【2020年(2019年度卒)女子大実就職率ランキング】女子大の就職力に期待が高まる

【2020年(2019年度卒)女子大実就職率ランキング】女子大の就職力に期待が高まる

就職活動における女子学生不遇の時代を乗り越えた女子大の就職力は高く、女子大全体の平均実就職率は常に大学全体を上回っている。これから不透明感を増すと見られる大学生の就職戦線において、女子大にかかる期待は大きい。


女子の総合大学志向が強まっている。そうした中で女子大を選択する受験生は、女子大に何を期待しているのだろうか。異性を意識しなくてよい就学環境、コンパクトにまとまったキャンパス、女子大特有の面倒見の良さなど様々な要因が考えられるが、その中には、就職の強さも含まれるであろう。

 全般的に女子大の就職率は高い。大学通信が医学部と歯学部の単科大学を除く全大学を対象に行なっている就職状況調査(2020年7月27日現在)によると、20年卒の大学全体の平均実就職率が88・8%なのに対し、女子大だけの集計では、91・4%と2・6ポイント上回っている。下記の「平均実就職率の推移」を見ると、近年この傾向が続いていることが分かる。リーマンショック以降、大学生の実就職率が最も落ち込んだ10年においても、女子大は全体を上回っていたのだ。

 女子大の就職率が高い背景には、1986年の男女雇用機会均等法の施行以前、女子学生の就職が厳しかった頃に蓄積された、丁寧で面倒見の良い就職支援が今に受け継がれているといわれる。

卒業生1000人以上の女子大で10年連続実就職率トップの昭和女子大

就職力が高い女子大の中でも上位の大学はどこなのか。2020年卒の女子大の実就職率を見ていこう。下記は「女子大の実就職率」は、卒業生500人以上の女子大の実就職率一覧だ。

設置大学名所在地実就職率 (%)卒業者数就職者数大学院 進学者数
昭和女子大東京97.01,2741,21620
聖徳大千葉96.17777416
ノートルダム清心女子大岡山96.056653212
東京家政大東京95.41,5671,47817
安田女子大広島95.01,1641,08918
東京女子大東京94.61,02393732
日本女子大東京94.01,4741,30586
武庫川女子大兵庫93.92,0191,82081
椙山女学園大愛知93.61,4271,32413
和洋女子大千葉93.35545125
実践女子大東京93.01,1031,01413
東洋英和女学院大神奈川92.854149211
女子栄養大埼玉92.65204775
聖心女子大東京92.554948030
津田塾大東京92.565657732
鎌倉女子大神奈川92.16255733
共立女子大東京91.91,2051,09810
京都女子大京都91.81,3841,21956
奈良女子大*奈良91.4701465192
宮城学院女子大宮城90.87166456
金城学院大愛知90.61,12299623
十文字学園女子大埼玉90.67716945
白百合女子大東京90.350944813
神戸女学院大兵庫90.359952122
神戸女子大兵庫90.380271312
甲南女子大*兵庫90.299388710
筑紫女学園大福岡89.66175459
大妻女子大東京89.21,6321,44315
大阪樟蔭女子大大阪89.1552492
同志社女子大京都88.71,4521,26823
フェリス女学院大神奈川88.259451411
相模女子大神奈川87.2685597
跡見学園女子大東京85.285471910
福岡女学院大福岡83.960149610

※表の見方
表は各大学発表による2020年の就職状況。アンケートに回答のあった大学のデータをもとに作成。卒業者数500人未満の大学は除いた。実就職率(%)は、就職者数÷〔卒業(修了)者数-大学院進学者数〕×100で算出。設置の※印は国立、◎印は私立。大学名横の*印はデータに大学院修了者を含んでいることを表す。データに一部の学部・研究科を含まない大学がある。

もっとも高いのは昭和女子大(97・0%カッコ内は大学全体の実就職率、以下同じ)で、卒業生1000人以上の規模が大きな女子大の中で10年連続トップ。昭和女子大の卒業生がいる学部には、国際、グローバルビジネス、人間文化、人間社会、生活科の5学部がある。この中で実就職率が最も高いのはグローバルビジネス学部で100%だ。

 ビジネス系を含む社会科学系は、女子大には少なかった系統。就職に対する意識の高い学生が多く集まることにより、この系統の学部の実就職率は高い大学が多い。安田女子大(95・0%)の学部別の実就職率も最も高いのは現代ビジネス学部で100%だ。ビジネス系学部の就職率が高い大学には、実践女子大(93・0%)・人間社会学部の96・3%、跡見学園女子大(85・2%)・マネジメント学部の92・8%などがある。

 一昔前は花嫁修業の場ともいわれた女子大。ビジネスで通用する力を身に着け、実就職率という形で証明していることは、社会に有用な人材を送り出す現在の女子大の立ち位置を物語る。20年には武庫川女子大(93・9%)が経営学部、共立女子大(91・9%)がビジネス学部を設置しており、4年後の就職状況が注目される

教員養成、家政など女子大らしい資格系学部が実就職率をけん引

実就職率が高い大学のもう一つの特徴は、保育士や幼稚園・小学校教員、栄養士など、女子大らしい就職に有利な資格が取得できる学部が多いこと。

 聖徳大(96・1%)は、6学部中、児童、心理・福祉、人間栄養、看護の4学部が資格系。ノートルダム清心女子大(96・0%)は人間生活、児童、食品栄養の3学科からなる人間生活学部を持つ。東京家政大(95・4%)は、児童学科や栄養学科がある家政や教育福祉学科がある人文、さらに子どもの3学部に加え医療系の健康科学部があり、就職に強い学部が揃っている。

 このように系統として就職に強い学部が大学全体の実就職率を支える傾向にあるが、そのベースには、キャリアセンターと教員が連動した丁寧な就活支援など、女子大ならではの充実した取り組みがあることは間違いない。

 大学生の就活環境は大きく変わってきており、就活のガイドラインが撤廃され通年採用もいわれる。AIに代表される情報技術の発達による事務系職の削減は、すでにメガバンクなどで起きており、コロナ禍の影響も含め大学生の就活環境の悪化が見込まれる。そうした中で、就職における女子学生不遇の時代を乗り越えた女子大の就職支援力にかかる期待は大きい。女子の志望校の選択肢に女子大を加えてはいかがだろうか。

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