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学習院大学のアイススケート部ホッケー部門は1950年創部。関東大学リーグに所属し、2015年には5部に降格しましたが、2016年の5部と2017年の4部でともに全勝優勝を果たし、2018年は3部で準優勝。入れ替え戦に勝利して、2019年は2部リーグに名を連ねています。この大躍進の原動力となったのは、2016年4月に入学し、2019年度主将にして絶対的エースの湯浅凱人さんです。
小学校2年生でアイスホッケーを始め、私立光泉高等学校(滋賀県)では副将・FW(フォワード)として活躍。国体やインターハイにも出場しました。強豪大学からの誘いもあったものの、スポーツ推薦ではなく指定校推薦で学習院大学に進学。入部当時は、高校時代までにアイスホッケーの経験がある唯一の部員でした。大学入学後も滋賀県代表として国体選手に選出され続けています。
まさに氷の上での「七転び八起き」
――アイススケート部ホッケー部門の全体像から教えてください。
2019年度の部員は、選手32名とマネージャー13名の計45名です。スポーツ推薦制度はなく、経験者は2人だけ。ほぼ全員が大学入学後にアイスホッケーを始めた選手です。私が入部する数年前には深刻な人数不足に陥り、他の部活動から“助っ人”を呼んで大会に出場するような、苦難の時代があったとも聞いています。
現部員の顔ぶれは、野球部、サッカー部、登山部、剣道部など様々な部活動の出身者がいます。また、高校時代は運動部に所属していなかった部員もいます。そもそもスケートの経験者自体が少ないので、転ばずに滑れるようになることが出発点になります。最初は恐る恐る手すりにつかまって、“へっぴり腰”で立つのがやっとという部員もいます。それでも、縦横無尽にリンク内を動き回れるようになって、試合でゴールを決められるまでに上達していけるんです。
私自身は、小学校2年生からずっとアイスホッケーを続けてきました。入学当時はリーグの底辺である5部に所属していましたが、強豪チームでプレーするよりも、言ってしまえば弱小チームを強くして昇格させることにやりがいを感じました。初心者とはいえ、「思ったより動ける」とも思いましたし、みんなに可能性を感じたからこそポジティブになれました。
――部の雰囲気はいかがですか。
経験の有無も学年も関係なく、お互いに気兼ねなくフラットに、何でも言い合える雰囲気です。いわゆる「体育会」だと上下関係が厳しいイメージもありますが、いい意味で“ユル”いですね。温厚な性格の持ち主が多く、もめごとを見たことも聞いたこともありません。
ただ、練習中はお互いに“ハッパ”をかけ合います。普段からかなり仲がいい分、遠慮がありません。私が経験者だろうがお構いなく、多少失敗しただけでも容赦なくイジられます。また、大会前には監督から1人ひとりにユニフォームを渡す“儀式”が伝統的にあるのですが、かつては監督やコーチの前で「あいつ走ってませんでした」と冗談交じりに“告発”する部員もいたくらいです。
「試合に出たい」「大会の登録メンバーに選ばれたい」といった強い気持ちがあるからこそだと思いましたし、仲間同士でもライバルとして意識し合い、本気で切磋琢磨できるんです。みんなオンとオフの切り替えは上手で、ひとたびリンクに立つとスイッチが入り、一気にトップギアまで到達するイメージですね。
また、長年にわたって未経験者が多いので、初心者が上達するための練習メニューがしっかりと受け継がれてきている点も魅力だと思います。みんなが同じスタートラインに立って、頑張った分だけ上達を実感できますし、経験者としてチームを引っ張る立場からも、仲間の上達を間近で見られることは大きな喜びになります。上達すればそれぞれの個性を活かした活躍の仕方、チームへの貢献の仕方がある点も、チームスポーツならではです。
――日々の練習内容を教えてください。
練習は週5回あります。キャンパス内では月・火・木曜日の週3回で、短距離走などの陸上トレーニングと、チームとしての戦術やポジション別の動きを話し合うビデオミーティングを行います。3日間いずれも19時前には終わるので、その後アルバイトに向かう部員もいます。
また、金曜日は西東京市にあるアイスアリーナ、土曜日は埼玉県上尾市のアイススケートリンクで、シュート練習やフォーメーション練習など、実際に氷上での練習を行います。大会なども開催される公式なスケートリンクのため、試合やイベントのない比較的夜遅い時間帯での練習です。2日連続にしているのは、短期間での反復練習によって技術を身体で覚えるためです。週末に行うので授業への影響は少なく、日曜日はオフですので、しっかりと休息をとって週明けからの授業に臨めます。
無理なく授業や就職活動と両立できるので、留年してしまう部員もいません。部員の仲がいいので、両立のコツから就活へのアドバイスまで、いろいろなアイディアを聞くこともできます。その他、年に2回、それぞれ3泊4日で軽井沢での合宿があるほか、「ビジター」という特有の制度があって、他大学や社会人の練習に参加したり、他大学の選手が来ることもあります。
意識が変われば行動が変わり、練習の質が向上
――未経験者ばかりのチームが、どうやって強くなったのですか。
もちろん部員全員が努力した結果だと思いますが、私の個人的な野心が作用した面も大きいかもしれません。「5部からとことん上に行ってやろう」という、まさに下剋上の精神で、1年次に最下層の5部で全勝優勝し、2年次には4部でも全勝優勝しました。3年次には3部でライバル校との全勝対決に敗れ、2位に甘んじましたが、結果的には入れ替え戦に勝利して2部昇格を決めたんです。
この間、個人記録では3年連続でリーグのポイントランキングで1位になり達成感も味わいましたが、3年次の1回の敗戦がひとつの転機になりました。「このままでは2部で勝てない」と、一歩立ち止まってチームづくりを見直すきっかけになったんです。昇格に喜ぶ中でも危機感をもって気を引き締め、チーム力を強化するために練習内容や戦術のパターンを考え直しました。こうして4年次は主将となり、FWである自分が得点しやすいように選手のポジションや試合でのフォーメーションを決定するなど、チームづくり全般を任されています。
練習面では、それまではがむしゃらにこなしていた練習内容の目的を明確にして、「練習のための練習」から脱却しました。また、ビデオミーティングで議論しても曖昧なままで終わらせていた内容をとことん突き詰め、様々な合意形成を行いました。そうやってミーティングで共通認識にした戦術を氷上練習で実践することで、練習の質を高めてきた自負もあります。練習時間には限りがありますので、短時間で強くなれるように工夫を凝らしているんです。さらには、積極的に他大学の試合を視察して、戦術を分析するようにもなったことも大きな変化ですね。
熱中できることを見つけて、大学生活を充実させてほしい
――最後に受験生や新入生へのメッセージをお願いします。
アイスホッケーというと「氷上の格闘技」という言葉が先行して、「厳しそう」というイメージを持たれるかもしれませんが、それは私たちには当てはまりません。2部以下のリーグでは滅多に激しいプレーはありませんし、防具だって頑丈です。その防具は先輩の“おさがり”を使えるので、費用面の心配もありません。ですから、「大学で新しいことを始めたい」「アイスホッケーに挑戦してみたい」という気持ちさえあれば大歓迎です。
ただ、必ずしもアイスホッケーでなくてもいいとも思います。学習院大学にはいろいろな部活があります。興味をもったらどんどん飛び込んで、熱中できる対象を見つけることが、大学生活を充実させるためのカギだと思います。
私自身はもうすぐ卒業ですが、社会人になってもアイスホッケーのプレーヤーとして活動を続けていきます。