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厚生労働省が所管する省庁大学校、職業能力開発総合大学校(以下、職業大)。日本のものづくりを牽引する「テクノインストラクター(職業訓練指導員)」の養成がその教育目的の一つに挙げられるが、民間企業にも毎年多くの学生が就職し、4年連続で実就職率(※)100%という驚くべき成果を出している。今回は、内定を得た4年生と、学生を支える先生、就職支援アドバイザーの3名に話を聞き、職業大が就職に強い理由を探った。
※実就職率(%)=就職者数÷〔卒業(修了)者数−大学院進学者数〕×100で算出。
企業もメリットを感じる、実習重視の実践的カリキュラム
―職業大は、現在4年連続で実就職率100%を達成しています。貴校が就職に強い理由は、どのようなところにあると思われますか。
古賀 理由はいくつかあると思いますが、一つは、やはり当校のカリキュラムにあると思います。座学での授業はもちろんですが、一般の大学よりも実習の時間を多く設けており、より実践的な学びを得られることが特徴です。実習はグループワークで行うことが多いので、技術だけでなくコミュニケーション力やリーダーシップ、計画推進力なども身につけられます。そうした当校での学びの成果に、企業側もメリットを感じているのではないでしょうか。
―たしかに、他の大学に比べると実習に費やす時間は3倍です。髙久さんは、就職活動で企業の方から授業や実習について聞かれることはありましたか?
髙久 そうですね、まず第一に、なぜ職業大を志望したのかという点にどの企業の方も興味を持っていらっしゃいました。私はもともと「ものづくり」に興味があったので、他大学の工学部なども視野に入れていましたが、最終的に職業大に決めたのは、カリキュラムに実習が多く含まれていたからです。実際、たくさんの実習を経験することで、より深く学ぶことができたという実感もありましたので、面接でも実習での経験や学びについて話しました。
特に3年次の実習では、自動機というさまざまな作業を効率化するための機械を、グループに分かれて設計から部品作り、組み立て、制御するプログラミングまで、すべて自分たちで行いました。ものづくりのあらゆる作業を経験できるので、自分が一番興味がある分野もわかり、就職先を検討するうえでも大きなヒントになりました。
―こうした実践的なカリキュラムのもとで学んだ即戦力を持つ学生たちに注目している企業も多いのではないでしょうか?
高野 そうですね。毎年3月に行う「学内合同企業説明会」には、約40社の企業にご参加いただいています。参加企業には卒業生が在籍する企業もありますが、全体的に職業大の学生の採用に積極的な企業が多い印象です。ですから、この説明会で出会った企業に就職する学生も多いですね。
また、単体での説明会を行ってくださる企業や、学生たちに実際のお仕事を見学させてくださる企業もあります。こうした機会に企業の方とじっくり話をしたり、顔を覚えていただけたりすることは、少人数の当校ならではの経験だと思いますし、学生にとっても非常にメリットになります。規模の大きい大学では、こうした機会はなかなか実現できないでしょうし、企業の方が職業大に興味を持ってくださっているからこそできることだと思いますので、とてもありがたいですね。
―髙久さんも、学内合同企業説明会に参加されましたか?
髙久 はい、もちろん参加しました。卒業生の方も多く来校されていたので質問しやすかったですし、とても親身になって話をしてくださいました。
古賀 企業からの信頼という意味では、卒業生たちが高い意識を持って仕事をして、それぞれの場で活躍しているからこそ、企業側も職業大の学生により興味を持ってくれるのだと思います。とても誇らしいことです。
教員と職員が連携して行うきめ細かな就職サポート
―説明会以外に、就職活動のサポートにはどのようなものがあるのでしょうか。
高野 まず、本格的な就職活動が始まる前に「就職ガイダンス」や「就職対策セミナー」を行っています。就職ガイダンスは、3年次の10月から11月に、就職活動のキックオフとして行うものです。このときに、就職活動でのスケジュール管理や自己分析、メモ書きなどに使ってもらうための「就活手帳」と、職業大がオリジナルで制作している「ガイドブック」を配布しています。
髙久 私も就職活動ではこの手帳とガイドブックにとてもお世話になりました。この時期には何をすべきか、こんなときはどうしたらいいかなど、初めての就活でわからないことが出てきたら、まずはガイドブックを参考にしましたし、説明会に行くときには必ず就活手帳を持っていきました。
―就職対策セミナーについても教えてください。
高野 就職対策セミナーは3年次の12月に行っています。就職活動でのマナーや自己分析、企業研究、筆記試験対策、面接対策など、就職活動に必要なことに時間をかけて取り組める内容にしています。
こうしたガイダンスやセミナーに参加してもらうことで、私たち職員は学生一人ひとりの特性を知ることができますし、それぞれの就職活動に対する意識や進み具合も早めに知ることができますので、よりサポートがしやすくなります。
また、面接で話す内容やエントリーシートの内容についても、学生一人ひとりの良さをきちんと伝えられるよう、学生と一緒に考えるようにしています。一番大切なことは、その人らしさが伝わることだと思っていますので、学生と密にコミュニケーションをとりながら対策を考えていきます。
就職支援室では、進路に関するさまざまな相談はもちろん、面接練習なども複数の職員で対応しています。どんなに些細なことでも気軽に立ち寄ってもらえるよう、学生には普段から意識的に声をかけるようにしています。
―就活の時期は、考えすぎて悩んでしまったり孤独になりがちですから、話ができる場所があるのはいいことですね。
高野 そうですね。ちょっとしたことでも、話をすると気持ちが楽になりますから。参考になる本を借りに来るとか、もやもやしていることを吐き出しに来るとか、そういうことだけでもいいと思っています。ただ、私たちが気をつけているのは、学生に意見を押しつけたり、サポートしすぎたりしないこと。あくまでも将来を選択するのは学生たちですから、それに役立つ情報やアドバイスはできる限り積極的に行いますが、最後は学生が自ら考えて決めるということを忘れないようにしています。
髙久 就職支援室の存在はありがたかったですね。私は内定をいただいた企業が2社あり、どちらにするか悩んでいたときも職員の方に話を聞いていただきました。そのなかで自分が優先したいことも見えてきましたし、何より話せる場があるというだけで心が軽くなった気がします。
私は、古賀先生にもたびたび就職の相談をしていましたが、職業大は先生方や職員の方が普段から相談にのってくださるので、いつも心強かったです。
古賀 そう言ってもらえると、教員冥利に尽きますね。職業大は少人数なので、学生と同じくらい教員が在籍しています。ですから、卒業研究の担当教員だったり、部活動の顧問だったり、学生たちはそれぞれが話しやすい教員にいろんなことを相談していると思います。
これは就職に限ったことではありませんが、教員同士はもちろん、教員と職員もしっかり連携していますので、学生たちが目標に向かって成長できるよう、学校全体でサポートする体制ができているんです。
高野 そうですね、先生方との連携は、就職支援室も行っています。職業大は、専攻ごとに進路指導の先生が配置されているので、学生たちは進路指導の先生とも毎年面談を行っているんですね。その内容は職員にも共有されていますので、就職支援室を利用していない学生の就活状況も常に把握できています。ですから、職業大には就活の状況がわからない学生は一人もいないんです。学生の状況がわかれば、それぞれに適したサポートを考えることができますし、卒業生が残してくれた資料から試験対策を考えてアドバイスすることもできます。少人数だからこそ、学生一人ひとりに合ったきめ細かな対応ができるんです。
テクノインストラクターか、民間企業か、じっくり選ぶ
―昨今の就職活動において、インターンシップは外すことのできないステップですが、髙久さんは何社か参加されましたか。
髙久 はい、参加しました。ただ、私は授業をなるべく休みたくなかったので、1Dayのインターンシップに参加しました。ものづくり系企業の多くは、仕事内容や現場の様子を普段あまり目にすることができないので、1日だけでも自分の目で見られたことは、とても貴重な経験だったと思います。
高野 髙久さんが言うように、職業大は4年次も授業がみっちりありますので、インターンシップに行けないという学生も多くいます。でも、企業が普段からやっていることにふれられる経験は、就職先を検討するうえでとても大切なことですから、そういう学生には1Dayのインターンシップをすすめています。
また、カリキュラムに含まれるものとして、1年次に地域のイベントやボランティアに参加する「リベラルアーツ」、2年次に民間企業で行う2週間のインターンシップ、3年次には3週間のテクノインストラクター(職業訓練指導員)のインターンシップがあります。
古賀 4年次には、研究室ごとに企業と連携して研究や実験に取り組むケースもあります。
職業大には、テクノインストラクターの育成が目的の一つとしてありますので、民間企業に就職するか、国家資格を取ってテクノインストラクターになるか、学生には2つの選択肢があります。卒業までにその両方の現場をインターンシップで体験できるため、実体験をもって将来を検討できるわけです。
高野 テクノインストラクターを志望する学生と民間企業を志望する学生は、だいたい半々くらいですね。実習やインターンシップを経験しながら、じっくりと自分の進路を決められるのは、有意義な時間だと思います。
髙久 私も、テクノインストラクターになることも視野に入れつつ、民間企業の就職活動をしていました。正直なところとても悩みましたが、説明会やインターンシップに参加するなかで「お客様の要望に応えられる技術者になりたい」と強く思うようになりました。最終的に民間企業へ進む道を選びましたが、3年次のテクノインストラクターのインターンシップでは、民間企業に就職しても役立つさまざまなことが学べたと思います。
―髙久さんはどのような企業へ進まれるのでしょうか。
髙久 私は、光学系の企業に内定をいただきました。もともとは、溶接の実習場でこの企業が作った製品をよく目にしていて、古賀先生からも話を聞いていたのですが、調べてみたらスポーツグラスも作っていることがわかって。私はスポーツが好きで、職業大では野球部でマネージャーをしていたんです。それをきっかけにとても興味を持ちました。エントリーシートは古賀先生にも見ていただいて、「野球が好きだということも書いてみたら?」とアドバイスをいただきました。まだ配属は決まっていませんが、いずれ設計の仕事に携わることができたらいいなと思っています。
―それは夢が広がりますね。がんばってください! では最後に、受験生や高校の先生方へ一言お願いします。
古賀 ものづくりが好きで、好奇心旺盛な方に入学していただけたらと思っています。加えて、テクノインストラクターの道を目指すなら、人と話すことが好きな人や、人に教えることによろこびを感じられるような人も向いていると思います。
高野 職業大は、教員も職員もとても面倒見が良く、施設の面でも学ぶための環境が整っています。ですから、ものづくりが好きであれば、理系じゃないとか、多少学力に自信がないとか、そういった方にも思い切って飛び込んでほしいと思います。入学時は理系の教科があまり得意ではなかった学生も、当校で学ぶうちに確実に力をつけています。職業大なら、自分の成長をしっかり感じられる4年間が過ごせると思います。
髙久 私は、女性にもっと挑戦してほしいなと思っています。入学当初は、女子学生の少なさにびっくりしたり、不安に思うこともありましたが、実習では周りの男子学生も助けてくれますし、先生方も丁寧に指導してくださるのですぐに不安はなくなりました。私は職業大で学ぶことによって、設計という分野の魅力を知ることができました。ものづくりが好きな女性には、ぜひおすすめしたいですね。
―今回、皆さんの話をお聞きして、職業大がなぜ就職に強いのか、その理由がわかった気がします。企業も認める実践的なカリキュラム、就職支援をはじめ教員と職員が一体となった手厚いサポート、そして何より学生たちのたゆみない好奇心と意欲こそが、職業大の大きな強みだと実感しました。本日はありがとうございました。