自分で考え、自分で発言し自分で行動するビジネスパーソンにー昭和女子大学

自分で考え、自分で発言し自分で行動するビジネスパーソンにー昭和女子大学

独自のグローバル教育やキャリア教育によって、学生が挑戦しながら成長し、「女性が人生を拓く力」を養う昭和女子大学。2013年のグローバルビジネス学部の新設をはじめ、大学としても革新的な挑戦を重ねてきた歴史がある。本稿では、グローバルビジネス学部ビジネスデザイン学科長の今井章子教授に、同学科がめざす人材像や取り組みについてお聞きするとともに、卒業生2名には、学生時代の収穫や社会で実感している学びの成果などを語っていただいた。(以下、敬称略)

「英語を学ぶ」だけでなく、「英語でビジネスを学ぶ」

グローバルビジネス学部
ビジネスデザイン学科
今井章子教授
ハーバード大学ケネディー行政大学院行政学専攻修了。
英文出版社や政策シンクタンク勤務、ジョンズホプキンス大学や東京大学の客員研究員などを経て、2013年に昭和女子大学へ着任。2016年より同大グローバルビジネス学部ビジネスデザイン学科教授。現在は同学科長を務める。専門は政治学、Global Issues。

グローバルビジネス学部
ビジネスデザイン学科
2017年3月卒業(1期生)
家子莉佳さん
株式会社セールスフォース・ドットコム勤務

グローバルビジネス学部
ビジネスデザイン学科
2018年3月卒業(2期生)
藤野真理さん
株式会社パソナ勤務

―まず、ビジネスデザイン学科の特徴をお聞かせください。

今井 コンセプトは、グローバル社会で英語力やリーダーシップを生かしながら、自分の力で新たなビジネス領域を切り拓ける女性を育てることです。そこで本学科では、まず“使える英語”を徹底して身につけます。2年次には全員が昭和ボストンに留学し、英語が伝わる喜びを肌で感じてもらいます。

ただし、英語を上手に正しく話せることがゴールではありません。本学科がめざすのは「多様性の中でどのようにコミュニケーションすればビジネスを好転させられるか」という視点を持つことです。卒業後の就職先では、トップからの指示に従ってミッションを遂行するだけでなく、自らが責任をもって現場を預かることもあります。グローバル化が進む現代では、自分とは異なる国籍や人種、思想、文化的背景を持つ仲間とコミュニケーションを図り、物事を進めていく必要があります。

このような環境を学生のうちから疑似体験できるよう、「英語を学ぶ」だけでなく「英語でビジネスを学ぶ」カリキュラムを用意しています。学生たちには、学科での学びを通してグローバル社会での合意形成の難しさを体感し、未知の多様な考え方を受け入れる心構えを身につけてほしいのです。

―英語に加えて、デジタルスキルも重視されています。

今井 実社会では数値やデータに裏づけられたエビデンスベースドの考え方が広がってきています。そのため、物事の判断に有用なデジタルスキルやデータリテラシーを学ぶ科目を重視しています。データに基づいた課題解決力や、新たなビジネスを生み出す力、新たな顧客をつくり出す力をぜひ養ってもらいたいですね。

―女子大学でビジネスを学ぶ意義や特徴はありますか。

今井 女性を取り巻く社会環境や、女性が置かれている立場を定性的に理解し、必要な準備をさせた上で社会に送り出すことを重視しています。そこで、プロジェクト型学修をはじめ学生時代から実社会を体感できる機会を設け、キャリア教育と同時進行でビジネスを学んでほしいと考えています。

昭和ボストンへの留学や社会人との交流機会が魅力

―卒業生のお二人の、入学を決めた経緯をお聞かせください。

藤野 私は大学生活の早い段階で留学したいと考え、昭和ボストンのある昭和女子大学を選びました。なかでもビジネスデザイン学科には社会人との協働プロジェクトがあり、女性目線で実践的な経営手法やキャリアの積み方を学べると考え、入学を決めました。

家子 私も昭和ボストンの存在は決め手の一つになりました。また、授業で社会人と交流する機会の豊富さや、就職率の高さも魅力でしたね。私は結婚や出産といったライフイベントを経験しても家庭と仕事を両立させ、ビジネスの第一線で働き続けたいと考えていましたので、その準備ができる環境だと思えたのがこの学科でした。

―印象深い授業があれば教えてください。

家子 「女性のキャリア形成とビジネス」(飴善晶子先生)という科目では、社会で活躍されている方から、仕事に懸ける思いや大変さなどを直接お聞きする機会があり、とても刺激を受けました。英語の授業は習熟度別に10名程度の少人数クラスで質問もしやすく、他の学生の質問と先生の回答を聞くことで、さらに理解が深まることもありました。ゼミでは、渋谷の活性化に向けた企画を企業の方に提案するプロジェクト型学修に挑戦しました。市場調査を経てプレゼンテーションを行い、企業の方から直接フィードバックをいただくことで自信につながりましたし、自分の課題に気づくこともできました。

藤野 私は今井先生の「リーダーシップ」の授業が印象に残っています。実質的に組織を動かしてプロジェクトを成功に導けるリーダーは、必ずしも肩書上のリーダーとは限らないという話を聞き、目標とする将来像がクリアになりました。「問題が起きた際には第三者の視点で見つめ直すことが大切」という実践法は、社会に出てからもつねに意識しています。

目標に向けて周囲を巻き込む力が養われる

―4年間で何が身につき、どう成長できたと思いますか。

家子 ゼミでも通常の授業でもグループで課題に取り組む機会が多く、チーム力が向上しました。プレゼンに向けて発表内容の精度を高めるために積極的に意見を出し合うなど、何かを成し遂げるには何が必要かを考えることも多かったです。就職後はチームで動くことがほとんどで、困っているメンバーをサポートすることもあれば、逆にサポートを求めることもあります。そうやって人を巻き込んで補完し合い、個々のメンバーの強みを生かそうとする意識は、学生時代に養われたものです。

藤野 私もまさに人を巻き込む力が向上しました。在学中、ビジネスコンテストや英語のスピーチコンテストに挑戦した際、自分では目標を達成するための方法を見つけられず、他学部の先生や社会人の方にも相談するなど、自分で考えて行動しました。就職後も、他部署や社外から情報を集めて仕事を進めることがあり、学生時代の経験が今に生かされています。主体的に自分の頭で考えてアクションを起こし、ビジネスを前進させようと思えることは、学生時代の学びの成果だと思います。

今井 巻き込む力はリーダーシップに含まれる大切な資質です。萎縮することなく協力を求めたり、失敗を恐れず考えを発信したりしていくことが大切です。だからこそ本学科では、アクティブラーニングやプロジェクト型学修を積極的に取り入れているのです。また、少人数で結束を強め、しかもアットホームな雰囲気で学びを深められるゼミは、チーム力を養う絶好の機会です。私のゼミでは「Palette」というサイトを学生が運営しています。社会問題に企業がどう向き合っているか、企業努力や企業の社会的責任など、学生目線でテーマを選んで有識者にインタビューを行い、英語で執筆した記事を発信しています。また、ビジネスコンテストへの参加を奨励し、毎年のように入賞者が出ていることも、ゼミ生同士で好影響を与えています。

今井ゼミの学生が運営するサイト「Palette」
www.palette-swu.org/

―卒業生のお二人は、在学中に壁に直面し、乗り越えた経験はありますか。

家子 英語力の伸び悩みやインターンシップでの失敗などがありましたが、その都度自分を見つめ直し、再チャレンジするサイクルが学生時代に定着しました。先生方はつねに全力でサポートしてくださって、学生同士で支え合うことも多かったですね。社会人になっても失敗はありますが、同様に自分の行動を振り返って打開策を考え、あらためてチャレンジする意識が自分の中に根づいています。

藤野 私もTOEICスコアなどで悔しい思いをしました。でもあきらめることなく、どうすればレベルアップできるかを考え、行動に移すことができました。大学のサポートがあったおかげですし、その手厚さはキャリア教育や就職サポートも同じです。履歴書の添削など、こちらが求めれば最大限に応えてくださる安心感がありました。

今井 本学の強みは、キャリアデザインポリシーのもと、教員とキャリア支援センターのスタッフが連携しながら就職サポートを行っている点にあります。ビジネスデザイン学科は、1年次に「女性のキャリア形成とビジネス」という科目があり、「なぜ自分は仕事がしたいのか」「なぜ自立したほうがいいのか」など、自分の人生の歩み方そのものを考えます。そうやって意識づけを行った上での就職活動が、高い就職率の要因の一つになっていると思います。また、就職率の高さに惹かれて入学する学生が多いのは確かですが、「就職先を見つけてもらえる」とは誰も考えておらず、「入学後に自分で見つける」という意識を強く持てるまでに成長できることも、本学のキャリア教育の大きな強みですね。

「女性が人生を拓く力」を引き出す昭和女子大学

―最後に、高校の先生や受験生にメッセージをお願いします。

藤野 大学では、自分の興味や関心に素直に向き合い、まずは挑戦してみることをおすすめします。その思いを受け止めてフォローしてくれるのが昭和女子大学の魅力です。また、先輩や後輩、教職員との距離が近いアットホームな雰囲気があり、社会人になってからもその関係は続いています。きっと生涯の仲間に出会えると思います。

家子 プロジェクト型学修でも就職活動でも、学生が存分にチャレンジできる仕組みや環境が整っていて、たとえ失敗しても、そこから学び、自分を成長させてくれるのが昭和女子大学だと思います。ぜひチャレンジしてほしいですね。

今井 本学にはこうした校風や仕組みに加えて、女子大学だからこそできる、女性を取り巻く社会環境に関する研究も活発に進められています。女性がビジネスシーンで活躍していくための実証的で有用な知見が豊富に蓄積されている本学の社会的意義や価値を、より多くの受験生に知っていただきたいですね。

データサイエンス科目群が昭和女子大学で始動
めざすは「専門性×データサイエンス」の教育効果

昭和女子大学では、2021年度から全学生対象の「デジタル数理・データサイエンス科目」がスタート。前期開講の入門科目は予想を上回る659名の学生が受講し、順調な滑り出しを見せている。科目設置の目的と今後の展開について、総合教育センター長の井原奉明教授に伺った。

総合教育センター長、
国際学部
英語コミュニケーション学科
井原奉明教授

―新科目群の特徴や意義、またどのような科目が用意されているのか、お聞かせください。

「データサイエンス科目群」は、現在の社会情勢やデータ活用の有効性を考え、学科や学年を問わず全学生が履修できる一般教養科目として位置づけています。この科目群を通して実現させたいのは、「専門性×データサイエンス」という単なる加算ではない、相乗効果を生み出す教育効果です。14学科の学生たちが、専門の学びとデータを活用する力を掛け合わせて分析できる、また新たな価値を創造できる人を育成することがねらいです。

まず、「データサイエンス入門」という講義科目では、デジタル社会におけるデータの価値や、分析する際の視点の重要性、データから見る現代社会の諸相を丁寧に解説します。数学や統計学などの理論は使わず、「データを活用するとこんなことができる」という豊富な具体例の紹介から入っていきます。数学が苦手な学生にも好評で、演習科目への意欲を高めるきっかけにもなっています。

―演習科目ではどのようなスキルを修得できますか。

「データサイエンス演習Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ」の3段階で技術を学びます。ⅠではExcelの習熟度を高め、Ⅱでは本格的なデータ集計や統計調査にも使われるプログラミング言語「Python」を修得します。Ⅲでは実際のデータを扱い、発展的かつ実践的な分析に挑戦します。演習科目で重視するのは「何ができるようになったか」。知識量ではなく「使える技術」の修得です。今後は本学の現代ビジネス研究所とも連携し、新たな教育プログラムの開発も視野に入れています。

―これらのスキルを一般教養科目で学べるのはうれしいですね。

本学の一般教養科目では、例えば「日本語基礎」という科目なら、日本語の運用能力を高めることができます。プレゼンでもレポートでもわかりやすい言葉を使ったり、データ分析によって導き出した数字を提示したりすることで、説得力が高まります。「日本語基礎」で学ぶ言葉も、「データサイエンス科目群」で扱う数字も、理解を深め、考えを提示する際には普遍的で不可欠なツールなのです。

こうしたスキルがあれば、文化的背景や考え方の異なる人々との相互理解もより深まるでしょう。また、ビジネスでの企画や商談においても、エビデンスとして数字を用いた論理展開は有効な手段となるはずです。それゆえ、グローバル教育とキャリア教育に力を注ぎ、文理融合をめざす本学ならではの重点教育科目として、一般教養科目に開設しているのです。

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