【聖学院大学】不安の残る高大接続改革も前向きに捉え、2021年 独自の新入試を展開

【聖学院大学】不安の残る高大接続改革も前向きに捉え、2021年 独自の新入試を展開

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清水均教授

2021年から始まる新入試まで時間がないというのに文部科学省の方針は二転三転。新入試の全体像が定まらず、受験生たちの不安は募るばかりだ。そんな中、高大接続改革を大学教育を変える機会と前向きに捉え直し、独自の新入試を展開する大学もある。聖学院大学の清水均教授に、新入試制度の概要を聞いた。


聖学院大学が考える高大接続改革

2019年11月に「大学入試英語成績提供システム」、同年12月には大学入学共通テストでの国語と数学の記述式問題の導入延期が、相次いで文部科学省より発表された。高大接続改革の柱ともいえる2つの制度が迷走し、大学入学共通テストの受験を前提とした国公立大学受験生を中心に不安が広がっている。では、私立大学は高大接続改革をどう捉えているのだろうか。聖学院大学人文学部長兼大学院アメリカ・ヨーロッパ文学研究科長の清水均教授は、こう話す。

「高大接続改革は入試面だけが注目されがちですが、高校教育、そして大学教育を包括した非常に大きな教育改革です。英語外部試験の活用の仕方や記述式の採点方法など、方法面で準備不足があり混乱しましたが、『学力の三要素(*)を測る』『高校で培った力を受け止め、大学で伸ばしていく』といった改革の理念には本学も賛同します。今は文部科学省とは異なるやり方で、独自の新入試制度を設計しているところです」

受験生の可能性を多面的に測る3つの新入試制度

 聖学院大学では現在、AO入試、推薦入試、一般入試と大きく分けて3つの入試制度を設けている。これを、21年入試では一般選抜、学校推薦型選抜、総合型選抜の3つに見直す。

 一般選抜は従来の一般入試に該当し、大きな変更は行われない。以前は国語・英語の2科目型だったが、2020年度より日本史、世界史、数学のうちから1科目を加えた3科目型となっている。

「誰でも得意不得意がありますよね。また、得意科目でも当日たまたま点数がとれないこともあるかもしれません。不得意科目や失敗してしまった科目があっても、全体で挽回ができるように科目数を増やしました。さらに、受験生の選択肢を広げるために、高得点の2科目だけで判定するベスト2科目型も用意しています」(清水教授)

 科目以外の特徴としては、英語外部試験利用が可能なことが挙げられる。獲得したスコアが英語の試験の点数に換算された上で、実際に受けた同大の英語の試験の点数と比較し、良い点数の方が採用される仕組みだ。「大学入試英語成績提供システム」の導入は延期になったものの、それに向けて準備を進めてきた受験生の取り組みを評価できる制度となっている。

聖学院大学の思いが色濃く表れる2つの選抜方式

 21年入試で大きな見直しがあるのは、学校推薦型選抜と総合型選抜の2つ。いずれも自己カタログと呼ばれる書類の提出が必須となる。

「自己カタログとは、高校での学びの記録や、大学生活の計画を受験生自身に書かせたものです。学校推薦型選抜と総合型選抜はいずれも受験生の高校時代の取り組みや、大学での学びの意欲などを問うものです。この自己カタログを大きく重視していきます」(清水教授)

 学校推薦型入試は、従来の指定校推薦入試と公募制推薦入試を見直したもの。指定校制では、あらかじめ課題文章を配布し、それに基づいた口頭試問と面接を行う。公募制では小論文と面接が課される。いずれも面接は自己カタログと調査書に基づいて実施される。学力の三要素の中でも特に主体性に力点を置き、高校時代の取り組みなどを評価する入試方式だ。

 総合型選抜では、課題解決型入試、英語特別・特待生入試、聖学院大学アンバサダー入試(仮称)の3つの方式を用意。いずれもコミュニケーションが必須で「対話する入試」とも呼ばれている。キャンパス内のあらゆる場所で教職員と学生の対話がなされるという、聖学院大学の特徴が表れた入試方式だ。

 課題解決型入試はまず講義を聞き、課題に取り組み、それを面接官に向けて発表をした上で自己カタログに基づいた面接を行うというもの。学力の三要素の中でも思考力を重点的に評価する。

英語特別・特待生入試では英語外部試験の成績が出願資格となり、面接試験で合否を判定する。入学後、英検2級以上または同等のCEFRレベルを取得すれば、留学を含めた大学での学びに対して費用を支援する教育バウチャー制度が利用可能だ。

 聖学院大学アンバサダー入試は、大学と受験生のマッチングを重視するユニークな入試方式。清水教授は、こう説明する。

「『聖学院大学に入って何かをしたい』という思いを持った受験生を受け入れるべく作った入試方式です。事前相談を必須とした上で課題を提示し、グループディスカッションで評価をします。聖学院大学のことをよく知っていることが前提ですので、課題の内容は、例えば『聖学院大学をもっと面白くするにはどうすればよいか』というような、受験生の大学に対するアプローチを測るようなものにします。この方式にどれだけの受験生が集まるかで、本学の現時点での認知度や教育力の評価を測れますし、大学教育を見直す良いきっかけにもなります。ある意味、受験生だけでなく大学自身も試される方式です」

 以上が聖学院大学の21年入試の概要だ。多様な視点からの選抜を行うことで、例え苦手なことがあったとしても、得意なことや熱意などがあれば評価したいという思いが伝わってくる。聖学院大学では面倒見の良い大学という評価をさらに深化させ、「一人を愛し、一人を育む。」をタグラインとしているが、まさに一人の受験生を愛した上で一人の社会人として育むための選抜といえるのではないだろうか。

 最後に、清水教授から進路指導教諭へのメッセージを頂いた。

「生徒の皆さんに伝えていただきたいことなのですが、高校生活を楽しめている方はそのまま思い切り楽しんでください。今取り組んでいることは必ず大学生活にも繋がっていきます。一方で、何らかの事情があり高校生活を楽しめていない方。決して諦めないでください。あなたには才能が無いのではなく、気づけていないだけなのですから。頑張り続けていれば必ず芽が出ます。大学ではその芽を育て、発揮する場面がたくさん用意されています」

※学力の三要素……
1、基礎的な知識・技能
2、思考力・判断力・表現力等の能力
3、主体的に学習に取り組む態度

*本文中の説明は全て構想中のもので、今後変更になる可能性があります。詳細は必ず入試要項等で確認してください。

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