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観光学部 観光まちづくり学科(仮称)
(2021年4月開設予定 設置認可申請中)
國學院大學の前身は、1882(明治15)年に設立された皇典講究所。神職養成と古典研究を主な目的とする研究教育機関として誕生し、その社会的使命は今なお脈々と受け継がれている。グローバル化が急速に進む昨今においても、日本の文化・歴史・伝統の理解に重きを置き、自国理解に基づいて国内外の課題に向き合う姿勢こそ、國學院大學らしさといえる。そして、新型コロナウイルスの世界的な流行が終息した後の経済復興、とりわけ地域経済再生に向けて大きな責務を担うのが、2021年4月の開設を目指す観光学部観光まちづくり学科だ。
●学部長プロフィール
観光学部 学部長(就任予定)
西村幸夫 教授
1952年生まれ。東京大学工学部都市工学科卒業、同大学院修了。博士(工学)。東京大学副学長、マサチューセッツ工科大学客員研究員、コロンビア大学客員研究員、フランス社会科学高等研究院客員教授、国際記念物遺跡会議(ICOMOS)副会長などを歴任。専門は都市保全計画、景観計画、歴史まちづくり、歴史的環境保全。
地域の課題を“我が事”とし解決をめざす使命感が原点に
新型コロナウイルスの感染が発生する以前の外国人観光客数は右肩上がりで推移し、各地でその取り込みに注力し、国内の人口減少に伴う経済力の低下を補ってきた。ただし、外国人観光客への依存度が高くなっていた分、今回のパンデミックによる外国人観光客の減少が大幅な収益減に直結したことは、さまざまなメディアで報じられているとおりだ。
しかしながら、そもそも地方では、以前から少子高齢化や都市部への一極集中などの影響により過疎化が進行し、地域経済の衰退が危惧されてきた。こうした課題に向き合うべく設立準備が進められたのが、國學院大學の観光学部だ。國學院大學は「もっと日本を。もっと世界へ」というスローガンを掲げているとおり、日本の実情の本質を見極め、課題解決に臨む気概にあふれている。観光学部はこの理念を具現化した学部であると同時に、設立背景の一端には、國學院大學の卒業生の中に神職従事者が多いことも挙げられる。神社は地域に根づく祭礼の拠点であり、地域の盛衰を間近で感じることができる存在でもある。観光学部長に就任予定の西村幸夫教授も次のように説明する。
「國學院大學には、いわば『神社ネットワーク』が構築されているからこそ、地域が抱える課題を我が事として捉え、地域を活性化させようとする使命感が醸成されてきたといえます」
“観光まちづくり”の出発点は埋もれた魅力の“宝探し”
観光学部の特長は、地域に軸足を置き、持続可能な地域社会を構築すべく、理論と実践の両面から観光にアプローチする点にある。文系・理系の垣根を越え、歴史や文化、自然環境といった地域の強みを「観光」という切り口で有効活用しようとする学部だ。重視するのは、宿泊施設や観光施設、旅行会社といった産業界の視点や論理だけではなく、あくまでも地域の視点。一部の産業や特定の施設が観光客を囲い込み、地域の資源を独占する状況も良しとはしない。観光学部で目指すのは、あくまでも持続可能な地域づくりだ。
養われる能力は、地域内外での連携を促し、持続可能な地域社会の構築につなげる実行力。そして、地域を解釈するだけでなく、アクティブに地域と関わっていくスキルだ。地域理解の議論に終始するのではなく、地域に提案できる視点を養い、観光のあり方自体の新たなスタンダードを創造していく。例えば、ときには「無」に価値が見出され、貴重な観光資源になることも十分にある。地域住民にとっては当たり前だった見事な星空が、今や貴重な観光資源になっている長野県阿智村はその好例だろう。
「観光は、地域の良い部分や強みを活かして光を当てるもの。ないものをつくるというよりも、あるものを活かす可能性を探るのが、この観光学部です。例えば、歴史的な建造物があっても元気がない地域も存在します。建造物などのハードを守りながら、祭礼などのソフト面の魅力を再発見して発信することで、地域が変わるチャンスもあります。私たちが気づいていない魅力は少なくないため、地域活性化につながる埋もれた魅力を見つけ、効果的に発信するスキルを磨くのです」(西村教授、以下同)
多様な事例に応用できる課題解決手法を修得
観光学部での授業に目を向けると、「環境」「社会」「経済」の3領域を軸に、それぞれの十分な知識修得を目指している。まずは伝統行事や町並みなどの歴史・文化的な地域資源や、森林や国立公園などの自然資源を守る「地域環境」管理手法、次に公共政策や都市計画といった「地域社会」のマネジメント手法。3つめが、より具体的な観光事業計画や経営戦略、マーケティングといった「地域経済」の振興につながる手法だ。この3領域をバランスよく履修した上で、次の段階では3領域を俯瞰しながら有機的にリンクさせていく。そして、各地域ならではの資源を総合的に保全・活用するための計画力や、地域の独自性や魅力を観光客の誘致や産業振興に直結する経済的な価値へと昇華させる事業企画力・構想力を身につけていく流れだ。
より細分化すれば、現状の分析力や、解決すべき課題を抽出・設定する眼力を養うことに始まり、ステークホルダーに対する課題解決策の効果的な提案力、現場での実行力、魅力を発信する際の表現力まで、幅広い実践力を身につけることになる。その過程では多様な分析手法や合意形成の手法なども修得し、対象とする地域や課題が違っても応用可能なスキルが培われていく。
「観光学部で学ぶことで、地域住民にとっては当たり前に思ってしまうような物事の中に、観光という切り口からその価値や魅力を見出す目が養われていくでしょう。気づきにつながるアンテナの感度が高まるのです。それは普遍的・汎用的な実践力となり、卒業後に地元に戻ったり、海外に赴任したりしても活かせるでしょう。地域によって実行すべき観光プラン自体は千差万別でも、プランニングにおける分析プロセスや考え方、物の見方が身につくわけです」
チーム内で協力しながらチームを引っ張る人材を育成
実践力の向上において重視するのは、15名程度の少人数単位で行われる演習科目だ。1年次から3年次まで、実際に地域に入ってフィールドワークやグループワークに挑みながら、地域づくりの実践力を鍛えていく。
まずは渋谷や横浜たまプラーザなど、多くの学生が共通のイメージを抱き、キャンパスからさほど遠くない東急田園都市線沿線の近場からスタート。身近な地域を題材にして多様な視点から議論を深め、地域づくりのための調査方法・情報収集方法を学んでいく。その後、こうした身近な環境での演習経験をベースに、少しずつ自分の興味・関心に応じた深い学びに移行し、それがやがて卒業研究につながっていく。演習で身につけ、磨き上げた実践力を、卒業後にも活かすことが理想だ。
このように将来を意識して学びを進める際、実践力と同様に重視すべき素養が協働できる力だ。実社会での地域づくりでは、分野を横断した多様な主体間での協働作業が必須となる。さまざまな専門分野を持つスタッフと一体となって問題解決に導いていける人材の育成もまた、観光学部の重点ポイントなのだ。國學院大學では、すでに他学部でアクティブラーニングを駆使したPBL(問題解決型授業)が導入されており、観光学部ではそのノウハウも活用できる。他者との活発なコミュニケーションを通して多くの気づきが得られるとともに、多様性を理解し、尊重する姿勢も養われるものだ。
「グループワークは、みんなと取り組むからこそ刺激を受け、触発されますし、妥協せずに頑張るようになるものです。実際の地域づくりも、向き合う課題は大きいため、一人の頭脳だけでカバーすることは困難。一人で対応できることは限られてきますし、地域内部の人材だけでも限界があります。外部の人の力を借りて地域の魅力を再発信する必要があるのです。ですから、多様な分野・立場・考え方を持つ他者と議論を重ねながら、チームワークで考える力と、一人ひとりで考える力を結集させて課題を解決する力を最大化していきます。その予行演習として、観光学部でも1+1を2より大きくするチームワークを生み出し、連携して解決に向かわせる人材を育てたいのです」
多彩な教員陣が文理融合の証。複眼的思考の原動力に
観光学部の学びで忘れてならないのが、統計やデザイン表現、さらにはデータサイエンスをはじめとする先端的なテクノロジーに関する学びだ。
例えば、GPSによる位置情報を観光の動線づくりに活かす方法や、インターネット上でのキーワード検索履歴を集客に向けた広報活動に活かす方法、各種統計データやビッグデータを解析し、人々の行動パターンなどの有益な情報を抽出する方法などを学び、各地域での課題解決につなげていく。
ただし、必ずしもこれらのあらゆる領域でプロフェッショナルと呼ばれるレベルまで全員が習熟度を高める必要はない。例えば、観光客向けのコンテンツとして建造物にプロジェクションマッピングを施すような場合、自分には映像制作技術がなくても、いわばプロデューサーのような立ち位置で活躍することもできる。また、交通インフラが整備されていない地域に、自動車の運転免許を持たない観光客が訪れたとしても、自動運転の技術とカーシェアリングなどのサービスをリンクさせる仕組みをつくることができれば、観光地としての可能性は一気に広がるものだ。さまざまなテクノロジーの進歩に伴って観光は日々進化するのであり、多様な可能性を理解した上で有効活用しようとする視点が求められる。
そのためにも観光学部では、多彩な顔触れの教員陣が集結。自然資源の保護から有形文化財・無形文化財の活用、都市工学、まちづくり事業や政策立案、過疎対策、人工知能、プロダクトデザインまで、幅広い専門分野を持つ教員が集う。さらには、実際に地域活性化の現場で活躍している人材による講演の機会を設けたり、その現場でのインターンシップに学生が参加したりと、学外とのネットワークも最大限に活用する予定だ。学生の成長と同時に、地域にとってもプラスになるようなWIN-WINの関係づくりを進めていくという。
正解のない問いに挑む探求心を大切にしてほしい
注意すべきは、地域づくりには単一の決まった正解は存在しないということ。大学入試のように科目ごとに何らかの正解がある設問を、制限時間内に一人で解いていくものではないということだ。地域性は社会の仕組みや風土、経済状況によっても変化し、地域ごとに課題も特色も、望ましいアプローチ方法も違ってくる。観光資源にしても、地域や時代に応じて多様な捉え方をされるものだ。だからこそ、世界の類似地域との比較も含めて豊富な事例に触れ、歴史的な変遷も把握した上で、持続可能な方策を考えていく必要がある。
そして、必要な方策は机上の論理ではなく、地域住民と真正面から向き合うことで初めて理解できるもの。そこに住む人々が主体的に考えて行動するスキームも不可欠となる。これが協働でのまちづくりの大前提であり、地域住民の日常生活に配慮する視点にもつながる。例えば、ピークとオフピークを考えて駐車場の数を考えるなど、観光による地域活性化を目指しつつ、地域住民の負担を考慮し、合意点を探る必要もあるのだ。
地域主体のマインドを持ち幅広い分野で活躍してほしい
観光学部での集大成は、3年次後期から4年次まで1年半をかけて取り組む卒業研究。修得した知識や技術を論文や事業計画、または何らかの観光コンテンツの制作に結集させる。卒業後の進路は、観光業界をはじめ、公務員、地域密着型の企業やNPO、観光情報を発信するマスコミ関連企業など、多様な可能性が考えられる。
「学生一人ひとりの興味・関心は多様でも、地域貢献のマインドという共通性を持たせた上で社会に送り出したいと考えています。職業専門学校的に観光業界の人材を育成するのではなく、国内外を問わず、どんな就職先であっても、地域の歴史や文化、祭礼、自然遺産、建造物、町並みなどの多様な資源を大事にするメンタリティを持ち、地域に貢献するビジネスプランを考えられる人材を育てたいのです」
なお、観光学部の入試では、文系・理系のどちらからでもアプローチできる科目設定となり、試験会場も全国に設けられる見込みだ。西村教授は最後にこう語ってくれた。
「『何かやってみたい!』と思ったときに、文系も理系も関係ありません。地域社会に貢献し、地域経済を活性化させることへの意欲。そのために地域を深く知ろうとする姿勢、向上心を持って積極的に取り組もうとする気持ちがあれば若者は頑張れるもの。大事なのはモチベーションです。観光学部には、そのきっかけとなる幅広い科目があり、そのために多彩な教員陣で学生をお迎えします。学び舎は、渋谷や横浜などからアクセスしやすく、緑も豊かな横浜たまプラーザキャンパスです。このキャンパスで共に充実した4年間を過ごしましょう」