ポストコロナ時代に向けた教育・研究の展望-東京理科大学

ポストコロナ時代に向けた教育・研究の展望-東京理科大学

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教育・研究は、大学の役割として車の両輪に例えられるほど重要なものだ。その2つの項目について、東京理科大学は、高等学校の教員から私立大学トップの評価を受けている。本稿では、ランキングを用いながら東京理科大学の強みをみていくとともに、ポストコロナ時代に向けた教育・研究のあり方の変化と今後の展望について、渡辺一之副学長と、オンライン授業に関する取り組みについて最前線で活躍している渡辺雄貴教授の説明を交えながら紹介したい。

東京理科大学は、1881年に21名の若き理学士らにより「東京物理学講習所」として創立された。「理学の普及を以て国運発展の基礎とする」を建学の精神に掲げ、真に実力を身に付けた学生のみを卒業させるという、「実力主義」を貫き通したという。

創立から140年が経過した現在では、私学随一の理工系総合大学という確固たる地位を築いている。まずはその強みである教育力と研究力について、高等学校の進路指導教諭の評価に注目して見ていこう。

教育力・研究力の評価は全国の私立大学で1位

大学通信では、毎年進学校の進路指導教諭を対象に、“オススメの大学”についてのアンケートを行っている。2020年は過去最多となる910校から回答を得た。5校連記で項目別に大学を記入してもらい、最初の大学を5ポイント、次を4ポイント…として計算し集計している。

表1は、進路指導教諭が薦める「教育力が高い大学」ランキングだ。東京理科大学は全体で6位、私立大学では1位となっている。進路指導教諭のコメントは、「本校から入学した生徒が能力を伸ばし、就職後も活躍している」(茨城県・私立高)、「図書館を利用している人の多さ。学習意欲を高めている」(東京都・私立高)など。

学生の学習意欲が高いのは、「進級や卒業の審査をしっかりしている」(千葉県・私立高)というコメントにある通り、関門制度があるからだろう。関門制度とは、学部ごとに関門科目を定め、その単位取得を進級の条件とするもの。創立時からの「実力主義」を象徴するこの厳格な進級制度のもと、教員たちが情熱をもって指導にあたる。学生たちは関門を超えようと真剣に勉学に取り組み、実力を身に付けていくという伝統がある。

次に、進路指導教諭が薦める「研究力が高い大学」ランキング(表2)を見てほしい。東大、京大、東北大など国立の最難関大学に続いて、私立大学ではトップとなる8位にランクインしている。しかも、5年連続の私立大学トップだ。進路指導教諭からは、「多くの優秀な研究者が在籍しており、社会的影響力が強い」(東京都・私立高)との評価があった。教育力が高いからこそ学生が優秀な研究者として育ち、さらに大学の価値を高めていくという好循環ができている。

さらに、大学の出口となる就職について見ていこう。表3は卒業生数3000人以上の大規模な大学における、20年卒業生の実就職率(*)ランキングだ。実就職率95.9%は全国トップだった。卒業生が活躍するフィールドは、企業、学校、官公庁と多岐に渡る。就職力は大学の教育力と研究力が結実したもの。このランキングも、東京理科大学が高い教育力と研究力を背景に十分に実力を身に付けた学生を社会に送り出す、優れた教育機関であることを示している。
*実就職率=就職者数÷(卒業生数−大学院進学者数)

ポストコロナ時代に合わせたDX化の取り組み

渡辺雄貴教授

140年の伝統の中で、教育・研究の両面で高い評価を得てきた東京理科大学だが、コロナ禍により従来と同じやり方が難しくなった。ポストコロナ時代では、教育のDX化、つまりデジタル技術を活用した、教育の質的転換が求められる。

そんな中、東京理科大学が取り組んでいる教育のDX化事業は、文部科学省の「デジタルを活用した大学・高専教育高度化プラン」に採択されるほど高い期待を受けている。渡辺雄貴教授は、こう説明する。

「本学における教育のDX化事業は、『教育プログラム改革』、『教育環境整備』、『教育手法の開発』の3つを重点目標とし、それぞれが相互に関与するものです。教育プログラム改革はデータサイエンスセンターの設置など既に形になっていますから、現在の取り組みとしては残りの2つが柱になります。そのうちの教育環境整備は、具体的には無線LANやネットワークの増強、学生全員のPC必携化、授業収録配信システムの充実などがあり、ハイフレックス型教育の実現を目的とするものです」

ハイフレックスとは、ハイブリッドとフレックスを組み合わせた造語だ。ハイフレックス型教育とは1つの授業を対面とオンラインで同時に行う形式を中心とするもので、東京理科大学では21年度より本格的にスタートしている。渡辺雄貴教授は、こう話す。

「今まで対面の授業が当たり前でしたが、コロナ禍を受けて昨年5月からオンライン授業に切り替えました。1年間やってみましたが、自分のペースで学習ができるということで学生からの評判は上々です。また、課題という形でアウトプットを求めやすくなり、教員の立場からは学生の理解度を測りやすくなりました。対面には対面の、オンラインにはオンラインの良さがありますので、柔軟に両方の良さを取り入れていきたいという狙いがあります」

渡辺一之副学長

もう1つの柱である教育手法の開発は、項目反応理論(IRT)を用いた学習到達度測定WEBテストと、機械学習手法を用いた学修支援システムの2つからなる。学修到達度測定の精度を向上するとともに、学修成果や留学の有無、進路希望等の教学データを機械学習により分析し、学生一人一人の達成度に応じたフィードバックを行う。学習支援というと、つまづいた学生へのサポートというイメージが強いが、東京理科大学の学習支援は全学生の自学自習能力の充実を図るものだ。渡辺一之副学長は言う。

「実力主義は本学を象徴する言葉ですが、その意味合いは時代に合わせて変えていく必要があります。今の時代に必要なことは、単に厳しくして鍛えることではなく、自分で学修する態度を身に付けさせることだと考えます。学生の個性や多様性を尊重しながら個別最適化を行い、各自が足りない能力や必要な能力を伸ばしていくこと。これが教育手法の開発の狙いです」

4年間を通して教養・専門双方を学ぶくさび形カリキュラム

東京理科大学にはもう1つ、大きなトピックがある。教養のための新組織として、「教養教育研究院」を設立したのだ。神楽坂と葛飾(東京)、野田(千葉)、長万部(北海道)の4つのキャンパスに所属する100人近い教養担当教員が一丸となり、教育・研究と地域貢献を行う。教養教育研究院設立の背景はこうだ。

「本学の教育研究理念は、自然、人間、社会とこれらの調和的発展のための科学と技術の創造です。その理念を叶えるためには、単に専門知識を有するだけでは足りず、専門と専門を橋渡しするような複眼的なものの見方が必要になります。それこそが教養ではないでしょうか。理工系総合大学だからこそ専門教育と教養教育を教育の2本柱として並列に扱うことを定め、その第一歩として新組織を立ち上げたのです」(渡辺一之副学長)

22年度には教養教育改革の目玉として、くさび形の教養教育カリキュラムがスタートする。これは、低学年次に教養教育を終わらせ高学年次から専門教育に専念する従来のカリキュラムと異なり、4年間を通じて教養教育と専門教育双方を履修できるものだ。

ハイフレックス教育の環境整備と個別最適化をめざす教育手法の開発。さらに4年間を通じた教養教育の強化という、東京理科大学の今後の展望を紹介してきた。ポストコロナ時代で教育・研究の方法が変わったとしても、教育力・研究力の高さという東京理科大学の強みは変わることがなさそうだ。

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