本質の理解が課題解決の大きな一歩になる。ー学習院大学国際社会科学部

本質の理解が課題解決の大きな一歩になる。ー学習院大学国際社会科学部

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自由な発想と活発な議論でグローバル社会の潜在的な課題を可視化。

学習院大学では、2016年に52年ぶりの新設学部として国際社会科学部が誕生し、2022年3月には3期生が卒業した。学内に新たな風を起こす学部を目指して開設準備から携わり、2020年度からは副学長も兼務する乾友彦教授に国際社会科学部の魅力をうかがった。

取材・文 鈴木秀一郎

国際社会学部 教授
乾 友彦
一橋大学経済学部卒業後、日本政策投資銀行に入行し、アメリカ・ジョンズ・ホプキンス大学経済学部修士課程を経て一橋大学大学院経済学研究科博士後期課程修了。日本大学経済学部教授や内閣府統計委員会担当室室長などを務めた後、2014年に学習院大学国際社会科学部開設準備室教授として着任し、2016年より現職。2020年からは副学長も兼務する。

英語もデータサイエンスも肝心なのは“使い方”

―国際社会科学部で育てたい学生像から教えてください。

国際社会科学部が目指すのは、グローバルに活躍できる人材の育成です。現在までの卒業生では、メーカーで海外事業に携わったり、海外でプラント開発に従事したりと、製造業やインフラ系といった理工系のイメージの強い業界で活躍するケースもあります。また、データサイエンスのスキルや分析力を強みにして、IT系や外資系のコンサルティング企業に進んだ卒業生もいます。必ずしも大企業を志望する学生ばかりではない点も特徴であり、産業分野を問わず、グローバル社会において新たな仕事を生み出そうとする気概溢れる学生が育ってくれています。

―そういった人材を輩出する学部の特徴を教えてください。

国際社会科学部は、学生が自由に発想し、ときには学年の垣根を越えて自由に意見し合えるフラットな学習環境を用意しています。社会問題や企業の経営課題を的確に捉えた上で、先入観や固定観念にとらわれることもなく、解決策をゼロから考える力が養われます。

学生は、常日頃から最新の社会科学の分析方法を英語で学んで社会の課題に関する理解を深めたり、英語でのディスカッションなどをとおして、日々新たな気づきを獲得しています。英語は物事を探究するためのツールであり、肝心なのは使い方です。

また私は現在、理学部と法学部とともに、宇宙利用に関連するビジネスを推進する文理融合型の教育プロジェクトにも関与しています。その教育プロジェクトにおいて、インターンシップ先としてアメリカやヨーロッパ、シンガポールの宇宙ベンチャー企業なども開拓する方針であり、ゼロから事業をつくり上げるベンチャーマインドを学んでほしいと考えています。ただし、宇宙事業に関わる理工学的な知識や技術の習得を目指すわけではありません。大切なのは、「技術をどう活かし、どんな課題を解決するのか」「いかなるビジネスに発展させられるのか」といった視点を持つことです。重視すべきは技術の使い方を学ぶことであり、本学部におけるデータサイエンス教育にも通ずるスタンスです。

社会の隠れた課題にデータを用いて光を当てる

―先生のゼミでの取り組みもお聞かせください。

私のゼミでは、学生が関心のあるテーマを自由に設定し、統計手法を用いたデータ分析によって課題を可視化することを重視しています。例えば、障害のある人々は社会にどう受け入れられ、何が課題なのかを考える際、エビデンスとなるデータ分析があって初めて、解決すべき課題の本質が浮き彫りになります。もし人々の問題意識が高まっていないとすれば、その問題に光が当たっていないからであり、客観的なデータ分析によって光を当てるのです。

また私は、さまざまな角度から学生に質問を投げかけ、必要な情報やデータを集めてもらいます。こうして理解が深まれば、説得力のあるプレゼンテーションにもつながります。ただし、最初は誤解があっても構いません。質疑応答やディスカッションをとおして教員や周囲の学生から批評・批判される経験もまた成長を後押しするからです。

一方で、批評・批判する側には、具体的な代替案の提示を求めます。課題解決のカギは、仲間と一緒に建設的なコメントを出し合う一体感やチームワークです。社会に出れば、組織内でも企業間でも連携・コラボレーションを通じた業務の遂行が求められます。学生には、日々の学びをとおして、独り善がりな発想や発言に陥ることなく、“頼り頼られ”ながら連携して目標に突き進むチームワークの大切さを認識してほしいと考えています。

―学生の研究で興味深いテーマはありますか。

ある学生はアパレル企業と連携し、「なぜ就職活動ではリクルートスーツを着るのか。何が学生と企業のメリットであり、服装はどれだけ判断材料として重要なのか」を探究しています。「服装は自由」とする企業の説明会でも、実際にはほぼ全員の学生がリクルートスーツだそうです。この均衡を崩す服装の学生が“色眼鏡”で見られるとしたら、そこには何らかの差別意識、周りの人と異なる行動をする人を排斥する気持ちが働いているかもしれません。社会科学的にも「差別の経済学」の分析方法を当てはめることが可能ですし、より大きな社会問題として人種や年齢、性別を理由にした差別も存在しますので、とても意義深い研究といえます。

また、名実ともに服装が不問になれば、スーツ業界の売上にも影響が及びます。スーツに代わる製品開発をはじめ、経営学の知見に基づくアプローチも必要になるでしょう。社会が変化すれば新たなビジネス・モデルが必要になるもの。物事を多面的に考えるからこそ見えてくる課題があるのです。

活発な意見交換が学生を成長させる

―先生ご自身の研究内容もお聞かせください。

私の研究テーマは、日本企業の国際競争力です。これまではコスト削減による価格面での競争力が重視されてきましたが、もはや限界に近いのが実情です。新たな価値の創出に求められるのは柔軟な発想に基づくイノベーションであり、そのために必要な組織のあり方や、国の支援のあり方などを研究しています。

また、イノベーションは、可視化された課題の解決に向けて技術を上手に使うことで促進されるものです。いわゆるプラットフォーマーと呼ばれる企業は、既存の製品・サービスの価格競争よりも、新たなサービスをイノベーティブなビジネス・モデルにより提供することで競争力を高めてきた好例です。たとえ突出した技術力がなくても、その使い方次第で顧客満足につなげられるのです。斬新なビジネス・モデルを生むのは、人の柔軟な発想力であり、常識にとらわれずにゼロから発想する力なのです。

―最後に受験生へのメッセージをお願いします。

これからの社会で大切なのは、情報収集力だと思います。解決すべき課題の可視化に向けたデータサイエンスのスキルのほか、英語力を活かしたコミュニケーションによって得られる情報もあるでしょう。その上で、自由な発想から物事を考え、他者との活発な意見交換によって考えを深めていくプロセスが理想的です。

それができるのが学習院大学の国際社会科学部であり、今後は海外の大学とオンラインで連携するCOIL型授業も充実させていきます。在学中からグローバルなつながりを感じながら、ぜひ広い視野と柔軟な発想力を身につけていってください。

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