地域の視点から観光を見つめ、まちの活性化をけん引する人材を育成ー國學院大學

地域の視点から観光を見つめ、まちの活性化をけん引する人材を育成ー國學院大學

「伝統と創造の調和」「個性と共生の調和」「地域性と国際性の調和」という「3つの慮い」を掲げ、教育・研究をはじめさまざまな取り組みを進める國學院大學。140年に及ぶ同学の長い歴史に新たに加わるのが、2022年4月に誕生する観光まちづくり学部だ。コロナ禍において観光産業や地域社会が新たなあり方を模索するなか、新学部はどのような教育を行い、どのような人材を社会へ送り出していくのか。西村幸夫学部長(就任予定)に伺った。

地域の目線から観光とまちづくりを考える

西村幸夫 教授
東京大学工学部都市工学科卒業、同大学院修了。博士(工学)。東京大学副学長、マサチューセッツ工科大学客員研究員、コロンビア大学客員研究員、フランス社会科学高等研究院客員教授、国際記念物遺跡会議(ICOMOS)副会長などを歴任。専門は都市保全計画、景観計画、歴史まちづくり、歴史的環境保全。

――観光まちづくり学部の特色はどのようなものがあるでしょうか。

近年、観光をテーマに掲げた学部の新設が続いています。それらの学部の多くは、観光産業に人材を供給することに主眼を置いています。そのため、観光客目線での講義が多いです。

対する本学の観光まちづくり学部は、地域を元気にすることに主眼を置いています。すなわち、地域の目線から観光を考えるのが本学の特色です。学部名に「まちづくり」が入っている理由もここにあります。例えば、観光客の受け入れにあたっては、道路や駐車場の整備など、都市計画も重要なテーマになります。文化や歴史といった形のない資源の魅力創出に加えて、物理的環境も同時に考えることにより、地域を元気にしていこうというのが本学部です。このため、建築や人流解析のためのデータサイエンスなど、理系分野と融合した学びを展開することも特色になります。

少人数制教育で地域の課題解決に取り組む

――具体的にはどのような学びが行われるのでしょうか。カリキュラムなどをお教えください。

1グループ15人程度の少人数制で、グループごとに専任教員がついて行う演習を4年間の学びの核に据えています。

演習では地域の課題解決に取り組みます。ここで大事なのは、地域の課題は地域ごとに千差万別だということです。高校までの学びは、1つの決まった答えがある問いに対して、全員が同じように取り組んでいました。演習はこれとはまったく逆です。問題も違えば答えも違う。しかし実際の社会とはそういうものです。そのなかで自分なりの問題設定をし、答えを模索するのです。このような力をつけることが演習の大きな狙いです。

地域の課題解決に取り組むとは、困っている人の応援をすること、お手伝いをすることだとも言えます。これは、学びのモチベーションになるでしょう。大学では多くの科目が用意され、自由に選んで履修することができます。しかし何らかの動機づけがないと、「楽だから」という理由で科目を選んだり、学習の目標を見失いがちです。しかし「地域のために」というモチベーションがしっかりしていれば、「そのために役に立つ科目を履修しよう」「関係しそうなことを学ぼう」と考えることができます。すなわち、学びの方向性を自分で決められるようになるのです。これも、変化の時代においては欠かすことができない素養です。演習を通じて、このような力を養ってもらいたいと思います。

演習はチームで行います。活動を進めるうえでは地域の方との協業も欠かせません。これらの体験を通して、周囲と協調して物事に取り組む力を養うとともに、1人では思いつかないような発想と出会う楽しさや、チームで成し遂げる喜びを体験してもらいたいです。

専門性を深める学びとしては、2年次からの「展開科目」があります。「社会」「資源」「政策・計画」「交流・産業」という4つの類からなる展開科目では、将来の進路を見据えながら各分野の専門的な学びに取り組みます。また、文化の多様性を理解するためのアプローチとして、1年次に第2外国語までを必修としていることも特徴です。

地域が連携して訪問者を受け入れる態勢づくりを

――観光産業はコロナ禍で大きな影響を受けています。今後の見通しをどのようにお考えでしょう。

2〜3年でコロナの影響から脱し、回復するでしょう。観光産業のなかでは、コロナ前が異常なバブルで、いまは正常な状態に戻るための地固めであり基礎体力づくりの時期だという考え方もあります。

コロナ禍は近場の観光を見直すという流れも生み出しました。受け入れ側にとっても、近隣のお客さんはリピートしてもらいやすいですから、その流れはありがたいことです。

ここで大切なのが、せっかく生まれた新しい流れに対して、地域がきちんと対応できるかです。例えば、訪問者にとっては乗り物も買い物も宿泊も含めて観光です。ところがそれぞれの事業者が連携できておらず、不便や不満の種になってしまうこともあります。この課題をクリアし、「地域としてレベルアップしよう」という志が大切になると考えています。また、そのような取り組みをけん引する人こそ、これからの観光産業と地域で求められる人材であり、本学部が育成しようとしている人材です。

違いを楽しむことができる学生に期待

――入学を期待するのは、どのような学生でしょうか。

好奇心旺盛な人に期待しています。人が好き、街が好きという人も、本学部での学びはぴったりでしょう。美味しいものめぐりが好きな人も、きっと楽しく学べるはずです。

地域というのは本当に多様です。それぞれに違いがあり、それぞれに魅力を備えています。決して、「大きいからいい、小さいから魅力も少ない」というわけではないのです。「違いがあることは素晴らしいことだ」と言えるマインドをもった学生とともに学んでいきたいです。

これから入学するみなさんは、新学部を作り上げる仲間です。めったに経験できない、貴重で充実した時間を過ごせるはずです。そして、ここで得た学びをみなさんの大切な地域に還元していけるはずです。ともに素晴らしい学部を作っていきましょう。

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