東京理科大学が総合型選抜をスタート
職業的意欲の高い「リーダー的女子学生」を育む

東京理科大学が総合型選抜をスタート<br>職業的意欲の高い「リーダー的女子学生」を育む

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東京理科大学が2024年度入試から総合型選抜を新設する。これまでとは異なる入試で、どんな学生を求めているのか。また、女性のみを対象とする狙いは何か。近年力を入れるダイバーシティ推進の取り組みとともに、井手本康・副学長(創域理工学部教授)と、向井千秋・特任副学長(医師、宇宙飛行士)に話を聞いた。

取材・文 松平信恭(大学通信)

新たな入試方式として「総合型選抜(女子)」を導入

井手本康副学長

向井千秋特任副学長

―東京理科大学は新たな入試方式として「総合型選抜(女子)」を導入します。女性のみを対象とする入試制度となったのはなぜですか。

井手本 理工系分野、特に工学系の女性比率が少ないという事実があります。今は産業界でもアカデミアでも、一本の専門を深めるのではなく、多様な分野を複合的に進めていくことが求められる時代です。男性だけの組織はどうしても発想や考え方が固定化されがちですが、女性の視点や観点があることで、互いに刺激し合いながら違ったものが生み出されていく実感があります。今後、日本が生き残っていくためには多様性のある人材が必要であり、早急に対策を始める必要があります。

こうした世の中の動きや文部科学省の方針なども踏まえながら、新しい入試制度である「総合型選抜(女子)」は本学の総合型選抜導入の第一弾として、特に女性比率が低い工学系の3学部16学科を対象に、数学や理科に強く、専門への意欲が高い「リーダー的女子学生」を選抜します。

募集人数は各学科3人の最大48人。募集定員全体の1%程度の規模ですから、この入試制度によって男性や一般選抜の受験生が不利になることはありません。むしろ、そうした影響を取り除くために「スモールスタート」としています。導入後は実際の効果を検証しながら、将来的には他の学科や、女性に限定しない形へと展開していくことも目指しています。

大切なのは意欲と向上心 将来を見据えた上で学ぶ

―どんな学生を求めていますか。

井手本 まずは、本学を第一志望としている人です。建学の精神や教育研究理念を理解し、それに共鳴してくれる人。「どうしてもこの学科でやりたい」という強い意志があることも大切です。本学で学ぶことに強い意欲を持っているかは、面接を通じて判断していきます。

大学で学んでいくための基礎学力も重要です。面接では数学と理科の学力に関する試問を行い、小論文では一般的なサイエンスに対する考え方を問うていきます。

もう一つ重要なのが、志望動機に自らの将来像や卒業後の目標が入っているかという点です。大学入学はゴールではなく、入試は成長していくための通過点にすぎません。入学後の学びによって目標が変化していくのは大いに結構なのですが、ただ漫然と学ぶのではなく、常に目標を見据えて自分を高めていく「向上心」があるか。そこを入試では見極めたいと考えています。

向井 今回導入する総合型選抜は単に女性を増やすための枠ではなく、48人の枠を絶対に埋めようとしているわけでもありません。「理科大のことが大好きで、どうしても理科大に入りたい」という強い意志がある人。そして、「この分野を学びたい」という目的意識と「将来こうなりたい」という職業的意欲がともに高い「リーダー的女子学生」を求めているのです。将来的には男性や外国人などにも同様の方式を広げ、本学の良さを本当に分かっている人が集まるようになるといいですね。

井手本 女性ならではの観点を持ちつつ数学や理科に強く、各分野の学びに対する高い意識を持つような学生は、これまでの方式では選抜するのが難しいのです。入学時に目的意識を持たない学生もいる中で、総合型選抜で入った学生には、そうしたアドバンテージを生かして活躍してくれることを期待しています。本学は「実力主義」の大学なので、入試制度によって学生を区別することはありませんし、総合型選抜で入ったことを気負う必要もありません。一方で、入学後は数学や理科以外にもさまざまな科目があります。苦手な科目については「入学前学習支援講座」を活用しながら入学前に補っていただき、自信を持って入学できる体制を整えています。

向井 早めに進学先が決まったら、残りの時間を留学などの自己研鑽に当てるのもいいですね。決められたことばかりやるのではなく、好きなことをやって素養や人間力を高めていった方が、社会に出てから強い人間になれると思います。

―「総合型選抜(女子)」は、ダイバーシティ推進の取り組みの一つでもありますね。

向井 東京理科大学では、本学に関わるすべての学生・教職員が性別・年齢・国籍などに関係なく、どんな人であっても学びやすく働きやすい環境づくりに取り組んでいます。以前は「女性活躍推進会議」でしたが、2019年に「ダイバーシティ推進会議」へと刷新して現在に至ります。女性の活躍を推進するには、必然的に男女ともに学びやすく働きやすい環境が必要だからです。

出産や子育て、介護などをしている人でも心配なく働けるように、授乳室などハード面を整えるほか、休んでいる間の代替要員を雇う費用を大学が出すなど制度面での後押しも進めています。本学は「実力主義」で男女を同じように扱いますので、女性研究者への手当の上乗せや、豪華な施設をつくって女子学生に来てもらうようなことはしません。ただ、妊娠や授乳など「女性特有の事情」があったとしても他の人と同じように学び、働ける環境は整える。それが本学のダイバーシティのモットーです。すべての人に「理科大って地味だけど、実力がつくからいいな」と感じてほしいですね。

海外出身の人やLGBTQの人に対しても同様です。「誰でもトイレ」など性別に拘わらずみんなが使える施設の導入を進めています。これまでは「物理的な」バリアフリーに焦点が当たってきましたが、ダイバーシティが進む昨今は「精神的な」バリアフリーへの取り組みも進んでいます。誰もがこの環境で心地良く活動でき、自分が受け入れられていると感じられることが大切だと考えています。

幅広い進路があることも理工系に進む魅力の一つ

―理工系分野の女子学生を増やす取り組みなどは。

向井 私はカリキュラム外の活動として「宇宙教育プログラム」を行っていますが、参加者を選抜するために試験を行うと、合格者の男女比は半々くらい。時には女性が6割を占めることもあります。少数精鋭で行っているため、男女関係なく本当にその分野が好きで、目的意識の高い人が集まるのです。「科学のマドンナ」プロジェクトなど女子高校生に理科の面白さを教える活動でも、理科の好きな女性はたくさんいることが感じられます。

それでも大学の理系学部へ進学する女性は少ない。その理由を調べていくと、保護者や恋人など周囲の反対による影響が大きいことが分かってきました。「理系を卒業しても就職先がないだろう」との心配があるようなのです。だからこそ本学では、大学の「入口」を広げること以上に、さまざまな就職先を探して紹介するなど「出口」を整え、女性を社会へ送り出すための取り組みに力を入れてきました。

井手本 昨今のダイバーシティの動きは理系の女子学生にとってはむしろ追い風で、今は出口の心配はほとんどありません。理系の女性は世間での注目度が高く、多くの組織が必要としています。こうした状況も「総合型選抜(女子)」を導入する動きにつながっているわけです。

向井 自分の学びを別の分野に応用できれば出口は広がっていきますし、理系の学問はロジカルに学ぶので、文系の要素がある仕事にも生かせることは多いです。金融系や企画系などでもデータサイエンスは必須となり、理系人材を欲しがる企業は増えています。高校の先生や保護者の方には、理系に進学したからといって決して将来が狭まるわけではないことを知ってほしいですね。

―最後に、高校生に向けてメッセージをお願いします。

井手本 まずは好きなことや目標を見つけて、それを目指してみましょう。将来、目標が変わっても構いません。大切なのは、常に目標と向上心を持って進んでいくことです。東京理科大学は自分の専門の芯を持ちながら、他の分野を横断的に学べる教育体系となっています。大学入学はあくまでも通過点ですから、大学でやってきたことへの自信と、社会における目標を持って、最終的に世の中へ飛び出してほしいと思います。

向井 私は人を助けたくて医者になりましたが、宇宙から地球を見たくなり宇宙飛行士へ転身しました。学ぶ目的意識がはっきりしていたと思います。多くの人が何かを学ぶのは、自己実現や夢を叶えるツールを身につけるためです。一度身につけたツールは、その後の人生で困った時に、自分の中から取り出して活用することができます。そう考えれば、たとえ苦しい時でも「自分のためだよね」と思えるのではないでしょうか。教育は自分の夢を実現させるための道具ですから、好きなことをやって、生涯学んでいってほしいと思います。
 

Information 

総合型選抜(女子)の概要

求める人材
東京理科大学を第一志望とし、建学の精神ならびに教育研究理念に共鳴し、本学で学びたいという強い意欲と学習に必要な基礎知識、思考力、判断力、表現力があり、志望理由や入学後に学びたい分野、卒業後を見据えた目標が明確である人。

●対象学部・学科
・工学部(建築学科、工業化学科、電気工学科、情報工学科、機械工学科)
・創域理工学部(建築学科、先端化学科、電気電子情報工学科、経営システム工学科、機械航空宇宙工学科、社会基盤工学科)
・先進工学部(電子システム工学科、マテリアル創成工学科、生命システム工学科、物理工学科、機能デザイン工学科)
●日程
・出願書類郵送期間:9月5日〜9月7日必着
・選考日:10月7日
・合格発表:11月3日
・入学手続期間:11月6日〜11月14日
●選考方法
 書類審査、小論文、面接、口頭試問により選考
●募集人数
 各学科3名

※出願要件等、詳細は必ず「募集要項」でご確認ください
https://www.tus.ac.jp/admissions/university/list/comprehensive/

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