国際ビジネスの場で活躍できる人材を育成 学習院大学国際社会科学部が完成年度を迎えた

国際ビジネスの場で活躍できる人材を育成 学習院大学国際社会科学部が完成年度を迎えた

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学習院大学は2016年に、52年ぶりの新学部となる国際社会科学部を開設した。国際的なビジネスの場で必要な力を養うという国際社会科学部の学びとは一体どのようなものなのか。学部開設から3年が経ち、1期生たちが最終学年となった今、入江恵教授にお話を聞いてみた。

取材・文・雫 純平(大学通信)

段階的なカリキュラムが功を奏す

―― 国際社会科学部がいよいよ完成年度を迎えました。学部開設準備から携わってきた、入江先生の思いをお聞かせください。

ひとまず、ここまで順調に来たことにホッとしています。今年4年次を迎えた国際社会科学部の1期生たちは元気で活発な学生が多く、一緒に学部の文化を作り上げてくれました。

入学当初、英語の上級クラスで「レベルが高くついていけない、クラスを替えてください」と泣きついてきた学生がいました。1期生でしたので我々も判断が難しかったのですが、その申し出を断り上級クラスで頑張らせた結果、英語力が伸びテストの点も目に見えて上がっていきました。

みんなしっかりと自分の考えを持つようになりましたし、就職活動でも高く評価されているようです。本当に学生たちの成長を感じます。

―― 国際社会科学部の教育は順調だったようですね。そこにはどんな秘訣があったのですか?

国際社会科学部の目標は、単に英語を話せるようにすることではなく、社会科学を幅広く学び、国際的なビジネスの場で活躍できる力を養うことです。そのためには、3~4年次には英語で行われる社会科学の専門科目の講義についていけることが前提になります。

ただ、必ずしも十分な英語力をもって入学してくる学生ばかりではありません。入学後、まず英語に関しては「読む・書く・話す・聞く」の4技能を高め、社会科学に関しては日本語で学ぶことからスタートします。難易度を徐々に高めていき、段階的に力をつけられるカリキュラムにしたことが成功の要因だったと思っています。

―― 高校と国際社会科学部の英語教育にはどのような違いがありますか?

高校の英語教育は主に英語を〝学ぶ〞ことですが、国際社会科学部の英語教育は英語を〝使う〞ことだと考えています。1年次のうちは月曜から金曜までの5日間に、英語4技能を鍛える90分の授業が6コマあり、課題もたくさん出します。1クラスが20人と少人数なこともあり、毎日かなりの量の英語を〝使う〞ことになります。

それから、高校ではあまり使われていないものといえばオンラインの授業管理システムがあります。国際社会科学部ではMoodle(ムードル)というシステムを使用しており、スライドやワークシートの取得、課題の提出などをオンライン上で行います。学生は1人1台のノートパソコンが必携なので、これは高校との大きな違いかと思います。

学生の自主性を重視海外研修先は自分で決める

 

―― 英語教育以外の面では、どのようなことを重視していますか?

学生に自主性をもたせ、自立性を高めることを大切にしています。例えば、国際社会科学部では卒業までに4週間の海外研修が必須なのですが、研修先は学生自らが探すようにしています。「この国のこの大学でこの勉強をしたい」ということを見つけ、保護者に説明し、学部に申請する。もちろん教職員も手伝いますが、基本的には自分でやる必要があります。

―― 大学や学部が用意した研修先から選ぶのではないのですね。経験が少ない学生自らが研修先を探すということで、失敗することもあるのではないですか?

確かに、意思疎通がうまくできない、希望する科目が履修できなかった、ホストファミリーとうまくいかなかった、などの報告はいくつか聞いています。その場合は交渉し環境を変えてもらうなど、みんな自分で解決策を見つけています。

違う文化の中で失敗から学ぶことはたくさんありますよね。ニュージーランドでバスを降りたら全然目的地とちがうところで、1人でさまよったとか(笑)。小さな失敗はたくさんあると思いますが、むしろ失敗こそが海外研修の大切な要素の1つと捉えています。自分自身で決断をしたことですから、失敗をすれば自ら責任をとることになります。こうした経験は絶対に後々生きてきます。

―― 1期生の卒業後の進路にはどのような傾向がありますか?

就職活動を終えた学生からよく聞くのは外資、IT、コンサルティングなどです。英語力や海外経験を身につけたことはもちろんですが、学生1人ひとりが学んだ内容を自分自身の言葉で語れるように教育をしてきましたので、そういったところを評価していただいたのかと思います。

進路については1人、興味深い学生がいます。ずっと国際協力に関心があり国際開発機関への就職を希望していたのですが、実際に海外に出て、NPOやNGOの活動以外にもビジネスによる地域開発を目の当たりにして、国際開発機関に限らず、商社でも苦しい地域を助けるような貢献ができると考えたそうです。大学の4年間で色々な経験をしたことで視野が広がった例ですね。

―― 国際社会科学部では、今後どのような人材を育成し、輩出していきたいですか?

グローバル化が進み、本当に多様な社会になってきました。日本国内にも多様なバックグラウンドを持つ人が増えています。海外で学んでくることで、今までは気づかなかったような日本の中の多様性に気がついてほしいのです。敏感で他者に共感でき、そして様々な価値観をもつひとたちと協働し、問題解決できるような人材を輩出していきたいです。

―― 最後に、高等学校の進路指導の先生方に伝えたいことはありますか?

国際社会科学部で中心となるのは、言語や文化ではなく、理論と科学的な手法であり、経済や経営などの社会科学を幅広く学びます。

また、入学時に英語が得意でなくても、国際社会の場で〝使える〞 英語を身につけられるカリキュラムも整っています。将来様々なデータを活用しながら国際的に活躍したいと考えている高校生がいればぜひ送り出してください。責任をもって伸ばします。

学生VOICE

国際社会科学科4年 共立女子高等学校出身 大橋紗姫さん(左)

―― 国際社会科学部を選んだ理由と、入学後の印象を教えてください。

この学部は海外研修が卒業要件になっていることから、海外研修経験者に囲まれて4年間過ごせるところに魅力を感じ、入学を決めました。この学部で授業を受けていると日本にいながら海外にいるような感覚で、入学当初は英語漬けの日々に戸惑いましたが、今ではその経験が海外研修に活きたと思っています。

―― 国際社会科学部の学びや海外研修の経験はご自身のキャリアにどのように繋がりましたか?

社会科学の分野を幅広く学べるのと同時に、様々な経歴の先生と話すことができますので、自分の興味や将来なりたい姿を見つけることができたと思います。

海外研修では色々学びましたが、最も驚いたのは〝現地の学生の学ぶ意欲の高さ”です。将来の目標を明確に持ち必死に勉強する姿を見て、私も自分の将来をしっかりと考えるようになりました。

また、この学部は海外研修に行って終わりではなく、帰国後、その経験をどのようにキャリアに繋げるかを学ぶ授業がありますので、「海外研修に行った自分に何が出来るのか」まで深く考えることができたと思います。

―― 受験生に向けて一言メッセージをお願いします。

自分が何をやりたいか決められていない人、英語が得意でなくても、将来国際的に活躍したいと思っている人にぴったりな学部だと思います。海外研修やこの学部での学びを通じて、自分が生き生きできる形を見つけてください!

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