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取材:雫 純平(大学通信)
東京西部にある玉川上水駅から徒歩3分の地にキャンパスを構える拓殖大学第一高等学校(以下、拓大一高)。今年度入試では大幅にコース編成を変更し、志願者を大きく伸ばしている。また2022年大学入試では東大・京大や国公立大学医学部など、多くの難関大学に合格者を出して注目を集めている。
同校で入試広報を担当している入試部長北野邦雄先生に、一新したコース編成とカリキュラム、そして躍進した合格実績の背景についてお話をうかがいました。
上位層に共通する「自学」の姿勢が、
コロナ禍を成長期間へと昇華させていた
ーーコロナ禍で通学できず進学実績が停滞する高校も多いなか、今年の大学受験で拓大一校は東京大学や国公立医学部現役合格など合格実績を大きく伸ばして注目を集めています。どんな指導や背景があったのでしょうか?
北野 この学年では、ちょうど2年生進級時にコロナ禍が始まり、対面授業ができない時期がありました。しかし本校では入学時から「自学」ができるようになろう、と生徒たちに丹念に伝え続けてきたのです。すべて学校が管理して課題を与えるような勉強のあり方ではなく、自分で学ぶ。主体性を持つ。いまはそういう姿勢がなければ、この先も志望大学に合格したり、さらに将来の進路選択をしたりと、人生を自分自身で創造するのは難しい時代です。
そして幸いなことに自学習慣を涵養した生徒たちは、コロナで学校に行けない間、むしろ好きなだけ自分の学びを深められたみたいです。自分で学べる時間が増えたことが、特に注目いただくような東大・京大・一橋・東工・早慶・医学部など上位層の大学合格者は、みんな自分でどんどん学んでいく「自学」が身についている層でした。
ーー中学時代までは塾や家庭が手取り足取りで学習管理しているところも多いと思います。どのように自学の意識づけに取り組んだのでしょうか。
北野 確かに最近は中学段階では面倒を見てもらうことに慣れている子が多いかもしれませんね。本校では最初「生活の記録」といって、何曜日にどの科目を勉強するかスケジュールを立てさせてそれをチェックしてフィードバックするところからスタートします。これは国公立・早慶を目指す「特進コース」に所属する生徒は全員必須です。その他の私大進学を目指す「進学コース」でも同様の自宅学習スケジュールのチェックを行って、自学習慣の定着を促しています。どちらのコースにいる生徒でも、やはり自学習慣が定着するまでの初期段階では、スケジュールチェックや定期的な課題配布を行っています。でも最初は管理されるのが当たり前だった生徒でも、徐々に変化していきますよ。
ーー塾や予備校を利用しなくても、自分で学べるようになるということでしょうか?
北野 じつは本校の特に1、2年次の通塾率は低いと思います。まずは学校の授業を予習復習まできちんとやることを最重視しています。また朝テスト・小テストのほかに定期考査や模擬試験など定期的に適切な刺激を生徒に与えて学習リズムを作っているので、1~2年次のうちは塾なしで学習する生徒が多いですね。2年次後半から3年次にかけて受験を明確に意識する時期になると、予備校に通って対策する生徒もいますし、学校から「この教科のサポートは学校だけでなく外部の力も借りて頑張ろう」とアドバイスすることもあります。
でも実際に、学校の授業のみで中堅の国公立や私立の大学合格を勝ち取る生徒は、かなりいますね。だから一様に塾や予備校がいい・悪いというのではなく、生徒ひとりひとりの目標や余力とのバランスに応じて判断してほしいです。
コース編成の変更で人気度アップ!
選択肢の広がった新カリキュラムの狙いとは?
ーー2022年の高校入試では大幅に志願者数が増えたとうかがいました。どの地域から通う生徒さんが多いのでしょうか?
北野 全体の90%弱が東京ですね。東京西部の三多摩地域だけでなく、西武線で通いやすい杉並区・練馬区あたりが中心です。同じく所沢市や狭山市など埼玉の西武線エリアから10%弱、そして1~2%は神奈川からも通学する生徒がいます。神奈川はモノレールを経由して小田急線と接続していますので。
ーー人気上昇の理由をどのように分析していますか?
北野 今年度4月からコース名称の変更やカリキュラムをかなりドラスティックに変更しました。かねてより進学相談会等でその内容をお伝えしてきたので、多くの生徒・保護者の方々に興味を持っていただけたのかもしれません。
もともと拓大一高では国公立大学進学を目指す「特進コース」、それ以外の「普通コース」の2コース制を敷いており、定員400名のうち特進コース60名・普通コース340名の比率でした。しかしこの名称は、「進学を目指すのは特進コースだけ」と誤解を招きやすいと言われていたのですね。しかし実際は志望が国公立でないだけで、普通コースからも早稲田・慶應といった最難関私立大学に大勢の合格者を出していましたから。そのため今年度より普通コースを「進学コース」と名称変更したのです。看板を変えたわけではなく進学の実態に名称を近づけた感じです。
また従来の特進コースは国公立大学をメインにしていましたが、今年度から私立大最難関の早稲田・慶應を目指す生徒も特進コースに組み込みました。それにともなって定員も特進コース100名・進学コース300名に変更しています。
私達も正直いって60名だった特進コースに100名も集まるのか心配していたんですが、蓋を開けてみると入学者は117名。これはこちらが思った以上に世間の中学生・保護者のニーズにマッチしていたんだな、と実感しています。
ーーカリキュラムはどのように変わったのですか?
北野 従来の特進コースのカリキュラムは必須科目がかなり多くて、時間割でいうと週3回は授業が7時間目まである状態でした。それを解消するため、志望校の入試にあわせて選択できる授業を増やし、ほとんどの生徒が毎日6時間で収まるようになっています。東大京大など二次試験科目の多い国公立大学向けの授業も選択できます。
新しい特進コースは実質的に国公立・早慶の2レーンとなるので、同じ特進コースでも入試で必要な科目数は異なります。だから2年次からは必須科目以外は志望校に応じて自分で授業を選択できるよう、カリキュラムに柔軟性を持たせました。全ての生徒に一律で同じカリキュラムを課すのではなく、効率よく自分の将来に必要なものを自分で考えて選んでいってほしいのです。これによって部活動との両立もしやすくなったと思います。
ーー新しい進学コースの変更点はありますか?
北野 特進コースほど大きな変更はないのですが、より一層多岐にわたる進路に対応できるカリキュラムにしています。進学コースの進路は多彩で、GMARCHクラスを目指す人、医療系を目指す人、実技などちょっと特殊な受験科目を必要とする人、そのまま拓大に進学したい人などさまざまです。幅広く対応できるカリキュラムに魅力を感じてくれたのでしょうか、こちらも驚くほどの受験者数・入学者数の増加で、うれしい悲鳴をあげています。
ーー入学後のコース変更は可能ですか?
北野 進学コースから特進コースの変更は、学力審査をクリアすればこれまでも可能でしたが、多い年でも5名ほどだったと思います。それが今年度からはより選択肢を広げられるようにコース変更の人数を弾力的に対応できるようにしました。さらに具体的に言うと、希望に応じて1クラス弱(30名弱)が特進コースに編入してもフレキシブルに対応できるよう準備しています。
もちろん授業についていけるかどうか、従来通りの審査は行いますよ。でも「基準の学力に達しているか」「勉強の負担が増えても補う覚悟があるか」など、なすべき努力と苦労は自分で考えて選んでほしいし、それを決断した生徒の意思は学校としてしっかり対応してあげたいですよね。だから特進コースと進学コースのどっちが増えてほしいという意図もないし、志望校や将来にとって必要なものを主体的に考え、選択してくれればいいと思います。目標が変わったのであれば、特進コースから進学コースへの変更ももちろん可能です。
「みんなで一緒にスタート地点に立てる」
心機一転の高校生活で生まれる団結感
ーー先ほど部活動と勉強の両立というお話がありました。現在の部活動参加率を教えてください。
北野 だいたい80~85%くらいで、全校的に部活動が盛んですね。競技実績としては陸上の男子駅伝がよく注目いただくのですが、昨年は東京都で2位になりました。惜しくも全国大会出場を逃したのですが、毎年コンスタントに3位までには入っていますね。
運動部・文化部あわせて32のクラブ・同好会があり、活動も週6回しっかり行うところもあれば週3ペースののんびりしたものまで、本当に幅広いです。運動部でも都内でベスト16、あるいはベスト8など、生徒のレベルに見合った目標設定をして活動しています。「何が何でも全国を目指せ!」みたいな過度なプレッシャーもありません。オーソドックスな内容ですが、高校生らしい部活動が適切な目標設定のもとに思い切り楽しめる。当たり前のことですが、それを大事にのびのびとやらせてあげたいですね。
ーー拓大一高の生徒の印象や、校風について教えてください。
北野 とても素直でいい生徒ばかりですよ。「いい生徒」ってただ従順で管理しやすいといったネガティブな意味に捉えられがちですけど、実は逆です。うちの生徒は目の前のことにちゃんとひたむきに取り組めるし、わからないとき・困ったときは手を挙げて周りの人に訴えられる。これは意外と苦手な人も多いのではないでしょうか。
この土壌となるのは、じつは本校の教員の空気なんじゃないかなと僕は思っています。うちは伝統的と言っていいほど教員間の仲が良くて、若手・ベテランの分け隔てもありません。教員間での生徒の情報共有もしっかりできているので、困っていそうな生徒には連携してアプローチすることもあります。それを繰り返すうちに、生徒のほうに「困ったら先生に相談していいんだ」「自分の話をこんなに聞いてくれるんだ」という意識が生まれてくるのですね。いろんな先生が応じてくれるので担任じゃなくても構わないし、内容に応じて聞きやすい先生に聞けばいい。生徒は選択肢を広くもって、あとは教員がチームワークでしっかりサポートしていきます。別に「情報共有するぞ!」と肩肘張ったものではなく、どの先生も自然にそうなる関係性です。「先生たちってホント仲がいいよねー」と生徒に言われることもあります。それは本校にとって大きなストロングポイントだと思います。
ーー私立の進学校は中高一貫校が多いなかで、高校3年間で学ぶメリットとはどんなことなのでしょうか?
北野 とにかく「先取り学習をしていて受験対策期間が長い」という観点では中高一貫校に分があるかもしれませんが、むしろ生徒たちに聞くと「入学時にみんな同じスタートラインに立てることが精神的にとてもいい」と言います。中学入学組に対しての勉強の遅れや、すでに形成されている仲間やグループのしがらみを引きずるということもないし、環境も人間関係も心機一転できるのが良いのじゃないでしょうか。
またこれは長い教員生活のなかで個人的に感じていることですが、受験の最後の方って目に見えない力が生徒たちのなかで働きます。みんな一緒に頑張ろう、と引き上げ合うような団結感とでもいうのでしょうか。そういう気持ちが醸成される要因は、やはりみんな一緒にスタートすることが大きいのではないかと思います。
ーー中高一貫校に大学受験で引けを取らないように取り組んでいることはありますか?
北野 授業時間確保のために、今年からの試みで全コース夏季・冬季・春季に通常より長く授業期間を増やしています。そのため本年度の1学期終業式は7月26日に行いました。長期休暇が少しだけ短くなるので是非はあるかもしれません。でもしっかりと、かつ生徒に無理なく授業を受けてもらうためには、最善の策ではないかと考えています。
ほかに受験対策としては、放課後に外部の予備校の先生に来ていただき、学内で授業をしてもらう「校内予備校」が1年次から利用できます。費用はかかりますが、実際の予備校の授業料と比較するとほぼ10分の1と非常にリーズナブルですし、移動の手間もかかりません。英語・数学が中心ですが早大英語など大学に特化した講座もあるので、自分の足りないピースを補うためにうまく活用してもらえるといいですね。
あとはコロナ禍をきっかけにスタディサプリを全校で導入したので、追加負担なく利用できます(利用料は学費に含まれる。)授業でも応用学習にはこれ、苦手科目の基礎固めにはこれを見るといいよ、などと積極的に講座を案内しています。
ーー拓大一高を目指す中学生や、その保護者の方々にメッセージをお願いします。
北野 私たち教員が誇りに思っていることのひとつが、拓大一高には姉妹・兄弟で通ってくれる生徒が多いことです。いい思い出がなかったり嫌な思いをした場所だったら、普通は身内を通わせないですよね。「いい先生がいた」「こんな行事が楽しかった」そんな小さな日常の積み重ねがあるからこそ、弟や妹に勧めてくれたり、保護者の方が賛成してくださってご縁が生まれていると思います。僕のように教員を37年もやっていると、親子で教えることだってザラにありますよ。何十年でも見守っていられるのは、転勤のない私立高校の良さだと思います。
よくある仰々しいスローガンや、打ち上げ花火のような施策などは本校にはありませんが、落ち着いた学びの場があって、そこにいい先生といい生徒がいて、アットホームで温かい学校生活が送れること。「最高の普通」とでもいいましょうか。それがうちの一番の特色です。自分でいうのも何ですがとてもいい学校なので是非一度見に来てください。