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学習院大学は2013年に文学部教育学科を開設。1学年の定員を50名とし、講義型科目は受講者数の上限を25名程度とする少人数体制のもと、毎年6割以上の学生が教員採用試験での合格を目指し、そのほとんどが卒業後すぐに教員としてのキャリアをスタートさせている。学生はいかなる教員像を思い描いて入学し、4年間で何を学び、何が身につくのか、来春に卒業を控える2名の4年生に話を聞いた。
取材・文 鈴木秀一郎
言葉に出さなくても伝えられることがある
―お二人が教員を目指したきっかけから教えてください。
笛木 私は小学生のとき、消極的な性格で自分からはなかなか周囲とコミュニケーションが取れませんでした。そんな私に毎日笑顔で目を合わせ、「おはよう」と声をかけてくれる先生がいました。私は「自分のことを見てくれている」という安心感を覚え、楽しく笑顔で学校生活を送ることができました。そのことが今でも鮮明に思い出せるほどうれしかったからこそ、今度は私が教員となり、かつての自分と同じように子どもたちを笑顔にしたいと思っています。
沼尾 私は公務員の父のもと、幼い頃から地域住民のための仕事に興味を持つようになりました。その仕事のひとつとして教員を志望するようになったきっかけは、小中高で“わかりやすくておもしろい”授業をしてくれる先生方に出会えたことです。学校生活の中心は授業であって、質の高い授業をすることが子どもたちと信頼関係を築くために不可欠だと思うので、大学で「授業力」を磨くことを何よりの目標として設定しました。また、特に中学校と高校では歴史の授業が楽しくて好きだったため、中学校の社会科と高校の地理・歴史科の教職課程も履修しています。
―入学後、学科の雰囲気はいかがでしたか。
笛木 小学校時代の先生が私のお手本であるのと同じように、学習院大学でも先生方が学生に接する姿を見て、理想とする教員像が鮮明になっていきました。例えば、私が所属しているゼミの栗原先生は、必ず目を見ながら私の話を聞いてくれて、絶妙なタイミングで相槌を打ちながら肯定的に受け止めてくれます。言葉がなくても先生のやさしさが伝わってきて、目を見ること自体が相手に思いを伝えるコミュニケーション手段のひとつになるのだと再認識できました。
沼尾 私が感じたのは、理論を学んで実践につなげるまでの学びのプロセスが明確だということです。教科別の基本的な教え方や留意すべきポイントを学んだ後、実際に指導案を作成したり、模擬授業で試したりするまで、少しずつでも着実にステップアップしていける環境だと感じました。もちろん実際の授業は子どもたちの個性や学習進度に合わせて組み立てる必要があるので一筋縄ではいきませんが、例えば模擬授業の際に、児童役の学生があえて突拍子もない質問を投げかけてくれるなど、学生が一体感を持ってスキルアップを目指し、対応力を磨いていける環境だと思います。
笛木 学科全体で助け合い、学び合おうという雰囲気ですよね。また、教員という目標は同じでも、重視するポイントは人それぞれのため、多様な価値観や教育観に触れることが刺激になりますし、視野が広がります。
―印象深い授業や課外活動などはありますか。
笛木 「ウィンターフェスティバル」を自分たちの手で企画し、開催できたことは思い出深いですね。グループごとに歌やダンスなどの“出し物”があり、内容を検討し、練習を重ねて披露するまでの過程で主体性の大切さを実感できました。将来、教員になって子どもたちの主体性を伸ばそうとするならば、教員自身が主体性の大切さを認識すべきですし、そのための絶好の機会になりました。
沼尾 私は教育学科を卒業した大学院生や、教員となった卒業生が定期的に開いてくれる「勉強会」で学べたことも多々ありました。教育学の理論や現場での実践例、リアルな体験談などを聞くと多くの気づきがありますし、指導案の作成や模擬授業にも生かすことができました。
授業でのメリハリの大切さを実践をとおして実感
―教育実習ではどのような気づきや成長がありましたか。
沼尾 最初の10分間はリラックスした雰囲気で楽しませる内容にして、徐々に集中力を高めさせていくなど、授業時間内のメリハリの大切さを実感しました。意見を発表させたり答案を書かせたりといった作業が中心になる教科もあれば、教員が説明する時間を長くせざるをえない教科もあるのですが、それを判断するための教材研究の重要性も認識できました。また、生徒の理解度を深めるためのICTの活用など、私が重視する「授業力」の多様な構成要素を確認できたことも収穫でした。さらには、中学校や高校で勉強する内容や指導方法を、無理のない範囲で小学校でも活用するなど、工夫次第で子どもの興味・関心を高められる可能性も感じることができました。
笛木 私は、しっかりとした学級経営がよりよい授業につながり、その逆も然りであることがわかりました。担当したクラスは子どもたちが協力的で、とても授業がしやすかったのですが、それは担任の先生の日頃の学級経営のおかげ。将来クラスを任されれば授業づくりと学級経営は同時進行になりますので、そのときには笑顔で子どもと目を合わせてコミュニケーションを重ね、子どもたちが何でも相談しやすい存在でありたいと思いました。実習期間中は毎朝誰よりも早く教室に入り、登校してくる子どもたちの目を見て、一人ひとりに「おはよう」と挨拶をしました。その積み重ねによって子どもたちから積極的にコミュニケーションを取ってくれる教員になれれば、授業でも活発に発言してくれるはず。教員が一方的に教えるのではなく、子どもたちの主体的な発言や行動で授業をつくっていける教員になりたいと思いました。
―最後にあらためて学科の魅力をお聞かせください。
沼尾 1学年50人という少人数のため、密にコミュニケーションを重ねることができます。おかげで多様な考え方に触れながら、自分の考えをしっかりと相手に伝える大切さや、主体的に考えて行動することの大切さを学ぶことができました。子どもたちの主体性を伸ばすために、まずは学生自身が主体性を高めていける学科ですね。
笛木 そういう学生の主体的な意見を尊重してくれる先生ばかりなので、自分を受け入れてくれるあたたかみを感じられる学科です。教員として必要な知識やスキルが身につくことはもちろんのこと、主体性や積極性を伸ばし、一人の人間としても成長できますので、教員を目指す方には、強くおすすめしたいですね。
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