相模原キャンパスの理工学部「物理・数理学科」がより高度に専門特化した2学科体制にリニューアル―青山学院大学 理工学部 物理科学科/数理サイエンス学科 (2021年4月 設置)

相模原キャンパスの理工学部「物理・数理学科」がより高度に専門特化した2学科体制にリニューアル―青山学院大学 理工学部 物理科学科/数理サイエンス学科 (2021年4月 設置)

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青山学院大学では、2021年4月より、理工学部物理・数理学科が「物理科学科」と「数理サイエンス学科」の2学科体制に改編される。これまでの「物理科学コース」と「数理サイエンスコース」の2コース制から、学科としてより専門性を深めたカリキュラムへと刷新。現代社会、そして次代に求められる高度なスキルをもつ人材を育成する。

最先端技術を駆使した高度な学びを推進

―学科改編の背景や目的についてお聞かせください。

三井 急速な広がりを見せるビッグデータやAI、ディープラーニングなどは、物理学とは直接関係しない技術分野ですが、実際には物理学の研究でも積極的に活用されています。抽象的に物理学や数学の理論を学んでから、個別具体的なモデリングに進むという物理学における伝統的な教育プロセスを、時代に即した内容にアップデートさせることが改編のねらいです。めざしたのは、理論を応用して社会に役立てるための実践的なアウトプットを早期から行うカリキュラムの構築です。4年次に専門的な卒業研究に取り組む際に、初めてプログラミングなどを修得するのではなく、低年次から物理学に活用可能な手法を学べるカリキュラムを策定しました。

谷口 近年は学生が取り組む課題の多様化が進み、内容自体も複雑で難解になっています。だからこそ、より専門性を高めるべきだという議論が活発化し、2学科体制に至ったのです。数理サイエンス分野では、数学の応用によって切り開くことのできる新たな可能性にふれられる科目を充実させたいと考えました。

―具体的なカリキュラムの特徴をお聞かせください。

三井 物理科学科では「物性物理」と「宇宙物理」、「生物物理」の3領域いずれかを学生が選択し、ビッグデータの活用や画像処理、AI、ディープラーニングといったツールを用いて卒業研究に臨みます。現状は、4年次以降に研究室単位でこれらのツールの活用方法を指導し、実践させていますが、ツールはあくまでも手段。ならば2・3年次の実験・実習やプログラミング演習などで、あらかじめ最先端のツールを学んでおく点が特徴です。最新のツールに早期から慣れ親しみ、専門的な研究につなげることが重要なのです。

谷口 数理サイエンス学科でも、卒業研究の前段階である3年次に、応用系の科目を充実させます。経済・金融分野にアプローチする金融工学や、数理モデルを用いて伝染病の感染プロセスなどを解明する生物数学などは、従来は4年次の卒業研究で取り組むようなテーマですが、新体制では3年次に応用系の学びで挑戦できるようになります。

現代社会の多様な事象を解明する基礎力を重視

―一歩先を見据えたカリキュラムだと思いますが、確かな基礎力が大前提になりますね。

 近年では理学が工学の領域に広がってきたり、社会科学領域の課題解決ツールとして理学系の知見が使われてきたりと、さまざまな現象を「物理モデル」や「数理モデル」を用いて分析する研究が盛んです。ただ、そうした研究を支えるのは基礎的な学問。新体制でもそこに着目してカリキュラムを組んでおり、多様な物理現象や社会現象に対して物理や数学という切り口でアプローチしながら、柔軟に対応できる人材を育てていきます。その起点となるのが、理工学部の1年次に全学科共通で開講する「理工学の基礎に関する実験・実習科目」です。全員が機械から電気、化学までの実験を経験することで、理工学全般にわたる幅広い基礎を身につけ、専門的な研究に臨むための力を養います。

谷口 社会への還元方法をイメージしやすい応用系の学びならではの楽しさもありますが、そこに至るまでには、十分な基礎知識と、思考における基礎体力が不可欠です。既存の公式や数理的なルールに従い、やるべき計算の仕分けを行うためにも、正しい推論の手順をはじめとする基礎知識が重要です。そのためにも、演習科目を拡充し、課題解決のための基礎体力を身につけます。演習で試行錯誤を繰り返し、失敗からも学びながら考察を深めていく流れは、実社会のどのような場面でも通用する極めて基礎的な手順でありスキルだと考えています。

三井 物理学においても、現象の観測データをシンプルで基礎的な数式に落とし込んで分析するプロセスがあります。そのうえで仮説を立て、別の現象で検証したり、次に起こる現象の予測につなげたりすることが物理学のサイクルですので、やはり基礎が重要であることはいうまでもありません。さらには、なぜ夕陽は赤いのか、なぜ夜空の星が色とりどりに輝くのかなど、自然現象に対する根源的な問いが物理学の原点にあります。学生には、知識や手順だけでなく、向学心そのものの基礎となる探求心をもってほしいですね。

―最後に、理工学部の拠点である相模原キャンパスの魅力について、また受験生へのメッセージをお願いします。

谷口 教員と学生の距離が近く、私は(現)数理サイエンスコースの全学生の顔と名前が一致します。個々の得意分野も把握しており、教員間での情報共有によって適切な指導にも生かせています。その点でも、安心して学生生活を送ってもらえると思います。

三井 居心地はいいので、ぜひそのまま大学院にも進んでほしいですね。実際のところ、学部では専門的な研究に“慣れる〟程度で終わりがちなのですが、大学院ではより主体的に興味のあるテーマを探究できるからです。

 しかも相模原キャンパスは、他学部の学生との交流によって自分にない価値観を知り、新鮮な刺激に包まれるチャンスが広がっています。ぜひ〝Cool Head, but Warm Heart〟を意識して、冷静沈着で頭脳明晰な人材となるべく、一生懸命に勉強しながら、失敗を恐れずに夢や可能性にチャレンジする熱い心をもった大学生になってください。

研究テーマ例

■ 物理科学科
●物性物理:Rydberg原子系や、固有Josephson接合系の量子制御、高温超伝導物質の結晶制御、低次元スピン系物質の量子相転移の研究 など
●宇宙物理:気球、人工衛星、そして望遠鏡による暗黒物質の探索や突発天体の観測、ブラックホール誕生の瞬間であるγ線バーストの研究 など
●生物物理:一分子計測、ナノデバイス、非平衡統計力学などの手法による、生体分子や細胞・組織を対象とした、生命現象の物理学的研究 など
■ 数理サイエンス学科
●さまざまな物や現象の対称性を数学的に探究する表現論 ●数理物理学や数学の諸分野とも深く関係する非線形可積分系 ●生物界の複雑現象を数理モデルを用いて解明する生物数学 ●経済・金融分野の課題に数理科学の知見に基づいて取り組む金融工学 ●天体の運動や気象に現れるカオス現象を研究する力学系理論 ●不確実な現象やランダムに起こる事象を数学的に取り扱う確率論 など

予想される進路

■ 物理科学科
大学院進学、中学校・高等学校の教員、IT・ソフトウェア・情報処理、電機・精密・機械・材料、金融・保険 など
■ 数理サイエンス学科
大学院進学、中学校・高等学校の教員、教育関連企業、情報関係企業、金融関係、保険業(アクチュアリー職を含む)関係企業、公務員、製造業 など

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