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伝統のゼミと世界水準の学びが共存する4学部
「ゼミの武蔵」として少人数制のゼミナール教育を重視しながら、グローバル教育やリベラルアーツ教育、文理融合教育など、数々の先進的な取り組みを推進する武蔵大学。大学通信の『進路指導教諭が勧める大学ランキング』では、「小規模だが評価できる大学」で6年連続、「面倒見の良い大学」で13年連続の首都圏1位を記録している。2022年には学園創立100周年を迎え、国際教養学部を始動させた同大の現在と未来への展望について、高橋徳行学長に話を聞いた。
聞き手 井沢 秀(大学通信)
高橋徳行学長
慶應義塾大学経済学部卒業後、米国バブソン大学経営大学院にて経営学修士課程修了(MBA)。国民生活金融公庫総合研究所で主席研究員を務めた後、2003年に武蔵大学経済学部経営学科教授となり、経済学部長、副学長を経て学長に就任。専門はアントレプレナーシップ。
少人数制の「ゼミ」が学生間のつながりを強化
―武蔵大学におけるゼミナール教育の意義についてお聞かせください。
少人数制のゼミは、開学以来揺らぐことのない、本学の教育の柱です。高校まではクラス単位での活動が中心になるため、生徒間に濃密で強いつながりが生まれやすい一方、大学は大教室での授業も少なくないため、学生間に希薄で弱いつながりしか生まれない危険性があります。しかし、同じ仲間と同じテーマを探究するゼミがあることで、学生間に強いつながりが生まれやすくなり、連帯感や一体感のもとで協調性も養われるのです。
本学の学生は大学において、少人数のゼミから大教室での講義まで、スタイルや規模の異なるコミュニティでの学びを進めながら、多様な人間関係をバランスよく経験することができます。この経験によって、卒業後に就職する企業や地域の活動など、自分が属するさまざまなコミュニティから何かを学び取る力が培われ、社会に貢献する可能性を高めることができるのです。
例えば経営学のゼミならば、マーケティングやイノベーションなど、テーマごとに高度な専門性を持つ教員が指導に当たり、学生は自分が磨き上げたい専門性を明確にできます。その上で、目標に向けて履修すべき科目を主体的に考えていくことで、ゼミを中心とした学びの組み立てが実現します。実際のゼミでは、ディスカッションやプレゼンなどを通して、対話力や傾聴力なども養われます。一方、教員はゼミによって学生と関わる時間が確保され、指導する中で悩みなどを深く理解し、他の授業や指導に生かすことができています。
国際教養学部が武蔵大学の新たな魅力を紡ぎ出す
―2022年に新設された国際教養学部の特色や、入学者の印象をお聞かせください。
国際教養学部には、経済経営学(EM)専攻とグローバルスタディーズ(GS)専攻があります。EM専攻は、武蔵大学の学位と並行してロンドン大学の経済経営学士号(※1)あるいは経済学士号(※2)の取得をめざすパラレル・ディグリー・プログラム(PDP)を提供しています。EM専攻の学生は、入試段階で学内併願が比較的少なく、合格者の入学率が高い傾向があります。志望動機の強さ、本気度の高さが感じられ、語学研修を経た1年生の8月末の段階でIELTSスコア5.5以上を持つ学生が50人中42人と、ハイレベルな英語力を持つ点も特徴です。
※1:BSc Economics and Management ※2:BSc Economics
PDPは、かつては経済学部で運用し、これまでにロンドン大学の学位を取得した学生は年間10名程度でした。しかし、EM専攻では挑戦する学生の母数が増えるとともに学位を取得できる学生の割合も高まるでしょう。教員には学位取得に向けた指導のノウハウが蓄積され、学生間でも学年を越えた学び合い、情報共有が進んでいます。また、PDPの学びには英語力だけでなく数学力がカギとなるため、EM専攻の一般選抜では、入学後のミスマッチを防ぐためにも数学基礎の入試科目を必須としています。
GS専攻は、徹底した英語教育と異文化理解を重視し、10名の専任教員のうち8名が外国籍の教員です。海外大学に留学しているかのような環境で、1年次から徹底して英語力を磨いていきます。入学者は半年間から1年間の海外協定校への留学を希望する学生がほとんどですが、英語力が高まれば留学先での学びの質も高まり、成長の幅も大きくなります。専門性や異文化理解だけでなく、コミュニケーション能力も磨かれていきますので、グローバル企業などが求める人材に成長していくでしょう。
なお、国際教養学部では「世界水準で学び抜く覚悟はあるか。」というキャッチフレーズを使用しています。これは単に国際性を重視した学部だからではなく、日本の大学生よりも勉強時間が長いとされる海外の大学生と同等以上の時間を学習に費やしてほしいと考えているからです。これまでの武蔵大生とは良い意味で異質な新しい学生を迎え、他学部の学生と化学反応を引き起こすことで、本学の新たな魅力が生まれてくれることを願っています。
俯瞰的、そして複眼的に現代社会を見つめ直す
―他学部の取り組みについてもお聞かせください。
社会学部では他大学に先がけて、2017年にグローバル・データサイエンスコース(GDS)をスタートさせました。データサイエンスと言っても、あくまでGDSが重視しているのは、社会学的な視点で現代を読み解く力です。自ら見いだした社会課題に対して仮説を立て、分析、検証するために必要な数学的・統計学的な手法を修得するということです。社会や組織を俯瞰的に見ることができる学生に、データ分析のスキルを授けていくのです。
今後は学部学科を問わず、データサイエンス教育のプログラムを拡充することを構想しています。例えば、宗教や古典文学などを専門に学んでいる学生でも、基礎的なデータサイエンスリテラシーを身につけたい人もいるでしょう。一方で、プログラミングの原理そのものを学びたいという学生もいると思います。こうした学生の多様な興味・関心やニーズに応えるために、基礎から発展・応用まで、データサイエンス教育を重層的に展開させていきたいと考えています。
こうした複数のレイヤーで学びの場を提供する大切さは、グローバル教育でも同様に考えています。海外留学は短期、長期、語学研修中心のプログラムから、ボランティア活動やインターンシップを経験できるプログラムまで、多彩に用意しています。また、学内施設「Musashi Communication Village(MCV)」では、海外からの留学生と交流を深めたり、語学力を高めたりすることができます。現在、グローバルプログラムは欧米を中心としたものが多いですが、今後はアジアや南米なども含めた幅広い国・地域での取り組みを進めていくことも視野に入れています。
また、ゼミでの専門的な学びをさらに深めるために、大学院の経済学研究科や人文科学研究科に進学する学生もいます。「大学院進学奨励学生制度」を利用すれば、学部段階で大学院の科目を受講することもでき、修士課程を1年で修了することも可能です。
―文理融合教育への取り組みについてはいかがですか。
文理融合教育の拠点として「リベラルアーツ&サイエンス教育センター」を2022年に開設しました。各学部の基礎的な内容を学べる科目のほか、自然科学や身体運動科学の分野など、幅広い教養を身につけるための学びを提供しています。その目的は、異なる専門性を持つ学生が学部を越えて学び合うことで学習目標の達成や課題解決につなげる機会を創出することです。所属する学部で培った専門知を生かし、他学部の専門知と融合させることが理想です。例えば、少子高齢化について議論するなら、統計学的な分析や社会学的な考察だけでなく、文学の世界や歴史上の出来事に見られる類似性なども参考になり得ます。各分野の知見を持ち寄ることによって複眼的に現代社会を見つめ直す、横断的・学際的な学びの環境づくりを進めています。
学生の声に真摯に耳を傾け学生に学び、還元する
―キャンパス整備も進められています。
2022年に11号館を新設し、グループスタディルームやラーニングコモンズなどを設けました。近年はグループワークの活発化をはじめ、学生の学び方も多様化しています。「一人で静かに勉強したい」といった従来の学習方法とは異なる、学生の新たなニーズに応えるために誕生した空間といってもいいでしょう。グループで活発に議論する光景も多く見られ、現代的な学びを促進する空間として利用率も高水準をキープしています。
そして、2025年春頃には建築家の隈研吾氏による新2号館がオープンする予定です。学生にはキャンパス内で過ごす“滞留時間”を長くしてほしいですし、そのためには快適に過ごせる場所が不可欠です。学内で過ごす時間が長くなることで、自ずと学習時間も長くなっていくのではないかと期待しています。
―就職支援の取り組みについてお聞かせください。
3年次には「全員面談」を実施するなど、小規模な大学だからこそ学生全員に目が届く環境があります。キャリアカウンセラーの資格を持つ職員が丁寧なサポートを行い、卒業生の進路状況もほぼ100%に近い精度で把握しています。熱心な学生は数十回も個別面談に訪れるようで、それだけ徹底的にサポートができる体制が整っているということです。ただし、学生の意識が違えば行動も変わってきますので、就職活動のスタートが遅れた学生向けの指導なども臨機応変に行っています。
また、卒業生も非常に協力的で、「武蔵しごと塾」をはじめ在学生との情報共有の場を年に複数回設けています。内定を獲得した4年生が「就活サポーター」としてアドバイスを行う体制もあり、3年生は身近な先輩たちの声を効果的に就職活動に役立てています。
―最後に、今後の展望についてお聞かせください。
本学が何よりも大切にしているのは「教育力」です。武蔵大学ならではの教育力を高め続けるために、ゼミを筆頭に学生の学習意欲を刺激する多彩な学びの場を提供していきます。
また、11号館や新2号館といった空間づくりから、リベラルアーツ&サイエンス教育センターが中心となって進める横断的・学際的な学習環境づくり、そしてグローバル教育での多様なプログラムを推進してきた意義やその効果を、最大限可視化して学生に伝えていきたいと考えています。今後も学生の声に耳を傾けながら、学生本位の大学づくりに邁進する覚悟です。学生の声にこそ、今後の大学運営を望ましい方向へ導くためのヒントがあると考えていますので、教職員が学生の声から真摯に学ぶ姿勢も大切にしていきたいですね。