危機に強い”とあらためて評価された迅速な対応と充実の遠隔授業―北海道科学大学

危機に強い”とあらためて評価された迅速な対応と充実の遠隔授業―北海道科学大学

新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて、あらゆる教育機関が通学自粛などの対応を余儀なくされた。大学ももちろん例外ではないが、リモート対応やそのための設備支援策は大学ごとにさまざまだ。北海道科学大学が今回提示した、学生や社会に対する取り組みやその姿勢を紹介する。

コロナ禍が問う大学の“危機耐性”

2017年に創立50周年を迎えた北海道科学大学は、道内の私立工学系で唯一の単科大学であった北海道工業大学(2014年に改称)をルーツとし、北海道内の理工系教育の一翼を担ってきた。そしてここ10年では社会科学系や医療系など学びの分野をさらに拡大している。2018年には系列大学の北海道薬科大学を統合して薬学部薬学科を設置。既存学部との連携や幅広い教育体制の構築によって、さらなる発展が期待されている。

そんな北海道科学大学も、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて3月よりキャンパス閉鎖を余儀なくされた。他大学と同様に入学式の中止や授業のオンライン実施を決定。6月から対面授業が段階的に再開されつつある同大学だが、今回のコロナ禍におけるさまざまな独自の取り組みが学内・学外で評価され、“危機に強い大学”としていま道内での存在感が高まっている。一体どういうことだろうか。

97%の学生が遠隔授業を問題なく受講

遠隔授業(電気電子工学科)

まず前述のオンラインによる遠隔授業だが、スムーズに実施できたのはもともとハード面が充実し、インフラ整備が進んでいたことが素地となっている。というのも同大学ではネット社会の到来を見据え、2001年からモバイルキャンパス構想を進めていたからだ。そのため教員は講義室やゼミ室など大学のどこからでも授業を配信でき、学生はキャンパス内に張り巡らされたWi―Fiを通じて自分の端末で授業を受講できる環境にあった。学生のITリテラシーも高く、入学時にモバイル端末の準備を義務付けているため、全学生がノートPCやタブレット等を所持している。

遠隔授業(臨床工学科)

とはいえ理工系や医療系の学部では、実験や実習をともなう授業も多い。そういった授業においては担当教員がさまざまな工夫を凝らし、入念に事前準備を進めてフォローした。例えば電気電子工学科の授業では、独自のシステムを使ってブレッドボードに電子回路を組み立てて電気的特性を測定する実験が行われている。このシステムは“新・まねびシステム”と呼ばれ、教員の手元で行われる回路の組み立てや測定の手順を撮影し、実験室の各机に備え付けられたフルHDモニタに配信するもので、通常時の授業でも使われていた。オンライン授業ではこの仕組みを応用し、モニタへの配信をネットワークを介した画像配信に替え、学生には事前にモバイル型の総合計測ツールと電子部品を配付。教員の手元の映像をリアルタイムに見ながら、学生が自宅で実験できる環境を整えたのだ。また国家資格「臨床工学技士」の取得を目指す臨床工学科では、一人の教員が自宅から医療機器の解説を、また別の教員が大学の実習室から医療機器の操作を、それぞれオンラインで生配信した。実習室では3台のカメラを使い、教員の手元や機器の画面等を撮影し、学生に伝わりやすいように工夫されている。

遠隔授業(メディアデザイン学科)

一方、学生同士のコミュニケーションが不可欠なメディアデザイン学科では、オンライン会議ツールを最大限に活用したグループディスカッションが盛り上がるなど、通常時の授業と遜色のない活発なやり取りが行われている。

学生側も遠隔授業は実際の授業より集中できるだけでなく、体調が悪くても授業を受けられたり、授業動画を再生して何度も復習ができたりと、さまざまなメリットが見出せた。実際に5月に実施したアンケートでは97%の学生が「遠隔授業を問題なく受講できている」と回答した。なお自宅の通信環境が十分でない学生には、通信環境整備のために一人につき一律3万円の支援金が支給されている。

ステークホルダーすべてに配慮を

また4月には大学で保有しているガウン等の防護具を北海道薬剤師会に寄贈。さらに5月には検査体制強化のために大学のPCR装置を提携病院に無償貸与するなど、医療機関への支援も高く評価された。授業のスムーズなオンライン化だけでなく、こうした対外的な支援も迅速かつ的確な施策を打ち出せたところが、“危機に強い大学”と評されたゆえんだろう。キャンパス内に出入りできない期間も学生の学びを止めないために、図書館書籍の宅配貸出を実施したのもコロナ対策の取り組みの一環だ。そして現在、対面授業の再開にあたって講義棟には新たにAIサーマルカメラが設置された。このようにハード面、ソフト面の両面で学生の学びを止めない施策が施されており、同大学に対する信頼感や安心感につながっているのではないだろうか。

PCR装置を無償貸与

信頼しリスペクトできる大学とは

4月以降、同大ではオープンキャンパスや公開講座等のイベントをすべてウェブに切り替えている。大学情報や選抜情報、模擬授業や施設紹介などをYouTubeの4つのチャンネルで生配信し、個別の質問にはLINEで対応するなど、従来のやり方に捉われないウェブならではの情報発信にも積極的だ。

受験生にとっての大学選びとは、自分が学びたいことや環境・学風、そして偏差値などが重要な要素であることは言うまでもない。しかし、今回の新型コロナウイルス感染症の拡大のような緊急事態にあって、これまでの常識に捉われず、柔軟な対応がとられているかという点も、しっかり見極めておくべきではないだろうか。北海道科学大学は、進路選択においてその意義を強く感じさせてくれる大学なのだ。

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