データ駆動型の思考を⾝につけ新たなビジネス課題や社会問題に挑戦し続ける⼈を育てるー成城大学経済学部

データ駆動型の思考を⾝につけ新たなビジネス課題や社会問題に挑戦し続ける⼈を育てるー成城大学経済学部

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成城⼤学経済学部では、当初より学部専⾨教育として統計学やデータ分析の教育に⼒を注いできた。⼀⽅、2015年度に全学共通教育科⽬としてデータサイエンス科⽬群が設置され、2019年4⽉には専⾨部署として成城⼤学データサイエンス教育研究センターが設⽴された。経済学部では、これらを利⽤して、機械学習やプログラミングなど、さらに深くデータサイエンスを学ぶことを推奨している。成城⼤学でデータ―サイエンスを学んだ学⽣がいかにして成⻑し、社会でどのように活躍しているのか、3名の卒業⽣と2名の教員に伺った。

実践例を知る「概論」科目から無理なくスタート

―卒業生の皆さんのお仕事内容から教えてください。

本吉 オフィスなどの事業用物件を扱う不動産企業に勤務しています。企業が働き方改革を進めるなか、生産性の向上やコスト削減のためのオフィス面積の縮小など、オフィスのあり方に関するコンサルティングが私の中心業務です。そのために経営層へのヒアリング調査や、数千人規模の全社員へのアンケート調査などを行い、結果を分析して提案につなげています。

笠原 私と佐藤くんが所属している株式会社マクロミルは、アンケートによる消費者の意識調査、実店舗やECサイトなどでの購買データを収集・分析し、企業のマーケティング戦略支援を行っています。私は研究開発グループに所属し、「アップリフトモデリング」と呼ばれる分析手法の開発に挑んでいます。これは、広告などの効果の測定に関する研究です。

佐藤 私は企業のマーケティング課題の解決をミッションとするデータコンサルティングを行う部署に所属しています。自動車メーカーからご提供いただくデータと、当社で保有する調査データとを照らし合わせながら、新たな経営戦略を模索していくチームです。現在はASEAN市場に注目して、その分析を行っています。

田村 笠原くんが取り組んでいる広告効果の検証は、データサイエンス分野で非常に盛り上がっている研究です。経済学や経営学でも扱う分析手法ですので、文系とも相性はいいですね。

増川 因果推論は計量経済学で研究されてきた分野で、2021年のノーベル経済学賞もこの分野の研究が受賞しました。今は実践的なマーケティングにも応用されてきている研究ですね。今後さらに注目されていくと思います。

―皆さんは、いつデータサイエンスを学び始めたのですか。

笠原 大学入試のために勉強した数学を活かせそうな科目として、1年次に「データサイエンス概論」を受講したことが始まりです。AIや機械学習の将来性に感動し、一気に興味が高まりました。また、2年次にアメリカに留学した際、現地の授業でも統計学やプログラミング言語を学べたため、モチベーションが途切れることはありませんでした。

佐藤 入学当初は特にデータサイエンスへの興味が強かったわけではありませんが、2年次からのゼミ選択の際、純粋に増川先生のゼミがおもしろそうだと思ったことがきっかけです。

本吉 私は、他大学の経営学部で興味を持った観光分野を専門的に勉強したいと思い、成城大学の大学院に進学しました。現在データサイエンス教育研究センターでセンター長をしている小宮路先生の研究室に所属し、どのように研究を進めていくべきかを相談して勧められたのが、データサイエンスの活用でした。また、「データサイエンス概論」も受講しましたし、修士論文の執筆では増川先生にもアドバイスをいただきました。

座談会の行われた成城グローバルラウンジ

新たな学問領域だからこそ「学び方」から身につける

―在学中はどのようなスキルを身につけましたか?

本吉 私が取り組んだのは、数万という文字データを即座に分析できる「テキストマイニング」という手法のスキルアップです。対象が文字ですので、文系の学びとも親和性が高いと感じたほか、文系でもデータサイエンスのスキルを身につけることで、将来の選択肢が広がっていく期待感が膨らみました。

佐藤 私は、ゼミで「R」を学んだ後、機械学習などのより高度な技術領域にも興味が生まれ「Python」も勉強しました。プログラミング言語そのものを修得したことは確かなのですが、自分にとって新しい分野での「学び方」を身につけられたことも大きな収穫です。

笠原 「R」から「Python」という流れは私も同じですが、我流の部分も多く、自力では比較的容易な「回帰分析」という手法に頼りがちでした。ただ、3年次以降に田村先生の授業を受け、ビジネスの現場でもよく使われている「クラスタリング」などの分析手法を一から丁寧に教えていただきました。

田村 我流で勉強する学生は少なくないですが、授業では教員がチェックしますし、グループワークなどで学生同士が教え合うことで精度は上がっていきます。笠原くんと佐藤くんは二人とも周囲の学生のお手本となって、仲間に積極的にアドバイスしてくれていましたね。

―増川先生にとって印象深いエピソードはありますか?

増川 笠原くんと佐藤くんは、私のゼミで学外のビジネスコンテストに挑戦し、見事に優勝を果たしました。プログラミング言語や分析手法は、言ってしまえば勉強すれば修得できます。ただ、それを実践的に活用して達成感を得ることは容易でなく、学生5人のチームで議論と試行錯誤を重ねたことが実を結んだことで、かけがえのない経験になったと思います。

佐藤 飲料メーカーのマーケティング課題に対して、コンテストの主催者から提供されたデータをもとに顧客ニーズを分析し、マーケティング施策を提案するという内容でした。教科書とは違って実際の経営課題ですので正解がなく、膨大なデータから糸口を探しました。

笠原 学生はアイデアを出すことができても、その有効性を裏付ける根拠が乏しかったり、主張の信ぴょう性を高めるロジックが弱かったりしますが、増川先生にいただいたアドバイスでクオリティを高めることができました。データサイエンスというとスマートな印象を持たれがちですが、実際には泥臭くデータを観察しニーズを発見して、ビジネスアイデアを提案しました。要は、現在の業務とほぼ同じプロセスを学生時代に経験できたんです。

増川 本吉さんは観光に関するレビューサイト、それも全世界にユーザーのいるレビューサイトに投稿された数十万件規模の膨大な書き込みの分析にチャレンジしましたね。

本吉 そうですね。KH Coderというツールを使ってテキストマイニングの精度を高めていった経験は、現在の業務に直接役立っています。業務で扱うアンケートには自由記述欄を設けますし、その内容を効率的に分析するためには、テキストマイニングの技術が不可欠だからです。ただ、テキストマイニングでは言葉の使用頻度が数字として導き出されますが、オフィス改善の必要性や有効性を数字で提示するだけではなく、数字の妥当性を裏付ける実際のコメントと紐づけて提示することも意識しています。

データサイエンススクエア(921教室)

情報技術を専門的に学ぶ大学院生が授業をサポート

―先生方が指導で意識しているポイントを教えてください。

増川 重要なのは、データとの向き合い方。それが養われるのは実践経験です。だからこそ学外のビジネスコンテストに挑戦することを推奨しますし、学内でも「データサイエンス・コンテスト」を開催しています。授業やゼミで基本的な知識や技術を修得したら、次に大切なことは、世の中の多種多様なデータにどう対応すればいいのか、どう勉強して応用すればいいのかを主体的に考えることです。その根幹の部分での姿勢、向き合い方をまずは身につけてほしいですね。

笠原 確かに業務でゼロからプログラムを書くケースは少なく、既存のプログラムを応用することが多いので、在学中にお聞きしたとおりだと実感しています。

田村 データサイエンスは流行のサイクルが早く、ひとつの技術に固執するだけでは応用が利かないケースもありますので、新たな技術へのキャッチアップからアウトプットまでのスピード感も重要です。もちろん学生の段階では壁にもぶつかりますので、意識しているのは個々の状況把握です。2021年度からはTA(Teaching Assistant)が積極的に学生の進捗を確認してフォローしてくれますし、学生の興味を喚起する有益な情報提供もしてくれているので、学ぶ上での安心感は大きいと思います。

増川 北海道の公立はこだて未来大学と協定を結んだおかげですね。同大学はシステム情報科学部の1学部体制で、本学は文系4学部のみという対照的な関係なので補完し合える部分が大いにあります。TAの派遣は、先方から打診していただきました。現在は先方の大学院生6名がオンラインで授業に参加し、本学の学生約5名に対して1名のTAがついてくれています。学習環境は大変整っていると自負しています。

スキルアップがさらなるスキルアップを生む好循環

―最後に受験生へのメッセージや今後の抱負をお願いします。

本吉 私は決してITや数学に強い学生ではなかったですが、興味が芽生えた際に実際に行動に移したことで、現在の業務に有用なテキストマイニングのスキルを高めることができました。受験生の皆さんも、興味があれば積極的に新たな一歩を踏み出すことで、将来の選択肢も広がっていくと思います。

佐藤 未知の分野であっても、少しずつコツコツと毎日勉強を続けることで習慣になり、学ぶことが苦でなくなっていくはずです。私自身も学び続けることで、できることを増やしていきたいと思っています。

笠原 私も新たな技術への好奇心をもってスキルアップに励み、業務の効率化や時間短縮を進めたいと思います。そうすれば勉強に使える自由時間も増えて、さらにスキルが高まっていく好循環が生まれるからです。

田村 データサイエンス分野のトレンドにアンテナを張って、効率的に学んでいくことが重要ですね。それは教員も同じですので、緊張感を持って指導していこうと思います。

増川 近年は非常に短いサイクルで技術発展が進み、数年先の世の中すら予測することは困難です。そんななか、世界的にデータサイエンスへの期待は大きく、次世代を担う学生にもぜひ挑戦してほしいと思います。成城大学で人文・社会科学系の学びを深めながら、データサイエンスの知識を日々アップデートしていける基礎体力を養っていってくれることを願っています。

成城⼤学データサイエンス教育研究センター

成城大学は、「情操・教養教育」「国際教育」「理数系教育」を柱とした教育改革に取り組んでいる。そのなかで、「理数系教育」の中核をなすデータサイエンス教育を担う専門部署として2019年4 月にデータサイエンス教育研究センターが開設された。

https://www.seijo.ac.jp/education/support/cds3/

センターは、ミッションとして教育「データに関心を持ち、データに基づき考え、行動する学生の育成」と研究「データサイエンスの人文・社会科学分野への応用」の二つを掲げ、人文・社会科学の専門知識とデータサイエンスの基礎力を兼ね備えた独創的な教養人の育成を行っている。

“事故物件”との出会いを機に新たな賃料推計モデルの開発に挑む

成城大学経済学部経済学科
准教授
定行泰甫
専門分野:都市経済学、応用ミクロ経済学

最適な関数を見極めて分析の精度を高めていく

私がデータサイエンスと出会ったのは大学院修士課程のとき。都市経済学の研究で統計学やデータ分析を用いて、住宅問題の実証研究を進めたことが原点です。その後、日本のいわゆる“事故物件”に興味を持ち、近隣への影響に関する研究に着手。事故物件や空き家などの住宅問題のほか、環境問題に排出権取引を導入した場合に、規制が導入されていない地域で温室効果ガスの排出が増加する「カーボンリーケージ」に陥ってしまう可能性などについても研究をスタートさせ、現在でも継続して取り組んでいます。

研究では、当初から社会還元を意識していたわけではなく、まずは自分が楽しめる研究テーマか否かを重視。次第に自分の興味で終わらせることなく、研究成果を社会に役立てることを意識するようになりました。というのも、事故物件であることを入居後に知り、裁判に発展するケースや、孤独死を危惧して大家が高齢者の入居を拒むケースが多発していることを知ったのです。国は事故物件の告知に関するガイドラインを策定しようとしていますが、その議論のための客観的なデータを導き出せると考えたのです。

分析を進めると、事故物件があると、その周辺の家賃が下落していくことがデータによって一目瞭然となり、影響が10年近く続く事例も散見されました。また、東京都内には事故物件が密集するエリアがあり、その影響をどのように推計するかが新たな課題になりました。

そこで現在は、家の広さや築年数、駅からの距離などをもとに適切な価格を算定する「ヘドニック法」という既存の手法をベースにして、新たな算定手法を開発している段階です。事故物件の密集度合や事故物件からの距離によって変化する関数を組み込むことで、価格を推計する新たなモデルを設計しています。このように、従来の手法に限界があれば、改良の余地を見出した上で、少しずつ精度を高めていく作業の積み重ね。将来的には空き家や福祉施設といった様々な都市問題に対応できる新たな価格査定システムを提案していきたいと考えています。

興味のあるテーマを探究しながらデータ分析力を高めてほしい

私が主に使用するデータ分析ソフトは、大学院時代に独学で操作方法を身につけ、仲間と教え合いながら習得したものです。近年はYouTubeなどで、さまざまなデータ分析ツールの使用方法が丁寧にわかりやすく紹介されていますので、ぜひ活用してほしいと思います。

ただし、操作方法を覚えればワンクリックで分析結果を出せる一方で、そのバックグラウンドに実装されている理論的な仕組みや、そもそもなぜその分析手法が有効なのかを理解しておくことも大切ですので、授業やゼミなどを通じて指導しています。

とはいえ、まずは学生にデータを“いじる”楽しさを感じてもらいたいと考えています。私のゼミでは、学生が自宅の最寄り駅周辺の家賃データを50軒分集め、どのように賃料が決められているのかをエクセルを使って分析した後、自宅の家賃を推計します。さらには、自宅周辺の空き家や空き地を探し、そこに住宅を建てた場合に、どの程度の家賃収入が見込めるのかといった計算にも挑戦します。学生には身近なテーマでデータ分析の基礎を身につけてもらいたいのです。

近年は空間解析アプリが進化しており、スマートフォンでの気軽な現地調査が可能なため、今後はフィールドワークも取り入れていく方針です。その際、テーマは住宅問題でなくたって構いません。例えば野良猫の所在マップを作成すれば生態を把握する手がかりとなり、そのデータを動物学の知見と融合させることで、新たな発見につながる可能性もあります。まずは興味を持ったテーマをとことん探究し、その過程で見つけた課題をクリアするためにデータサイエンスを活用していってほしいと思います。興味があるテーマなら理解も深まりやすいはず。ぜひ成城大学でその第一歩を踏み出してほしいですね。

現場レベルで日本のDXを加速させる人材を育てたい

成城大学経済学部経営学科
専任講師
渡邊隼史
専門分野:計算社会科学、統計物理科学など

数字の意味や背景を認識することが重要

私は学生時代にスーパーコンピューターを使った電磁場のシミュレーション研究を行った後、大学院では社会現象や経済現象を物理学の理論を用いて紐解いていく経済物理学を専攻しました。研究対象としたのは、日本全国における企業間の取引ネットワークです。そこでの金銭の流れの例えば、性質について、“ドロドロ”とした流れなのか、“雪だるま式”に加算されていくのかなど、物理の性質を金銭の流れに当てはめるような考察を進めました。

社会人になると、まずはデータサービスを手がけるITベンチャーに就職し、ソーシャルメディアに溢れるデータを収集・加工し、マーケティングデータとして企業に提供する業務に携わりました。例えば、飲食業界での流行を察知するために、日本中で発信されている食べ物に関するワードを分析していくと、長いもので5年から10年程度の年月をかけて少しずつ発信される頻度が高まり、影響力のあるマスメディアで紹介されるまで成長していくことがわかります。同様に増加傾向にあるワードを探していくと、流行の兆しを察知できる可能性も生まれるため、投資先を選定する際などの判断材料にすることもできるかもしれません。

また、この企業で感じたことは、データ分析が不十分だと、お客様や社内の営業スタッフなどにも迷惑をかけてしまうということ。社会に出れば、データや分析結果は企業活動の成否に関わり、極言すれば関係する人々の生活や命にも関わるということです。表面的に数字を提示するだけでなく、数字の意味や背景、その数字に行き着いたメカニズムも理解した上で、発信していく必要があります。間違った分析による誤った解釈を回避したり、自分自身が信ぴょう性の乏しいデータに翻弄されたりしないためにも、数字の意味や数字の重みを理解することが大切なのです。その際に役立つのが、経済や経営、法律、歴史や文学などの教養ですので、データサイエンスの学びの効果を高めるためにも、所属学部での勉強にもしっかりと取り組んでほしいと考えています。

なお、その後は研究機関や他大学に勤務しながら、日本中の空室データを収集し、入居者が決まる可能性をオンラインデータで分析する手法を開発するプロジェクトや、統計や物理の知見を用いて、人の価値観や関心の変化に関する信頼性の高い実証データの抽出などに取り組んでいます。最近では、明治から昭和時代までの100年以上の毎日の新聞のデータ解析の研究の準備をはじめています。そのような長期間の言葉データの解析からより長期的な価値や関心の変化の量的な法則や長期的な意思決定に役立つ知見が見つけられたら良いと思っています。

心がけてほしいのはシンプルな分析手法の修得

ゼミでは、多種多様なデータを扱ってきた私自身の経験を振り返った上で、学生にはLinuxを使ったデータ解析に挑戦してもらっています。データサイエンスの分野は、日々技術が進歩しており、自ら勉強し続けていくことが肝心。Linuxをマスターできれば、世の中の多様なツールに応用可能な基礎固めができると考えているからです。基礎がわかれば、専門家に依頼するまでもなく目の前の課題を解決できるケースも出てきます。就職先でも、現場レベルで対応できる人材の裾野を広げることが、デジタルトランスフォーメーション、いわゆるDXを本格的に進めていく原動力になると思うのです。

またデータ分析では、複雑な手法を使って複雑な答えを導き出すよりも、シンプルな手法でわかりやすい答えを出す大切さを伝えています。派手なことをするよりも、地味でもコツコツと分析結果を積み上げていくことが重要であり、シンプルですが「真面目さ」こそが成長のカギになります。そこで学生には、基本情報処理技術者試験の受験も勧めています。受験は任意ですし、勉強のペースも自由ですが、テキストを読み進めていくことで、少なくともITの専門用語には慣れていきます。卒業後にIT分野に進まなくても、不明点があればテキストを見返せば理解しやすくなるでしょう。もちろん、近年はツールのユーザビリティーが向上し、プログラミングの敷居が低くなってきていますので、ぜひ多くの学生や人々に挑戦してほしいですね。

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