進化する就職活動サポート 変わらぬ情熱とAIを駆使した先端の技術で、 納得の就職を支える

進化する就職活動サポート 変わらぬ情熱とAIを駆使した先端の技術で、 納得の就職を支える

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進化する就職活動サポート

卒業生が5000人以上の大学において、3年間にわたって実就職率90%以上を維持する全国でも稀有な存在である関西学院大学。卒業生の進路把握率は99.6%にも達し、同学のサポートの手厚さや学生と教職員が一体になった就職活動、ひいてはキャリア形成に臨む姿勢は、他大学からも驚きと羨望の眼差しをもって見つめられている。その取り組みはいま、さらなる進化を遂げている。関西学院大学の改革力に迫る本シリーズ。最終回の今回は、「就職活動サポート」についてキャリアセンターの小山裕正次長と中山悠吾氏に話をうかがった。

―3年連続実就職率90%以上、進路把握率99.6%というのは、大学の学生数規模を考えると驚異的な数字です。どうしてこのような高い実績を残すことができるのでしょうか。

小山 就職率の高さについては何をおいてもまず言えるのが、学生一人ひとりの頑張りです。就職活動においては苦しい局面も必ず経験します。そこで諦めず、粘り強く努力を続ける。関西学院大学の学生がそのような資質を身に付けているからこそ、結果に表れていると考えています。また、本学では「内定企業への満足度」も重視しているのですが、毎年、95%を超えています。学生たちが頑張り抜き、納得のいく就職先へたどり着いたからこその数字です。これもまた、学生の努力を象徴する証しだと考えています。

企業からの評価も要因の一つと考えています。キャリアセンターには年間約1300社にのぼる企業来訪があり、本学からも約200社の企業訪問を実施し情報交換を行っていますが、人事担当者からは本学の学生について、「バランス感覚に優れている」「コミュニケーション能力が高い」「リーダーシップを備えている」という評価をしばしばいただきます。このような評価も就職率の高さにつながっているのだと思います。キャンパス内外は多様な価値観の宝庫です。学生は学業や課外活動、留学、ボランティア活動等を通じて出会う様々な人たちと日々交流することで、自分の個性を知り強みをみがき、立ち位置などを自然に身につけるようになります。この経験が冒頭に申し上げた力につながるのでしょう。

進路把握ですが、これは単に就職先だけではなく、進路未決定者を早期に支援することが重要な目的です。高い進路把握率は、キャリアセンターと学部の教員、特にゼミ担当教員との連携が大きな要因といえます。教員の中には、悩みや不安を抱えた学生の対応に困ってしまうケースもあります。そのようなとき、教員から私たちキャリアセンターに対して、「どのようにアドバイスをしたらいい?」「いま、何か役立つイベントはない?」などと問い合わせが入ることがあります。これに応えることで教職員の関係性が深まり、一体となって学生を支えることが可能となるのです。結果、教員から就職活動中の学生の進路に関する情報を提供してもらうことにもつながっています。

中山 学生の状況をできるだけ早期に把握することも大きな要因だと考えています。特に、就職活動が思うように進まない学生ほど、早く把握することが大切です。そうすることで遅れの挽回や軌道修正が可能となり、結果、納得できる進路にたどり着きやすいからです。その意味でもやはり、各学部の教員と連携することは大きな意味があります。

キャリアセンターによる学生支援は、年間計画に基づき行われています。この計画は、毎年調整を行います。また、いったん立案した計画も、必要に応じて年度の途中で変更することもあります。これは、学生の状況が予想していたものとは違う結果となったり、突発的に社会の状況が変わったりすることがありえるからです。

もう一つ付け加えるなら、就職活動支援に対するキャリアセンターのスタンス自体も年々変化しています。近年では、より具体的なアドバイスを求める学生の気持ちに寄り添う、「伴走」というスタンスを大切にしています。

―就職活動サポートのなかでも、個人面談が関西学院大学では非常に特徴的だとうかがっています。

小山 一般的に個人面談といえば、エントリーシートの添削の時間になりがちだと聞きます。本学では、学生が自身の特徴や強みを理解し、社会でどのように役立てるかを自ら考える、最も重要な支援と位置づけています。

面接など、採用選考において学生は、自分のことを十分に表現しきれていないケースが多いのです。そこで、個人面談でアルバイトやサークルでの経験を語ってもらい、職員は、「そのときあなたはどう考えたの?どんな行動をしたの?」と、体験を深堀りしていきます。すると学生は、今まで見過ごしていた自分の考えや行動に気づき、さらに、そのなかから自分らしさや強みを見つけていきます。これらは、対話を通して自ら見つけ出した答えなので、面接選考などでは、堂々と自分の言葉で説明することができます。

ところで個人面談でのアドバイスや指摘は、面談を受け持つ職員自身の経験や価値観に左右されがちです。それではアドバイスに偏りが発生してしまいます。本学には専門のキャリアカウンセラーが約40名おりますが、学生相談の質を維持向上するため3カ月に一度のペースで、キャリアセンター職員とキャリアカウンセラー全員で勉強会を行っています。ここでは、学生の相談事例を紹介したり、それに対するアドバイスや対処法など、意見交換をしたりしています。これにより質の高い学生相談が可能となり、学生のアンケートでは満足度が90%を超えるほどになっています。

中山 個人面談については、2019年8月からWeb面談も導入しました。従来はすべてキャリアセンター内で職員と対面形式で行っていたのですが、それに加えて、パソコンやスマートフォンを使ってインターネットを介し、面談をできるようにしたのです。留学やインターンシップをはじめ、学生の活動の場はキャンパス外にもどんどん広がっています。そこで、「どこにいても面談ができる仕組み」として、Web面談を導入しました。また近年では、就職活動のなかで企業による「Web面接」が行われるケースも増えています。Web面接と対面の面接では、相手に伝わる印象が異なることがあります。また、Webカメラを使って話すことに慣れていないせいで、緊張したり不安になってしまったりすることもあります。その対策としてWeb面談を用いることも、導入の背景の一つです。

Web面談と従来の面談の違いは、Webか対面かという顔の合わせ方の違いだけです。1回の時間はどちらも40分程度ですし、学内Webシステムで事前予約をするという利用方法も同じです。エントリーシートに関する相談などは、PDFをお互いのモニター上に表示して話ができるので、対面形式と何ら変わらない感覚で面談を行うことができます。

―就職活動のサポートだけでなく、キャリアに対する考え方の指導も、高い就職率や満足度につながっているのではないでしょうか。

小山 そのとおりです。本学には1年次から参加できるキャリア教育プログラムが数多くあります。企業協力のプログラムも多く、入学後の早い段階から社会との接点をもつことができます。これにより学生が「どのように生きる?」「何を目標にして働く?」「そのためにはどのように学生時代を過ごす?」といったことを考える後押しをしています。

プログラムのなかには、企業の協力を得て開催するものも数多くあります。そういったケースでは、就職支援を通じて企業との関わりが深いキャリアセンターが窓口となり、キャリア教育プログラムへ企業に協力していただくこともあります。インターンシップはキャリアセンターが企業から情報を入手し学生へ情報発信をしていますが、参加前や参加後の学内研修はハンズオン・ラーニングセンターが受け持っています。このように2つの組織が連携し、キャリア教育と就職支援を効果的に結びつけていることも、本学ならではと言えます。

―関西学院大学では、さまざまな独自ツールを用いてきめ細かな就職支援を行っています。

小山 代表的なものに『就職活動ハンドブック』があります。就職活動の基本スケジュールや業界企業研究、自己分析の進め方など、就職活動を進めるうえで必要なあらゆる情報が網羅されています。特徴は、キャリアセンターがこれまで企業から得た採用担当者目線でのアドバイスが集約されていることや、本学学生にあわせた内容が掲載されていることです。

中山 個人面談でのアドバイスや、学内で開催されるキャリアガイダンスで説明する内容は、すべて就職活動ハンドブックと連動しています。そういう意味では、本学学生や教授にとって、就職活動におけるバイブルのような1冊と言えます。

非常に情報が盛りだくさんでボリューム満点の冊子なのですが、先ほどお話しした就職支援の年間計画と同様に、こちらも年度ごとに内容を更新しています。前年度の就職活動を経験した学生の声や企業の声、そして社会の変化などを受けて職員間で議論し、加えるべき情報などを決めています。例えば、近年増加しているWeb面接に関する情報も、2019年度版から加わりました。

小山 また、本学では早い段階から就職支援にITを活用してきました。例えば2012年度から稼働した「KGキャリアナビ」では、個人面談の予約をWeb上で行うという、当時では画期的な仕組みを導入しました。その他、求人情報やインターンシップ情報、企業情報などの閲覧ができます。他に先輩の就職活動体験記というコンテンツもあり、後輩たちに活用されています。

中山 「KGキャリアナビ」内では2019年11月に新たなコンテンツとして、「KGキャリアチャンネル」がスタートしました。

「KGキャリアチャンネル」は、パソコンやスマートフォンで閲覧できる動画コンテンツをキャリアセンターが制作し、配信しています。ここでは、就職活動に関する様々なセミナーをインターネットを介してリアルタイムで受講できたり、録画版を好きなときに見ることができます。ポイントは、〝録画版のコンテンツは15分程度というコンパクトな長さ〟にまとめられており、なおかつ〝解説をキャリアセンターの職員が行っている〟こと。授業の空き時間や通学時などに気軽に見てもらえることと、キャリアセンターを身近に感じてもらうことで、学内でのイベントや個人面談への参加に結びつけていこうという狙いもあります。

2018年7月に導入した「KGキャリアチャットボット」も、ITを活用した就職支援の代表例です。学生の質問に対してチャット形式でネット上で回答を行う本学のチャットボットには、日本IBMと共同で開発したAIが用いられています。稼働から1年4カ月が経った2019年11月時点で、利用した学生は約2800人、質問の総数は約2万4000件という実績を積みました。

「チャットボット」は、AIが自動回答を行っています。となると、回答の正確さがポイントになります。これまでのところ、回答の75%に対して学生は「good」の評価をしました。AIが質問の意図を理解できず、何も回答できないというケースも起こりえます。その割合は現在のところ13%です。すなわち、AIが何らかの答えを返すことができる「回答率」は87%ということになります。

学生のなかには、キャリアセンターに足を運ぶことにハードルを感じている人もいます。心理的な抵抗、あるいは物理的に忙しいといった事情がハードルにあたるのですが、そういった人に対してもキャリアセンターの利用に相当する体験を提供することが、チャットボット導入の狙いの一つです。この点においては、チャットボット利用者の60%が、キャリアセンターを利用したことのない人だというデータが出ました。狙い通り、キャリアセンター未利用者へアプローチできたと言えます。

キャリアセンターの窓口は利用できる時間が決まっています。それに対して、「いつでも利用できる」ことをめざしたものがチャットボットです。夜間や週末、留学中などに利用してもらうことを想定しました。これに関しては、チャットボット利用のうち57%がキャリアセンターが閉室している時間帯でした。ここでも、狙い通りの効果が出ていると言えます。

小山 筆記試験対策に活用できる「SMART SPI」も、ITを用いた近年の取り組みのひとつです。ここでは、多数の企業が採用選考で活用している適性試験SPIのほか、各種の筆記試験の受験準備をすることができます。24時間、365日利用可能というのは、ITならではの利点です。

―一般的には売り手市場と言われている昨今の新卒市場ですが、関西学院大学ではどのようにお考えでしょうか。

小山 「売り手市場は、就職活動を行う学生にとって有利ではないか」と耳にすることがあります。しかし、企業の採用選考は厳しく、優秀な人材を見極めて採用する「厳選採用」が行われています。エントリーシートで記入項目が多かったり、面接が何度も行われたりとハードルが高いため学生には将来を考えるための早めの準備が求められています。近年、インターンシップが盛んにおこなわれています。本学学生も7〜8割もの学生がインターンシップへ参加したという調査結果が出ています。インターンシップを通じて企業を知り、働くことを知り、社会を知ることは自分の将来を考える貴重な機会ですが、インターンシップに参加したことで満足してしまい、そこから考えを深めたり、視野を広げたりしないケースが時折見受けられます。「インターンシップ先の企業にしかエントリーしない」、あるいは「インターンシップ先の業界しか見ない」等自ら将来への選択肢を狭めてしまう、自分の可能性を低くしてしまう学生が数多くいます。結果、就職活動に苦戦するケースも発生しています。インターンシップの近年の拡大は、優秀な学生と早期に接点をもち採用に繋げたいという企業の意志の表れでもありますが、学生にはインターンシップによる就業体験を通じて自身の成長の機会とし、充実した学生生活に繋げてもらうよう、キャリアセンターは日々アドバイスを行うことで効果的な活用を促しています。

中山 最近、就職ガイダンスや企業セミナーなど、学内で開かれるイベントに参加する学生数が減ってきています。チャットボット、Web面談、キャリアチャンネルというITを用いたサポートの充実は、学内でのイベントや支援制度を利用しない人に対しても、それらを利用している人と変わらない手厚いサポートを届けようという想いもあります。

―最後にお伺いします。関西学院大学の「良さ」は何でしょうか。

小山 「行動することで成長を実感できる環境が整っていること」ではないでしょうか。本学ではキリスト教主義教育を基本とした人間教育の土壌の中に、様々な挑戦ができる環境が整っています。近年はグローバル人材やAI活用人材の育成など社会の変化に対応できる人材を育む教育にも力を入れております。この中で、学部での学びであり、留学もそうでしょう。あるいはクラブ活動であったりもします。そのような活動を通した多様な人や多様な価値観との出会いが成長につながることが、関西学院大学の「良さ」ではないでしょうか。企業担当者からは、「関西学院大学の卒業生はつながりが強い。何かあったらすぐに肩を組んで校歌を歌い出す」と冗談交じりによく言われるのですが、その背景には、このような環境の下、キャンパスライフが充実していたからこその母校への愛着や誇り、それを共有できる人への仲間意識が表れるのかもしれません。

中山 スクールモットーである〝Mastery for Service(奉仕のための練達)〟が浸透していることだと思います。本学では、あらゆる学び、あらゆる活動がモットーにつながっているように感じます。在学中のひとつひとつの経験を積み重ねながら、モットーを理解し、自分のものにしていく。そういう意味では、各種のプログラムの豊富さといった、学びや体験のチャンスが充実した環境こそが、本学の良さを支えているのではないでしょうか。

学生インタビュー

知らないことから生まれる不安を解消。面接に集中できるようになった

日本航空株式会社業務企画職
(地上職事務系)内定
商学部マーケティングコース 
4年 大西勇磨さん

在学中に力を入れたのはゼミ活動です。所属するゼミでは毎年、「Student Innovative College」という全国の学生が参加する商品開発の大会に参加しています。私たちが取り組んだのは、大手人材サービス会社からのお題である「学生の登録を後押しするノベルティグッズの開発」。自分自身を含めた学生の日々の行動を分析していきながら、そこで浮かび上がる課題を解決したり要望を満たすことのできる商品を考えていきました。結果は、見事に優勝。企業から高い評価をいただけたことは、大きな自信になりました。

就職活動は、何から始めたらいいのか、どうやって企業を絞っていけばいいのかなど、わからないことだらけの状態からのスタートでした。そのようななかで“スイッチ”を入れてくれたのが、学内で開催された企業説明会です。さまざまな業種の会社が偏りなく集まっていて、いろいろな企業を知ることができました。そこから、自分の興味や目標と掛け合わせていくことで、徐々に絞り込みを行えました。

就職活動にあたって不安に思っていたのは、面接時などのマナーです。部屋への入り方や椅子に座るタイミングなどは、知っている人にとっては当たり前のことです。ところが知らない私にとっては不安の元であり、そのせいで面接そのものに集中できないという悩みの種になっていました。これを解消してくれたのが、キャリアセンターが開催しているマナー講座です。「知らない」が「知っている」に変わることで不安が安心に変わり、おかげで、面接に集中することができました。面接で自分の思いをきちんと伝えることができたのは、マナー講座の成果だと言える部分も大きいです。

関西学院大学は、チャレンジできる環境が整っている大学だと感じています。例えば留学や英語の習得に興味があれば、それを実際の行動に結びつけるための制度がたくさんあります。実際、商学部の私も、英語を集中的に学ぶ授業を受けることができ、カナダに留学できました。入学前に考えていたチャレンジを実現することもできますし、入学後に新たに見つけた目標に向かって進むことも可能です。何かに挑戦したいと思ったとき、それを支えてくれる仕組みが必ずあるのが、関西学院大学です。

面接対策、メンタルの調整。さまざまな効果があった個人面談

凸版印刷株式会社内定
法学部法律学科国際法政コース 
4年 長谷川実咲さん

大学では、「学生だからできることをやりきる。そのために4年間を計画的に過ごす」ということを意識しました。大学の単位は、2年生の前期でほぼ修得。それ以降はゼミに加えて、アルバイトやサークルでの活動に打ち込みました。留学には短期のものも含めて4年間で3回チャレンジ。前向きな志向や行動力を養うことができた留学体験は、その後の学生生活や就職活動にもとても役立ちました。

就職活動では、アルバイトを通して関心を深めていたSDGsへの取り組みに力を入れている会社を軸にして企業選びを進めました。就職先である印刷会社にとって、デジタル化という時代の流れは難しいものです。そんななかで、自分たちにできることやすべきことを考え続ける姿勢に共感し、むしろ可能性を感じたことが入社の決め手になりました。

キャリアサポートのなかでも特に利用したのが個人面談です。時期によっては、毎週1回は面談を入れました。定期的に面談があることで、モチベーションを保ちながら就職活動に臨めるようにしたのです。就職活動が思い通りに進まないときや、選考過程で企業から厳しい指摘をされたときなどは、どうしても気持ちが滅入ってしまいます。そんなときも、面談で職員の方に話を聞いてもらい、そばにいてもらえることで心を落ち着けることができました。また、面談は毎回、担当の職員の方が変わります。いろんなタイプの方が、いろんな質問を投げかけてくれることが、面接のシミュレーションになっていたようにも思います。

関西学院大学は、異文化へのハードルがとても低い環境です。留学は本格的な長期のものだけでなく、夏休みなどに短期間で海外を経験できるプログラムもたくさん用意されています。海外まで行かなくても、学内にはたくさんの外国人留学生がいます。グローバルラウンジに行けば、そういった学生と気軽にコミュニケーションを図ることも可能です。留学したい人はもちろんのこと、「ちょっと海外や異文化を経験したい」という人にはぴったりな環境ですよ。

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