失敗を恐れず挑戦し周囲を巻き込むリーダー像-昭和女子大学

失敗を恐れず挑戦し周囲を巻き込むリーダー像-昭和女子大学

夢を実現する力を備え、グローバルに活躍する人材。昭和女子大学が育成するのは今の時代が求めるリーダーたちだ。コロナ禍での学生生活、企業と連携した多彩なプロジェクトを通して、学生は何を学び、どう成長したのか。坂東眞理子理事長・総長とグローバルビジネス学部4年生の小山田みやびさんとの対談から浮かび上がらせる。

*文中敬称略

命令型ではなく巻き込み型 新しいリーダー像を実践

坂東眞理子理事長・総長

小山田 私は昭和女子大学に入学してから坂東先生の講演や授業を通して学んだことがたくさんあります。その教えから意識しているのが、「今、やらなければ」ということです。とくにコロナ禍はそれを強く感じる機会になりました。オンラインの理事長講話でも、先生は「この状況下で、できないことを並べるのではなく、できないことを可能にするには何が必要なのか考え、行動しましょう」とおっしゃっていましたね。3年次はコロナ禍で主としてオンライン授業だったのですが、授業のほかに、ビジネスコンテストに参加したり、学科のサイトを英語バージョンで新しく作ったりといちばん忙しく過ごしました。

坂東 コロナ禍だからこそがんばったぞ、ということですね。でも嬉しい。学生6千人のうち、どのくらいの人に私のメッセージが届くかしらと思っていたんですが、ちゃんと受け止めてくれたのね。ありがとうございます。

小山田 先生が呼びかけた「Never waste a good crisis(せっかくの危機を無駄にするな)」が私のテーマになっています。ビジネスデザイン学科の今井章子教授のもとでゼミ長を務めているのですが、今井先生も「アクティブに、今やっていきましょう!」というタイプなので、楽しんで謳歌しました。

坂東 ゼミ長なんだ。ゼミ長ってとても責任が重くて大変でしょう。

小山田 誰も取り残さないことをモットーにしています。オンラインで発言にためらっている学生に声をかけたり。

坂東 それはまさに、新しいリーダーシップですね。昔のように上からあれこれしなさいと命令するのではなく、声をかけ、一緒に巻き込んでいくのが、時代が求めるリーダー像なのです。

「夢を実現する7つの力」を備えた学生が育ちつつある

小山田 私が昭和女子大学を選んだ理由は、留学の機会と、ビジネスを本格的に学べるカリキュラムでした。所属しているグローバルビジネス学部ビジネスデザイン学科は、「ビジネス5つの知」(*1)を体系的に、いろいろな角度から捉えた学科です。私の専門は、ESG投資(*2)になります。社会課題の解決を、理念としてではなく、ビジネスとしてサステナブル(持続可能)な活動に結びつけるにはどうしたらいいのかを研究しています。企業がESGを本質的に理解して取り組んでいるのか、卒業論文で深く調べていきたいと思っています。

坂東 2013年にグローバルビジネス学部を作ったとき、「女子学生はビジネスに興味ないですよ」というアドバイスがたくさんありました。でも私は、これからの女性は必ず興味を持ってくれると信じていました。小山田さんのような学生が育ってくれて、とても頼もしいです。

小山田 なぜ、ビジネス系の学部を作ろうと思われたんですか?

坂東 女性が社会で活躍するには、ビジネスと経済の基礎を知っていることがとても重要です。基礎がないと将来、会社の幹部になるのに苦労するからです。語学とビジネス、両方できる学生を育てたいと思いました。そうしてようやく今、私が2007年に「夢を実現する7つの力」(*3)で挙げた、小山田さんのような人材が育ったのです。

小山田 ありがとうございます。

坂東 実社会っていつも上手くいくわけじゃないですよね。コロナ禍のように想定外のことだって起こります。学校の勉強がよくできるのも大事だけど、いちばん大事なのは、思い通りにいかない現実にぶつかったときにあきらめず、別のやり方で再挑戦しようとする強さなんです。そういう復元力は7つの力のすべてに必要です。大学時代が、そういう基礎を身につける時間であってほしいと願っています。

グローバルビジネス学部4年生
小山田みやびさん
(女子聖学院中学校・高等学校 卒)

企業連携など多様な機会 ビジネスを学ぶ豊かな環境

小山田 挑戦することを学ぶ機会が多く、本当に豊かな環境です。

坂東 今井先生は典型ですけど、うちの大学は先生が一人ひとりをよく見ていて、チャンスがあると学生の背中を押す。他の大学ではなかなかできないことだと思います。

小山田 1から100まで教えるのではなく、「まずは自分たちでやってみなさい、失敗したら私が支えるから」という先生がたくさんいらっしゃるので、安心してチャレンジできます。

坂東 失敗は大学生の特権です。とくにグローバルビジネス学部は企業と連携したプロジェクトが多く、現実社会は教室の理論通りに動いていないことに気づく機会が豊富です。企業だけでなく自治体など、多様なパートナーがいますので、教室では学べない経験をして、現実社会における瞬発力や適応力を身につけていただきたいです。

小山田 私は中高で、一生懸命がんばるのが当たり前であり、格好いいことだと学びました。この教えは昭和女子大学にも共通します。基本的にモチベーション管理とか人間関係のいざこざに悩むことがなく、プロジェクトの成功にフォーカスできたのは、意識の高い人が集まっていたからだと感謝しています。

坂東 小山田さんがいいリーダーだから、そうなっていったんですよ。女性のリーダーシップというと、女性管理職や国会議員、閣僚を増やすイメージが先行しますが、そうじゃないんです。流されずに自分で考えて自分で行動する、それがリーダーシップです。無意識に、余計なことをせずにいようと自分の可能性を狭めている女性は、残念ですが少なくありません。もったいないですね。7つの力の最後は自分を大事にすることです。自分のいいところを磨き上げて成長させ、得意じゃないことに対してはダメージを被らない、それも自分を大事にすること。ぜひ自分を大事にして積極的な人生を生きてください。

小山田 私の人生の目標は、笑顔で過ごせる人を、世界に一人でも多くすることなんです。卒業後は、国境を越えてインフラを支えることをファーストステップの目標に掲げ、ゼロエミッションの火力発電づくりに挑戦している電力会社へ入社します。

坂東 小山田さんの選択がとても嬉しい。幸せって、苦労せずに楽をすることじゃなくて、挑戦してできなかったことができること。それがいちばん笑顔になれるよね。

小山田 これまでとても幸せな環境で育ってきたので、社会に出ても達成感を周囲と分かち合っていきたいと思います。

*1 「顧客づくり」「組織づくり」「経営資源づくり」「視野づくり」「経済学的思考」から成る5つの知
*2 環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)を重視している企業は将来性が期待できる優れた投資対象とされる
*3 夢を実現する7つの力: 1)グローバルに生きる力 2)外国語を使う力 3)ITを使いこなす力 4)コミュニケーションをとる力 5)問題を発見し目標を設定する力 6)一歩踏み出して行動する力 7)自分を大切にする力

昭和女子大学 理事長・総長
坂東眞理子
東京大学卒業後、総理府(現内閣府)入省。内閣広報室参事官、男女共同参画室長、埼玉県副知事、オーストラリア・ブリスベン総領事を経て2001年内閣府男女共同参画局長に就任。2003年に昭和女子大学へ着任。07年に学長就任、現在は理事長・総長を兼務する。著書に『女性の品格』(PHP新書)がある。

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