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1989年に創設された学習院大学ラクロス部女子は、例年8月から11月にかけての関東学生リーグや、他大学との定期戦である6月の四大戦や甲南戦に照準を合わせて活動しています。また、1年生を対象に開催される5月のフレッシュマンキャンプや、7月と12月に行われる新人戦、さらには2年生が対象の5月の新人戦など、1・2年生向けの大会やイベントが充実している点も特徴です。2021年度の部員数は、1年生12名、2年生10名、3年生 16名、4年生16名の合計54名。チームを率いる主将の小櫃花奈子さんと副将の石井秀奈さんに、部の活動内容や魅力を聞きました。
左:石井秀奈さん(2021年度 副将)経済学部経済学科4年
伊奈学園総合高校(埼玉県)でもラクロス部に所属していた経験者ですが、他の運動部だった仲間から学べる部分も多いといいます。
右:小櫃 花奈子さん(2021年度 主将)文学部日本語日本カ文学科4年
常磐大学高等学校(茨城県)ではテニス部に所属。フットワークやシュート力などは、テニスの経験が活かされているようです。
全員で1点を取り、全員で1点を守り抜く
――チームの概要や目標などを教えてください。
小櫃:ラクロス部女子は、関東学生リーグの1部に所属しています。ただ、2015年に初めて2部に降格し、2017年に1部復帰を果たした後も、入れ替え戦の常連校のようになっているのが実情。そんな状況を打破するために、2021年度は”Be a Breaker”をチームスローガンとして掲げ、目標を「日本一」に設定しました。スローガンには、「一人ひとりが自分の限界を突き破って成長していこう」という思いも込めています。チーム全体でこの意図や目標を共有し、組織力の高い一体感のあるチームづくりを進めてきました。
石井:入学当初から「学習院なら日本一を目指せる」とコーチにいわれてきましたし、やるからには本気で日本一を目指そうと、役職などの運営体制とともに、同期で話し合って決めました。
小櫃:私は主将という大役には不安もありましたが、副将の石井さんをはじめ、大切な仲間がいるから挑戦しようと思えました。チームの運営は学生が自ら考えて行うことが特徴ですが、今年のチームで重視したことは、部員全員が役割を持って活動することです。例えば、主将、副将、主務、副務と、各学年の代表で構成される組織幹部のほかに、コーチと協力して戦術を練ったり、練習メニューを考えたりする技術幹部などもいます。
石井:技術幹部は、適材適所となるポジションやプレースタイルを見極めて、みんなの強みを引き出してくれる頼もしい存在です。ほかにも新入生の勧誘やホームページなどでの広報、OBとの連絡係などがいて、活発にコミュニケーションを取りながら活動しています。
――どんなチームカラーなのでしょうか。
小櫃:意識しているのは、シュート力やディフェンス力などの選手の個性を活かしながら、全員で1点を取って、全員で1点を守っていくチームづくりです。また、試合でも練習でも、声をたくさん出してチームの雰囲気を盛り上げる人や、クールでも行動で熱意を示す人、常に周りをよく見て気遣いをしてくれる人、さらには、やさしく寄り添いながらも時には厳しい言葉をかけてくれる人や、人の悩みを自分のことのように考えて一緒に解決しようとしてくれる人など、本当にいろいろな個性を持った仲間がいてこのチームが成り立っています。
石井:そうですね。私は人に甘くしがちだという自覚があるのですが、一方で厳しさをもって部員に接することができる仲間もいます。私が副将としてとことん下級生の声を聞く側に徹することができたのは、みんなが個性を発揮できるチームだからこそだと思います。
小櫃:みんなの個性を部員みんなが学年を越えて理解し合えているんですよね。
Lacrosse Makes Friends.
――初心者も多いのですよね?
小櫃:私はまさに大学からラクロスを始めました。体験会が楽しかったですし、誰と話しても自然体で優しく明るい人たちばかりだったので入部を決めました。また、周りもほとんどが初心者なので、同じスタートラインから頑張っていける点も魅力でした。自分にとっては”初モノ”づくしで、試合でもとても興奮しましたし、応援席もグラウンドもみんなで盛り上がる一体感は”鳥肌モノ”でした。
石井:運動経験が少ない部員だと、まずは基礎体力を高める必要もありますが、技術や戦術などの知識は運動部の経験者でもゼロからのスタートです。私は経験者として教えられることは何でも教えましたし、練習時間外に公園などで一緒に練習することもありました。そうすると初心者でもメキメキ上達していきます。バスケットボールの経験者は軽快なフットワークが強みになりますし、小櫃さんのようなテニス経験者は強いシュートを打てるので、私自身が教えられたことの方が多いかもしれません。高校時代は帰宅部や文化部でも、レギュラーとしてリーグ戦に出場する学生もいます。
小櫃:初心者から上達していくためにありがたかったのが、上級生が新入生に指導する「親子制度」です。練習中に録画した動画を部室で見ながらアドバイスをもらったり、自主練習に付き合ってもらったりしました。
――初心者はどんな練習が大切ですか?
石井:パスキャッチの練習ですね。要はキャッチボールのように投げて取る練習です。ただ、親子制度の親として意識したのは、技術面だけでなく、精神面でどう寄り添うかというポイントです。
小櫃:初心者だと、どうしても周囲との差が気になってしまうんです。その感情は理解できるので、私はマメな連絡を心がけました。かつて私自身がそうやって支えてもらうことで頑張ってこれたからです。
石井:その点、親子制度のほかに「ファミリー制度」もあって、1学年あたり2名から3名、それが4学年でひとつのグループをつくります。その「ファミリー」で一緒に自主練習をしたり、悩みを相談したり、一緒に食事に行ったりする制度です。
小櫃:また、ラクロスは大学から始める人が多いため、リーグ戦を主催する日本ラクロス協会自体が”Lacrosse Makes Friends.”をキャッチフレーズに、他大学のラクロス部員との交流機会をつくってくれています。1年生や2年生だけを対象とする新人戦も開催されますし、他大学と合同でチームをつくって試合をすることもあり、学外とのつながりも広がります。さらに、いわゆるレギュラー組のトップチームだけでなく、控えメンバーで構成されたサブチームでもたくさんの試合経験がつめる「サブリーグ」があるので、日頃の練習の成果を発揮するチャンスが多いんです。
部活動以外の時間でもチームワーク抜群
―― 普段の活動について教えてください。
石井:コロナ禍では夕方からの練習もありましたが、原則として練習は平日に週3回、朝の6時から8時半過ぎまで学内のグラウンドで行います(授業期間外)。また、土日にも練習や試合があります。平日は練習後に授業に出て、昼休みには再び同期と自主練習をして、どんどん仲良くなっていきます。授業が終わればバイトをしたり課題に取り組んだりと、メリハリのある生活を送れます。私は3年次までに取れるだけ単位を取って、4年次にはラクロスに集中したかったので、テスト期間は特に集中しましたし、普段から授業中にしっかりとノートを取り、予習復習を徹底しました。
小櫃:テスト前には、多くの部員が学生ホールに集まって勉強しています。試験に関する情報から、部活動と学業の両立方法、就職活動対策などまで、貴重なアドバイスをくれる先輩の存在は心強かったですね。部活動以外でも助け合う関係ができていて、絆が深まっていくのが女子ラクロス部の自慢です。ただ、コロナ禍では活動が制限されてしまい、リーグ戦も特別大会に変更されるなど、例年よりも試合数は減ってしまいました。それでも試合ができたことには感謝していますし、他大学が主催する”オンラインでの練習試合”に誘っていただくなど、新たな経験もできました。
石井:“オンラインでの練習試合”というのは、試合の動画を見ながら、ある時点で一時停止して、そこからいかに攻め、いかに守るか、考えられるパターンや確率を制限時間内に発表するものです。すぐに頭を回転させる必要があり、とても刺激になりましたね。
最高の仲間、一生ものの出会いが待っている
――あらためて4年間を振り返ったうえで、新入生へのメッセージをお願いします。
石井:私は実家から始発に乗って練習に向かう日々でしたが、「絶対に休まない!」という強い気持ちで4年間を過ごしてきました。母も早朝から協力してくれましたし、グラウンドに行けば一生懸命で仲間想いな、最高の仲間がいてくれます。ずっと一緒に過ごす仲間が大好きですし、つらいときも支え合える存在がいてくれる安心感があるからこそ、自分も頑張ってこれました。
小櫃:試合に負けてしまった後などは一人で考え込んでしまいがちですが、周りを見渡せば、同じように悔しさを感じながらも頑張る仲間がいました。同じ目標に向かって努力をして、ときには悩みを相談できる仲間がいるからこそ、つらいときも気持ちを切り替えることができました。また、さまざまな価値観や個性を持った部員とコミュニケーションを重ねてきたからこそ、技術的にも精神的にも成長できたのだと思います。
石井:先輩後輩も含め、多くの仲間と関わりながら、人との接し方も磨かれていきますよね。
小櫃:目標は同じでも、考え方や行動が少しずつ違うからこそ、自分の長所や短所を見つめ直すことができて、短所を改善して、長所を伸ばそうとする意欲も芽生えました。仲間を知ることで、自分と真正面から向き合うことができたんです。この先何か壁にぶつかっても、部活動での経験を思い出すことで、前を向いて進んでいけそうな気もしますし、成長できた部分を挙げればキリがないほどです。
石井:コロナ禍では、オンライン授業で人間関係が希薄になり、悩んでしまった学生もいたと思います。でも、部活動で解決できることもあります。より楽しく充実した大学生活を送るためにも、ぜひ大学生活で勉強以外に打ち込める何かを見つけてほしいですし、それが女子ラクロス部だったらうれしいですね。
小櫃:そうですね。女子ラクロス部なら一生ものの出会いが待っていますので、まずは体験会に来てみてください!