神奈川大附属中高の「探究発表会」を参観してきました

神奈川大附属中高の「探究発表会」を参観してきました

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大学通信:小林 聡

JR横浜線・横浜市営地下鉄グリーンラインの中山駅から歩くこと15分、坂道を上ったその先に、神奈川大学附属中学校高等学校があります。
この学校では昨年から、中高6年一貫教育のメリットをいかし、「学び続ける生徒」を育成することを目的に、「探究の時間」という授業を展開しています。中学3年、高校1年の生徒全員が参加するプログラムです。
今回、「中間発表会があるので見に来ませんか?」とお誘いを受け、参観に行ってきました。

ゼミに所属してリサーチクエスチョンを決める

「探究の時間」では、生徒がそれぞれの関心に応じて20あるゼミのいずれかに所属します。ゼミは分野別に、「医療」「科学」「哲学・心理学」「歴史・経済・軍事」「国際問題」といった硬派なものから、「サブカル」「音楽・ポッポカルチャー」「商品開発」といった生徒に身近なものまで多彩に用意されています。
ゼミの中で自分の課題(リサーチクエスチョン)を決め、チームまたは個人で研究に取り組みます。夏休みも有効に使いながら研究を進め、この日の中間発表会を迎えました。今回は実に「187」ものチーム(個人)が登壇し、半年間の研究成果をプレゼンしました。

私が参観した教室では、
「がん光免疫療法の現状の問題点の克服は可能なのか」
「コンテンツだけでなく時代背景やメディアミックス化なども、ライトノベルの売上が伸びる要因になるのではないか」
「ポイ捨てのない環境をつくるには」
「運動後の疲労を軽減する最適な方法とは」
「昔の家庭と現代の家庭を比べて、家族関係に変化はあるのか」
というリサーチクエスチョンに取り組んだチームの発表でした。

仮説→実証のプロセスを経た本格的なプレゼン

医療の難題に果敢に挑戦したり、「メディアミックス」などという大人でもなかなか使えない言葉を使ったり、プレゼン資料も動きがあって洗練されていたり、中高生の多様な興味関心と器用なアウトプットに圧倒されてしまいました。
特に印象的だったのは、リサーチクエスチョンに対して仮説を立て、それを実証するためにアンケートと実験を行ったチームでした。アンケートは保護者に対して行われ、300件以上の回答を得たという本格的なもの。実験も仮説を見事に実証する結果となり、説得力あるプレゼンでした。先生からも「素晴らしい発表でしたね」という感想が出たほどです。

広報部長の岩佐賢史先生は「始まって2年目なのでまだまだ未熟な発表・活動ではありますが、生徒たちは『面白がって』取り組んでおり、本校の教育の柱にしていければと考えています。探究×ICTにより、生徒の主体性・協働性を引き出すとともに、『何を学ぶのか、なぜ学ぶのか』を考える契機になればとも思っています」と話します。普段の授業では得られない体験が、先生の言う「面白がって」という言葉につながっているような気がします。

神大附属中高の新たな伝統へ

「探究の時間」は来年3月までの残りの時間で論文をまとめて修了となります。
そして来年の4月には、今の中学2年生が参加し、新たなリサーチクエスチョンに取り組むことになります。今回の発表会は中2生も見学していましたが、先輩たちのプレゼンを聞いてどのような感想を持ったのでしょうか。学校の新たな伝統として進化していってほしいと思います。

余談ですが、この学校は校地が広く、自然豊かなキャンパスを歩くと季節を感じることができます。今はちょうど銀杏がきれいな季節。色づいた銀杏並木を歩いて生徒が帰路につく風景は絵になりますね。

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