3分野の副専攻制度の導入で、学びがもたらす成長を「可視化」するーフェリス女学院大学

3分野の副専攻制度の導入で、学びがもたらす成長を「可視化」するーフェリス女学院大学

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2023年度より、全学部学科横断型の副専攻制度をスタートするフェリス女学院大学。教養科目という枠組みの中での履修の乗り入れにとどまらず、新たに「副専攻」という学びの形を設置したねらいについて、梅﨑透副学長にお話をうかがった。

取材 松平信恭(大学通信 )

副専攻で見えた、フェリスの意外な専門分野とは?

フェリス女学院大学副学長
梅﨑 透(Toru UMEZAKI)
一橋大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学
米国コロンビア大学大学院歴史学科博士課程(アメリカ史)修了
カリフォルニア大学バークレー校客員研究員
Ph.D.(History, Columbia University)
専門はアメリカ史・歴史学

―来年度から、新たに副専攻制度がスタートすると伺いました。導入の背景について教えてください。

本学は建学以来リベラルアーツ教育を非常に重視していて、学生には専攻に限らず幅広く多様な学びを提供し、視野を広げてほしいと考えてきました。そのため他学部他学科開放科目といって、どの学部・学科に所属していてもその他の学部・学科の科目を多く履修できる環境が用意されていたのです。もちろん学生はこれらを好きな組み合わせで選択することができるのですが、もう少し科目の組み立てを整えてパッケージ化することで、自分が学ぶ分野を体系的に捉えやすくしようという狙いがあります。

また、リベラルアーツでの学びは具体的に何を修めたのか社会に伝わりづらく、就職活動等でうまく表現しにくいという声もありました。「副専攻」という形でそれを可視化することで、学生と社会、双方のニーズに応えられるのではないかと考えています。

―具体的にどんな内容の副専攻が用意されているのでしょうか?

副専攻は3つの分野で設置しました。以下に概要を説明します。

ジェンダーとキャリア
ここでは幅広くジェンダー領域を学ぶだけでなく、学生が卒業後の長い人生を生きていく上で、キャリアやライフプランをどう組み立てていくかについて考えていきます。ジェンダーギャップの大きな日本においてこの学びを提供することは「女子大の使命」だと思うので、OGや地域の女性リーダーから直接学ぶようなキャリア科目やプロジェクト科目を用意しています。

デザインと表現
音楽学部を擁する本学らしさを活かした多彩な学びを用意しました。音楽学部というと昔は演奏が中心でしたが、いまは音楽ビジネスや音楽ジャーナリズムなど扱う領域が広がってきました。また本学では英語英米文学科にイギリス建築の専門家、国際交流学部にファッション史の専門家など、意外な分野の第一人者が在籍しています。バラバラに存在していたこれらの領域を、「文化と表現」という副専攻で体系立てて学べるようにしました。

データサイエンス
情報教育の取り組みがすでに小・中・高で始まっていますし、近年本学でもIT関連企業への就職が増加しているという流れを受けたものです。フェリスは人文系や社会科学系の学びに強いので、テキストマイニング(※)や統計処理など社会ニーズを捉えたデータサイエンスを提供していきたいですね。ITリテラシーの基礎レベルからスタートして、最終的にはプログラミングや開発ができるカリキュラムを提供する見込みです。もともと本学ではこういう情報系の科目もたくさん用意していたにもかかわらず、“フェリスでデータサイエンスを学べる”というイメージはあまりなかった。副専攻として体系立てることで学生も学びやすくなるし、学んだことをその後に活かしやすくなると思います。

※文章表現中に用いられる言葉の頻度・出現傾向・相関などを分析すること

―学部・学科による主専攻は受験時に選択しますが、副専攻はどのタイミングで決定するのでしょうか?

まず入学年次に各副専攻の入門科目を履修し、興味を持った分野で早ければ1年次の後期からスタートする計画です。それを3年次の終わりまで学んで修了証を発行するので、就職活動では「副専攻でこの分野を学んだ」と強みにできると思います。

―副専攻制度で文学部・国際交流学部・音楽部の学生の交流が活発になりそうですね。どんな効果を期待しますか?

本学では学部・学科を超えた交流の機会が多いのですが、学生同士で様々な刺激を与えあうことで複眼的な視点・思考が養われます。それに学生にとどまらず、教員にとっても専攻外の学生の発想は新鮮で、新しい発想を生むきっかけになると思います。教員同士のやり取りも増えるでしょうし、学生・教員ともに実りの大きい取り組みになるはずです。

リベラルアーツ教育で就職の選択肢が広がる

―大学教育がどんどん実学化していくなかで、リベラルアーツを学ぶことはどのように役立つとお考えですか?

リベラルアーツはつかみどころがないというイメージがあり、社会ではあまり役に立たないとも思われがちです。しかし実学だけでは身につかないものをたくさん体得することができます。例えば学問にはその学びを専門分野たらしめるディシプリン、つまり独自の「型」があります。研究調査の方法や卒業論文の書き方などがそれに含まれるのですが、学問分野ごとに従うべきルールが存在しています。リベラルアーツでは幅広い分野を学ぶため、学生はきちんと分野に合った「型」で表現することができるようになります。ビジネスにおいても定型のドキュメンテーションを作ったりと、実はたくさんの型やルールが存在しているので、柔軟に対応できるのですね。こういう順応性は、スキルのみで最短距離で学ぼうとしてもそう身につくものではありません。

また本学の学びを通じて物事を多面的に捉えられるようになるため、課題を発見する力もついてきます。スキルを重視する学問は「何をどう処理するか」に重点が置かれますが、リベラルアーツでは「なぜそれを処理するのか」「ほかに問題があるのではないか」という課題発見が重要になるからです。こういう根源的な問いを重ねる学びこそが本来の大学教育の役割であり、フェリスで非常に重視するものです。

学生による発表風景

―リベラルアーツは、学生の就職活動や進路選択にどんな影響を与えていますか?

やはり分野横断的に学んできた学生は、柔軟でいろんなことに興味・関心を持ちます。みなさん「この学部だからこの業界」という思い込みもなく、やわらかく、そして幅広い視野で就職先を選択しています。

またリベラルアーツだけでなく、就職支援で業界研究・仕事研究の講座を開いたり、学内オープンセミナーという、企業が自社の業務や業界説明などをする合同イベントを開催するなど、幅広い職種や業界に触れる機会を設けています。特に学内オープンセミナーは1年生から参加できるようにして、早くから進路の視野を広げられる環境を作りました。そうすることで世の中の急激な変化にも対応することが可能になりました。近年の例で言うと、従来航空業界は人気で本学での就職実績も高かったのですがコロナ禍で採用が無くなりました。しかし、学生たちは柔軟に発想を切り替え他にやりたいことを見つけています。常々学生に対しては特定の業界に絞り込むのではなく、社会状況によって柔軟に自分の進路を考えられるようになろうと伝えています。どんな企業や業界であってもまずは話を聞いてみる。それでも興味を持てない時は、深掘りしてその理由まで考える。そこまですることで自分の就職活動における価値観や軸が固まっていくと考えています。

―主専攻、副専攻、リベラルアーツの学びのほかに、大学生活ではどんなことを身に付けてほしいですか?

大学ではカリキュラムに沿った履修だけではなく、交友関係や課外活動を通じて社会性を養ってほしいですね。友人、先輩後輩、教職員との交流のなかで、自己の成長を望み、何かにチャレンジする気持ちが生まれてくると思います。またフェリスは小さい大学なので、卒業生との交流も非常に盛んです。OGが人事担当者を伴ってリクルーティングに来てくれたり、講演会で登壇してくれることもよくあります。

OGによる女性キャリアセミナー

―学生にとっては、同じ女性として身近なロールモデルになりますね。

そうですね、学生にはキャリアのバリエーションを見てほしいので、敢えていろいろな人を呼んでいます。新卒で入った会社に長年勤めている人、すぐに転職してその後に起業した人、海外の大学院で学んで通訳になった人、小笠原に移住した人、本当に個性豊かで人それぞれです。旅行会社を退職し、現在は自衛隊の幹部候補生、というユニークなキャリアを歩んでいる人もいます。そのような卒業生たちを見て刺激を受けることで、自由な発想で進路を思い描いてほしいです。

―最後に、受験生に向けてメッセージをお願いします。

高校までの勉強には正解が存在しますが、大学で学ぶことには答えがない問いも多い。でも答えがないことをいろいろ考えるからこそ人生は豊かになり、いろんなチャレンジができるのではないでしょうか。フェリスでは創設以来大切にしてきたリベラルアーツの思考的な学びとともに、副専攻のプラクティカルな学びも用意することで、両面から学問とキャリア形成に向き合える環境を整えました。ぜひ本学でみなさんの興味・関心に合うものを見つけて、自らを成長させる学びにチャレンジしてほしいと思います。

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