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学習院大学書道部は、2019年11月に新体制となって再スタートして以来、経験者も未経験者も”書を真摯に學ぶ”をモットーに、団体名を通称「學書」として活動しています。2022年6月には1966年に始まった伝統ある「オール学習院書展」を6年ぶりに開催。11月の桜凛祭では”日進月歩”をテーマに「學書展」を開催しました。一時は途切れかけてしまった歴史をつなぎながら、新たな歴史を刻み始めた「學書」について、2022年度委員長の大野さんと2023年度委員長の遠藤さんにお話を聞きました。
書きたい文字、書きたい書体に挑戦できる
――おふたりの入部のきっかけから教えてください。
大野:私は小学校2年生のときに地元の習字教室に通い始めました。運動部に所属していた中学・高校時代も、実は今でも通い続けていて、師範の免許も取得済みです。ただ、習字教室はお手本どおりにきれいな字を書くことが主な目的です。
書道部でも「臨書」といって、古典の一節やそこに記された漢字をお手本にして書くことは同じですが、「楷書」「行書」「草書」「篆書」さらには「大字」や「仮名」まで、自分が書いたことのないさまざまな書に挑戦できる点に魅力を感じて入部しました。
遠藤:私は日本の伝統文化が好きで、中高では百人一首関連の部活に所属し、主に競技かるたを行っていました。大学で書道部に入ったのは、新しいことに挑戦しようと思ったからです。
また、中高時代に国語や書道の授業でお世話になった先生に憧れを抱いて以来、教員を志しています。学習院の日本語日本文学科では、国語科の教員免許に加え書道科の教員免許を取得することができるため、今は両方の免許取得を目指しています。
私は大学に入ってから書道を始めたので、教職課程の授業に加えて書道部に所属することで、さらに書道に関する知識を増やしたり実技を磨いたりすることができればと思っています。
――未経験の場合は、何から始めるのでしょうか?
遠藤:まずは先生と相談の上、取り組む古典作品を決めます。「行書」や「草書」といった書体は流れるようにつなげて書く必要があり、また「隷書」や「篆書」といった書体は蔵鋒という独特な筆遣いを用いる必要があるため、初心者の私には筆の使い方が難しく、最初は「楷書」の古典作品の臨書に取り組みました。ただ、楷書は楷書で、誰がみても不出来な部分がわかりやすいので、もちろん難しさは感じました。
大野:かつての私は「行書」が好きでしたが、最近は行書と雰囲気が似ている「草書」を好んで書くようになりました。草書の方が少し崩したイメージで、その中でも丸みを感じさせる「和様」の作品に取り組んでいます。意識しているのは、つながりや強弱の入れ方です。
遠藤:初心者からすると、こうした書体ごとに適した筆がある点にも書道の奥深さを感じました。
書道用の筆といっても毛の種類が多くて、当然書き心地も違います。でも、最初はどんな筆を選べばいいのかわかりませんので、書道用具店では「楷書で〇〇〇〇を書いています」と説明します。そうすると、店員さんがオススメの筆を提示してくださるので、そこから選んで書き比べたりしています。
書けば書くほど上手になれる
――どうすれば上達できますか?
遠藤:日々の活動では、1枚書くごとに先生から改善すべき点を指導していただけます。「この転折で力を入れ、この線は軽やかに、この余白は大きく」など、とても具体的です。
すべてを1回聞いて実践することは難しいとわかってはいるのですが、あれもこれも考えながら書いてしまうことが私の悪い癖で、「書くスピードに変化がない」と指摘されることもあります。ですから、ポイントを意識しながらも、メリハリをつけて書くことが現在の課題です。
大野:そのためには、まずは数をこなすことが大切だと思います。ある時点で「できた!」と思っても、さらに枚数を重ねることで、よりよい作品が書けるものです。先生からも言われることですが、書けば書くほど上達していけるので、今の自分に満足せず日々作品制作に取り組んでいます。
――お二人が話す「先生」についても教えてください。
大野:学習院大学非常勤講師の松岡碧惺先生です。いつも親身になって指導してくださる、やさしくて部員思いの先生です。
書道部では礼儀作法も重視しているのですが、先生の言葉づかいや立ち居振る舞いから学ぶことも多いですね。もちろん技術的な面でも、学生一人ひとりが自分の好みで選んだ書体に応じて、筆づかいから何から何まで丁寧に教えてくださいます。
また、硬筆・毛筆書写技能検定に挑戦したい学生がいれば、そうした指導もお願いできます。
遠藤:そんな松岡先生の手厚く、学生一人一人に寄り添ったご指導のおかげで、初めて公募展に出品するという経験をさせていただきました。2022年に「毎日書道展」という最も大きな公募展に大字書部門・U23で出品し、入選することができました。
また2023年1月開催の「朝聞書展」でも多字数部門で優作賞を受賞することができたため、とても嬉しく思っています。これを励みにこれからも頑張ってまいります。
――「大字」とはどのような作品ですか?
大野:90cm×120cmなどの大きな紙に漢字1~2文字を書くのが「大字」です。文字にはそれぞれ特徴があり、大字に向いている字もあれば不向きな字もあるため、松岡先生にご相談しながら字を決めて挑戦しています。1文字の中に “見せ場” をつくらなければいけない点が難しく、何回も書いて練習を重ね、感覚的につかんでいくようにしています。
まずは先生が一度書いてくださるのですが、大字はいわば創作の部類に入るので、お手本通りに書くというよりは、線の強さや、強調したいポイントなどを自分で考えながら、個性を前面に出して書くイメージですね。大字には普段の活動でも取り組んでいますが、特に年数回の「錬成会」では集中的に練習することができます。
遠藤:大字は創作なので、未経験でも「思い切って書いてみよう!」という気持ちになりやすいと思います。選ぶ字によって「ここは力強い線にしよう」といった具合に、自分なりに自由に表現を工夫できる点に楽しさがありますね。
大野:外部の展覧会に部として出品を強制するようなことはありませんが、遠藤さんのように意欲的に出品する学生もいます。3年連続で「朝聞書展」で入賞した学生もいましたし、誰かが出せば、皆で見に行くようにしています。
遠藤:私は書道を始めて日が浅いので、多くの展覧会を見に行くように心がけています。同年代の人が書いた作品を見て、高い技術に圧倒されたり、純粋に「かっこいい!」「バランスがいい!」と感じたり、とても刺激になります。
また、欧米からアジアまで、外国人の書道愛好者も出品していて、書道が世界中で親しまれているという新たな発見もありました。
「第54回オール学習院書展」を開催
――6年ぶりに開催された「オール学習院書展」について教えてください。
大野:「オール学習院書展」は、新体制になってから一度も開催できていなかっただけでなく、過去の資料もなかったため、当初は右も左もわからない状態でした。正直なところ、できるかどうかも半信半疑でしたが、部員全員で力を合わせて、半年以上かけて準備を進めました。
なお、「オール学習院」と銘打っているのは、学習院大学書道部の「學書」のほか、学習院初等科や学習院女子中・高等科の書道部、学習院高等科の書道研究会、そして学習院女子大学の書道部の作品が一堂に会する書展だからです。
私たちは主催者として、各校から出される作品数やサイズなどを確認して、会場内のレイアウトなども検討しました。ときには夜遅くまでオンラインで打ち合わせをしてきたので、初日を迎えられたときは、心の底から喜び合いました。
遠藤:開催に向けては、作品ごとに展示や表装の方法も考えましたし、目録やチラシなどの制作もしました。当日は受付係などの役割分担をして、まさに部員全員の努力の結晶だったと思います。私は会計担当として予算管理なども行ったので、社会に出る前の貴重な経験になりました。
展示された自分の作品と対面した瞬間は、「練習してきてよかった」「書道部に入ってよかった」と思えて、とても感慨深かったです。「オール学習院書展」では、何回も何回も粘り強く練習を重ねた成果を披露できた個人的な喜びと、部員のチームワークでひとつの行事を成功させることができた喜びの両方を味わうことができました。
大野:初等科のご家族の方や、各校の先生方から「書展を開いてくれてありがとう」といった声をいただけたこともうれしかったですし、学習院院長の耀英一先生はじめ諸先生方、書道部OB・OGの方々にもお越しいただけたので、開催できて本当によかったですね。
また11月の桜凛祭では、新体制に移行してから、2021年に続いて2回目となる「學書展」も開催できましたし、私たちの晴れ舞台として、2023年もぜひ成功させたいと思っています。
――最後にメッセージをお願いします。
遠藤:活動日は、基本的に月曜日と、水曜日または木曜日の週2回で、時間は4時から8時くらいまでです。経験者・未経験者問わず、書道を真剣に学びたいという熱意ある方に入っていただけることを願っています。最新情報はホームページやツイッターで発信していますので、ぜひチェックしてみてください。
大野:「學書」への入部は、2年生や3年生からでも大歓迎ですし、兼部もOKですので、書道に興味がある方は、ぜひ一度見学にお越しください。和やかで落ち着いた雰囲気の中、じっくりと、そして思う存分に書道を楽しみ、腕を磨いていけるはずです。