学びながら異文化を理解し、複雑化する地域社会の諸問題の解決に資する人材育成を目的としている。

本コースの入学者は新設された「グローカル総合入試」で選抜される。これは入学後に英語で専門分野を学ぶため、高い英語の運用能力や思考力・判断力、そして主体性や協働性など総合的な評価が必要となるためだ。学生の多様性確保の観点から文系・理系で枠を分けて、それぞれに英語でのディスカッション・口頭試問などを実施している。

このグローカルコース最大の特色は、日本で初めてギャップイヤープログラムを導入している点だ。これは高校や大学を卒業してから入学・進級・入社までの間にボランティア活動や就業体験、国際交流などの活動を通じて自分を成長させるための自己教育の仕組みとして海外では一般的な取り組みだ。本プログラムではグローカル総合入試の合格者20名の中から最大で5名を選抜して入学を1年間猶予し、国内外の協定大学への派遣等のプログラムに参加させる。入学前に多様な経験を積むことで、大学での目標や将来の進路を明確化することが期待されている。

充実の留学制度と協定先 手厚い支援で留学を身近に

また教育理念で外国語教育の充実を掲げている同大学では、英語・ドイツ語・フランス語・スペイン語・中国語・ロシア語・韓国語の7言語もの学びを提供し、英語の教員免許取得が可能であるほか、短期から長期までさまざまな留学プログラムを整備して海外での学びを後押ししている。学生を1学期(約半年)もしくは2学期(約1年)に渡って協定大学に派遣する交換留学では、休学期間を設けずに留学できるほか(留学期間を在学期間に算入)、派遣先大学で修得した単位は同大学の卒業所要単位として認定される。そして留学期間中の同大学への授業料以外は派遣先大学に発生する納付金(検定料・入学料・授業料)が免除されるなど、経済的な事情で留学を躊躇する学生にも安心の制度設計となっている。交換留学の協定は18か国・地域23大学にも及んでおり、単科大学には異例の選択肢の多さも特筆すべき点だ。

他にも夏季・春季の長期休暇を利用した語学研修(前述の7言語から選択可能)のほか、現地事情の理解を目的とした海外研修プログラムも用意されている。2022年度の海外留学者は63人にも達している。

そんな同大学の就職先はまさに引く手あまた、道内はもちろんのこと、国内有数の大手グローバル企業も多く名を連ねている。北海道という好環境、国内最大級の国立大学商学部で学ぶ、超実践型ビジネス人材育成教育。世界を相手に活躍したい受験生にぜひお勧めしたい。

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