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大空を駆けるパイロットに憧れる者は多いが、それはいつの時代も狭き門だった。
最大のハードルが、資格取得までにかかる高額な費用だ。
工学院大学が昨年4月に新設したパイロット養成コースは、その画期的なスキームにより、圧倒的に低減させた訓練費用で日本航空(JAL)パイロットへの道を拓く。
航空プロジェクトを担当する関根雅泰さんに取材した。
自己負担をできるだけ抑え、企業の養成コースを目指す
通常、事業用パイロットの資格を取得するには、訓練費などを合わせて平均で2千万円以上が必要となる。パイロットへの道を狭めるこの最大の関門に、工学院大学は突破口を開いた。同大学の先進工学部機械理工学科航空理工学専攻に開設された「エアラインパイロット指定校推薦コース」がそれだ。総額440万円程度の費用で訓練を完了できるという。受験生のほとんどがこのコースを希望するそうだが、なぜ、ここまで費用を抑えることが可能なのか、航空プロジェクトの責任者である関根雅泰さんに聞いた。
「ポイントは、日本航空(JAL)との連携です。『エアラインパイロット指定校推薦コース』で取得を目指すのは、アメリカ(FAA)の自家用および計器飛行証明の2つのライセンスまでです。その後、本学が定める技量確認試験に合格すると、日本航空(JAL)の自社養成パイロット採用選考に向けた推薦資格が付与されます。選考に合格・内定し、入社すると社員として働きながら、改めて企業の養成を受けることになります」
学生が自分で賄う訓練費を最小限に抑え、日本航空への入社を目指すことができるというわけだ。訓練は、日本航空と連携した質の高い内容が担保される。
「費用のほかにもう一つ、パイロットの関門と呼べるものがあります。それは職業操縦士に求められる航空身体検査です。努力だけではどうしてもクリアできない部分であり、訓練時間や費用を費やした後で自分が不適合だと知るのはあまりにも辛い。そこで、同コースは操縦訓練に入る前に、エアラインの採用を見据えた基準で航空身体検査を受診できるようにしました。早い時点で将来の設計図が描きやすくなるでしょう」
固定翼・回転翼の選択は入学後、実際に体験してから
このコース以外にも、日本(JCAB)の事業用および飛行教官資格取得を国内訓練のみで目指す「国内ライセンサーコース」、海外訓練を多用する「海外ライセンサーAコース」、国内訓練を多用する「海外ライセンサーBコース」、またアメリカ(FAA)の事業用および飛行教官資格取得を目指す「CFIコース」と、選択できるコースは全部で5つ。語学力、用意できる費用、目的など、学生ごとのニーズに応じて選べるようになっている。
このように、工学院大学の航空理工学専攻は、学生の立場に寄り添うよう考えられている。多彩なコース設定に加え、出願の時点で固定翼と回転翼、どちらのライセンス取得を志望するのか決める必要がないのも、国内の私立大学では初の試みだ。入学後、1年次の前期に行われる飛行操縦合宿で両翼の操縦を体験し、それを踏まえて決めればいいという。
「固定翼はエアラインや軽飛行機などに代表される航空機です。一方、回転翼の代表はヘリコプター。ドクターヘリや防災ヘリなど、人の暮らしや安全を支える立役者です」
確かに、操縦桿を握ってみなければわからないこともあるだろう。大切な進路を実際に体験した上で選択できるのは、学生にとっても嬉しい配慮ではないだろうか。
ゴールが一つに制限されないエンジニア・パイロット®
学生の将来を共に考えるという意味において、同大学のカリキュラムは他と一線を画している。それを象徴するのが、航空理工学専攻が先進工学部の機械理工学科に属しているという事実だ。工学院大学が育成するのは「エンジニア・パイロット®」なのである。
「自分が操縦する機体のことを理解する高度な工学知識と、飛行操縦スキル。双方を併せ持つ人材の育成を掲げています。本学ならではの特色と言えるでしょうね。パイロットコースは機械理工学科でエンジニアになるためのカリキュラムを履修しながら、飛行操縦訓練を積みます。つまり、ダブルメジャー(二つの専攻を学ぶこと)のイメージなのです」
それだけに、パイロットコースの日々は多忙だ。覚悟と情熱を持って挑んでほしい、と関根さんは願っている。
「入試では通常の機械理工学科の試験に加え、面接があります。パイロットになれば、定期的な航空身体検査に備えてつねに体調管理をするなど、自律・自制が大前提です。また、飛行機の機体は日進月歩で進化しますから、働く間はずっと勉強が続きます。そうした努力を惜しまない学生を求めているので、あえて定員制にはしていません。初年度の合格者は少数でしたが、本学が求める基準を満たした方がいなければ、0人でも構わないという覚悟です」
厳しい道だが、卒業に必要な機械理工学科のカリキュラムをすべて履修するため、さまざまな理由でパイロットへの道を断念することになっても、専門知識を生かした就職や大学院進学が可能だ。ゴールが一つに限定されず、卒業後の進路は多岐にわたる。
新型コロナウイルス感染症は航空業界にも影響を及ぼしたが、世界的にパイロットは不足している。今後、需要はますます高まるだろう。エンジニア・パイロット®の誕生に、大きな期待がかかっている。