社会を読み解き、課題解決策を探るカギ 101個の「思考の概念・思考のツール」とは?-清泉女子大学 地球市民学科

社会を読み解き、課題解決策を探るカギ 101個の「思考の概念・思考のツール」とは?-清泉女子大学 地球市民学科

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清泉女子大学の地球市民学科は2001年に設置され、20周年を迎えた2021年度からは、全面リニューアルされたカリキュラムがスタート。そこで、改革を主導した山本達也教授のほか、新体制の第1期生として入学した2名の学生に、学科の特徴や魅力についてうかがった。

地球市民学科 1年
千葉県立成田国際高等学校出身
豊田しおりさん 

地球市民学科 1年
宮城県・私立常盤木学園高等学校出身
佐藤幸嘉さん
地球市民学科
山本達也教授

 

「コンセプト」を使い正解のない問いに挑む

山本 まずは地球市民学科を志望した理由を聞かせてください。

豊田 学科内で「コンセプト」と呼ばれている101個の「思考の概念・思考のツール」を用いた学習方法に興味を持ったからです。私は環境問題に関心があり、高校時代に海外でのフィールドワークやプレゼンテーションなどを経験したのですが、自分とは異なる多様な考え方に触れられた反面、自分の視野の狭さを痛感しました。その点、この学科ならさまざまなコンセプトを切り口にして物事を多角的に捉え、視野を広げられるという期待が膨らんだのです。

佐藤 私も101個のコンセプトとフィールドワークが入学の決め手です。正解がひとつしかないような従来型の勉強は苦手なのですが、正解のないテーマについて、コンセプトを使って意見を発信し合いながら深掘りしていくスタイルが興味深く感じられました。今までにない学習方法で楽しそうだと直感したんです。また、高校時代から自分が知らない世界をもっと知りたいという思いが強く、フィールドワークでアフリカのマラウイ共和国を訪れるチャンスがある点も魅力でした。

少人数での学びで社会がより身近になる

山本 コンセプトは覚えることが目的ではなくて、具体的な事例から導き出したり、それをまた別の事例に当てはめたりと、「使うこと」が大切なのですが、授業の印象はどうですか。

豊田 コンセプトを扱う「基礎概念」の授業は、参考書もドリルもないなかで、自分と周囲の多様な意見を統合させるスキルや、問題となっているテーマの構造を再構築するスキルが、自然と身についている印象です。

佐藤 グループディスカッションでもグループワークでもゲーム感覚で楽しく学べていますね。みんな個性豊かで、意見を聞くたびに驚きがあり、気づきに溢れています。学生同士で高め合えている感覚があります。

豊田 高校時代は意見を言うこと自体を“恥ずかしい〟と感じたり、見当違いな発言をしたら“カッコ悪い〟と考える部分もあって消極的でした。ただ、今では少人数で発言しやすいですし、失敗しなければ理解は深まらないとも思えるようになって、積極的に発言するようになりました。

山本 教員も研究を重ねて、発言しやすい授業づくりを進めていますからね。少人数とはいっても、少なすぎれば多様な意見に触れるチャンスも狭まるため、結果的に約20人にしているのです。2人とも授業の成果は感じられているようですね。

佐藤 コンセプトを学んだことで、ニュースやドキュメンタリー番組などを見て内容を理解しやすくなりました。日常生活に潜むコンセプトを探すことも楽しくて、私は勉強が嫌いだったのに、この学科に入ったことで私の中の常識が覆され、勉強が楽しくなりました。

豊田 私も社会をより身近に感じられるようになりました。社会との関わり方という点でも、いろいろな可能性・選択肢が見えてきたように思います。

活発な対話が複眼的思考の出発点

山本 物事の捉え方や考え方自体に変化はありますか。

豊田 ひとつの問題に対して、単に第三者として客観視するのではなく、多様なステークホルダーの視点に立って多角的に考える大切さを認識できるようになりました。考え方には違いがあるからこそ、ときに自分にとっての常識や物差しを壊す柔軟性も重要ですし、多様な考えを許容できる人間でありたいと思っています。また、目先のトラブルを回避する方法を考えるよりも、どうすれば根本的な解決が可能なのかを考えるようにもなりました。決して簡単ではありませんが、先生方や学生との活発な対話から解決策を導き出すヒントが得られています。

山本 教員は基本的なことは教えますが、何事も学生自身で課題を見つけて、学生同士で協力しながら実際に行動を起こしてみることが大事ですね。

豊田 レポートを書いて終わりではなく、実際に行動するからこそ壁にもぶつかりますが、協力して乗り越えようとする過程で気づけることや身につくものがあるのだと思います。

佐藤 多様な視点を共有するからこそ新たな可能性が生まれるのだと思いますし、それが私には“おもしろさ”に感じられます。事前学習ツールの「ペルソール(※)」にしても、学生同士で意見を出し合うことで、会話感覚で気づきを得られます。授業の前段階で既に幅広い視点からひとつのテーマを分析できるようになって、理解を深められるのです。

豊田 午前中に次の授業に向けた疑問点などを投稿しておくと、午後には何件もメッセージが届いていることがほとんどです。学生同士でディスカッションをして、考えを深めたうえで授業に臨めるような感覚ですよね。

佐藤 先生がコメントを投稿してヒントをくれることもありますし、疑問や悩みなどをみんなで共有し、助け合いながら、一体感のなかで成長していける点に、この学科の魅力がありますね。

※ペルソール(Perusall):オンライン上で文献や映像などを共有し、各自のタイミングでコメントを書き合うことで、非同期型のグループワークを可能とするためのシステム

課題解決力を備えたグローバルシチズンに

山本 在学中の目標や、将来像は見えてきましたか?

豊田 環境と開発の関係性を探究したうえで、教育分野をはじめ、環境問題への当事者意識を高めるきっかけづくりに力を発揮することが目標です。高校時代にマングローブ林を訪れた際、現地の生態系が、都市部から流れ着いたゴミの影響を受けている実態を知り、自分が見えないところで苦しむ人が存在することを肌で感じました。だからこそ、当事者意識の向上と根本的な課題解決に貢献したいのです。

佐藤 私はまず、食と音楽という自分の「好き」に関わる分野で学びを深めることが目標です。フードロスをはじめとする食糧問題のほか、人種差別や貧困問題を歌詞にするような社会的なメッセージ性の高いヒップホップについても研究してみたいと思っています。

山本 具体的な就職先としてはイメージは沸いていますか?

豊田 環境意識の高い企業から、環境問題に直接的にアプローチする企業やNGOまで、自分がそのときにできることを最大限発揮できる道を歩みたいと思っています。いずれにしても一人で達成できることには限界があるので、みんなでアクションを起こせる環境を見極めたいです。

佐藤 食品業界には興味がありますが、できれば就職前にフードロスの実情などを含め、世界の食文化や食糧事情を自分の目で見て確かめたいと思っています。世界中の人々と協力して問題解決に貢献できる人間になるためにも、まずは冒険心を持って世界を飛び回りたいですね。

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